施策(1)豊かな心の育成

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 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)等を使ったインターネットを介したいじめや誹謗中傷など、情報通信技術の進展とともに、いじめの様態が変化しており、発見や対応の難しさが指摘されています。
 「港区教育ビジョン(港区教育大綱)」の示す「徳」「知」「体」を育む学びを踏まえ、「徳」の育成を最も重要な教育のひとつと捉え、偏見や差別を許さない意識と行動力を身につける人権教育や、思いやりや他者との絆を大切にする心の育成、協調性や助け合う心の育成などの道徳教育を推進し、子どもたちの豊かな心を育みます。
 
1-(1)-① 人権教育の推進
【目指す子ども像】
 ○人権について理解し、自分の大切さとともに他者の大切さを認めることができる子ども
【取組内容】
 ○幼稚園、小学校、中学校で策定した全体計画及び年間指導計画に基づき、人権教育を推進します。東京都教育委員会が作成している「人権教育プログラム(学校教育編)」を活用し、発達段階に応じて「高齢者」「障害者」「外国人」等の人権課題を取り上げ、学習していきます。
 ○教員の人権感覚を磨き、人権教育に係る指導力の向上を目指し、教育活動全体を通じて、幼児・児童・生徒に適切な指導ができるよう、人権教育研修会や職層に応じた研修を実施します。
 ○子どもの人権を尊重し、誰もがいじめ問題の重大性を認識し、いじめの兆候をいち早く把握して迅速に対応するため、「港区いじめ防止基本方針」及び条例に基づく「港区いじめ問題対策連絡協議会」等の関連組織を活用し、いじめ防止のための対策を総合的かつ効果的に推進します。
 ○各小・中学校において、「学校いじめ防止基本方針」を策定するほか、弁護士や民生・児童委員等を招いて年間2回「学校いじめ防止対策委員会」を開催し、学校のいじめにおける状況、今後の方向性等について話し合い、いじめ防止のための対策を推進します。
【期待される成果】
 ○様々な場面で人権が尊重される社会づくりに向けた自ら人権意識をもって行動できる子どもが育まれます。
 
1-(1)-② 道徳教育の推進

 

1-(1)-③ 芸術鑑賞機会の充実
【目指す子ども像】
 ○芸術に触れたり、体験したりすることで情操を豊かにし、創造性を高められる子ども
【取組内容】
 ○幼児・児童・生徒が質の高い演奏や舞台芸術を鑑賞する機会を充実します。
 ○東京2020大会の文化プログラム※26を通じて、幼児・児童・生徒が身近に芸術や文化に触れ、実際に参加・体験し、その楽しさや喜びを感じることができる機会を充実します。
 ○幼児・児童・生徒の発達段階に合わせてテーマを設定し、大学や企業等との連携により、様々な観点から子どもの感性と情操を育む教育を推進します。
【期待される成果】
 ○子どもが美しいものや優れたものに触れることにより、豊かな感性と情操が育まれます。
 ○日本と世界との文化芸術の交流により、多様な価値観に対する相互理解が促進されます。
 
1-(1)-④ 心のケアの充実
【目指す子ども像】
 ○将来の夢や希望をもって、前向きに生きていこうとする子ども
【取組内容】
 ○長期にわたって学校を欠席している児童・生徒、不登校傾向の児童・生徒への支援体制の充実を図るため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー※27、適応指導教室(つばさ教室)、子ども家庭支援センターなど関係機関等との連携を図ります。
 ○適応指導教室(つばさ教室)は、平成32(2020)年度に虎ノ門三丁目に開設予定の新教育センターに移転するまでの期間、旧飯倉小学校施設において引き続き運営します。学校復帰を目指して通室する児童・生徒に適切な相談、指導及び支援を行う施設として、児童・生徒の状況に配慮した環境づくりに取り組みます。
【期待される成果】
 ○不登校児童・生徒の出現率の低減、不登校解消児童・生徒数の増加が見込まれます。
 ○適応指導教室入級者の学校復帰率の向上が見込まれます。
 
1-(1)-⑤ 学校の相談体制の強化
【目指す体制】
 ○学校生活や家庭生活等において悩みがあるときに相談しやすい環境
【取組内容】
 ○子どもたちや保護者が安心して学校生活が送れるよう、学級担任や養護教諭を中心とした学校の相談体制を強化します。
 ○子どもたちの悩みや不安の解消のため、幼稚園、小学校、中学校でのスクールカウンセラーによる教育相談や教育センター相談員による相談体制の整備を推進します。
 ○子ども家庭支援センターや児童相談所等の関係機関をはじめ、民生・児童委員など地域との連携により、児童虐待やいじめ、不登校、非行などの問題について、未然防止・早期発見・早期対応に努めるとともに、スクールソーシャルワーカーを事案に応じて派遣し、教育と福祉の両面から問題解決にあたります。また、平成33(2021)年度の(仮称)港区子ども家庭総合支援センター(児童相談所併設)の開設を見据え、相互に連携した相談体制の構築に取り組みます。
【期待される成果】
 ○幼児・児童・生徒、保護者等の悩みや不安が解消されます。
 ○いじめ、虐待、不登校などの問題の発生予防・早期発見・早期対応につながります。


※25 道徳授業地区公開講座:小・中学校、中等教育学校及び特別支援学校における道徳授業の活性化を図るとともに、保護者・都民の参加のもと、家庭、学校、地域社会の連携による道徳教育の推進に資するための東京都教育委員会主催の公開講座。
※26 文化プログラム:スポーツを文化、教育と融合させることを根本原則とした文化イベント。オリンピック憲章では、開催国は複数の文化イベントのプログラムを計画しなければならないと定められている。港区では、「区内のあらゆる地域で、区民が多彩な文化芸術に触れられること」などに留意して文化プログラムを展開していくこととしている。
※27 スクールソーシャルワーカー:臨床心理士資格、臨床発達心理士又は産業カウンセラー等のほか、社会福祉士、精神保健福祉士等のソーシャルワークに関わる資格を有する者。問題を抱える児童・生徒が置かれた環境の改善に向けた働きかけにより、問題の解決を行う。