(7)幼・小中一貫教育の推進

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 「小1問題※19」「中1ギャップ※20」による子どもや保護者の不安を解消するとともに、幼稚園、小学校、中学校が連携を強化し、教育課程の連続性を確保することで学力の向上を図り、豊かな人間性、社会性を育むことを目的として、幼・小中一貫教育を推進しています。
 平成22(2010)年4月、区内初の小中一貫教育校お台場学園の開校後、区立中学校通学区域を単位とする研究グループをアカデミーと称し、アカデミーごとに地域の特色を踏まえた教育活動や幼稚園、小学校、中学校の交流、「小学校入学前教育カリキュラム※21」「MINATOカリキュラム※22」を活用した指導方法等の研究を行っています。
 平成27(2015)年4月、区内2校目となる小中一貫教育校白金の丘学園の開校に合わせ、全アカデミーであらためて幼・小中一貫教育がスタートしています。アカデミーごとに教育ビジョンと目指す子ども像を掲げ、1年ごとの達成目標を示した上で具体的な教育活動を展開するほか、3年から5年後の達成目標についても示すことで、中・長期的な展望に立った「学校(幼稚園)づくり」についての段階的なビジョンを明確にしています。
 今後は、幼稚園、小学校、中学校が、アカデミーの目指す子ども像の実現に向け、各校種の指導内容を見直し、計画的に発達段階に応じた指導を充実させることが必要です。
 また、各アカデミーの特色ある教育の取組状況等を踏まえ、幼・小中一貫教育の成果を検証した上で、学習指導要領の改訂の趣旨を踏まえた「小学校入学前教育カリキュラム」や「MINATOカリキュラム」の内容の見直しや、他地区における義務教育学校等の事例を参考とした研究を進め、幼・小中一貫教育さらなる充実・発展を図る必要があります。
 
<現状>
 ○各アカデミーで幼稚園、小学校、中学校の連携・交流、「小学校入学前教育カリキュラム」などを活用した指導方法等の研究を行っている。
 ○アカデミーごとに教育ビジョン、目指す子ども像の実現に向けた具体的な教育活動を展開している。
<課題>
 ○幼稚園、小学校、中学校が、アカデミーの目指す子ども像に向け、各校種の指導内容を見直し、計画的に発達段階に応じた指導を充実させることが必要。
 ○幼・小中一貫教育の成果の検証、学習指導要領の改訂の趣旨等を踏まえた「小学校入学前教育カリキュラム」等の見直しなどにより、幼・小中一貫教育のさらなる充実・発展が必要。
 
■港区の幼・小中一貫教育のイメージ
 幼児期の教育(3年間)から、小・中学校の義務教育(9年間)までの連続した12年間を見通した指導方針のもとで、子どもたちを育みます。

 


港区で2校目となる小中一貫教育校「白金の丘学園」
(平成27(2015)年4月開校)


■各アカデミーの目指す子ども像(平成29(2017)年度)



※19 小1問題:小学校入学後、学級内が落ち着かない状態が数か月にわたり継続する状況のこと。教師の話を聞かない・指示どおりに行動しない児童や、勝手に授業中に教室の中を立ち歩く・教室から出て行く児童が散見されるなど、授業規律が成立しない状態をいう。
※20 中1ギャップ:中学校へ進学した際、新しい環境での学習や生活に移行する段階で、心理面での不安やストレスなどを抱える生徒の状態のこと。不登校などの事態を招くことにつながることが危惧されている。
※21 小学校入学前教育カリキュラム:5歳児前期から保育園、幼稚園修了までの姿を含む5歳児全体のカリキュラムと、小学校第1学年入学当初から1学期頃までのスタートカリキュラムをつなぐカリキュラムもの。
※22 MINATOカリキュラム:港区において、区立小・中学校の指導の内容を、教科ごとに単元系統配列表にまとめたカリキュラムのこと。