資料2 港区学校教育推進計画改定方針

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港区学校教育推進計画改定方針(平成29年6月13日 教育委員会決定)
 
1 学校教育を取り巻く現状
(1)国等の状況
 情報化・グローバル化の進展や人工知能(AI)の進化など、変化が激しく将来の予測が難しい社会状況の中、子どもたちが未来を創り出すために必要な資質や能力を育むため、国は、平成29年3月、小・中学校の学習指導要領を改訂し、小学校においては平成32年度、中学校においては平成33年度から全面実施することとしました。次期学習指導要領が目指す基本的な方向性として、社会に開かれた教育課程の実現により、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創ることとされ、小学校5、6年の英語の正式教科化や小学校でのプログラミング教育の必修化、小・中学校の全教科での「主体的・対話的で深い学び」の実現など、新しい時代にふさわしい学校教育のあり方が示されました。
 平成27年12月、中央教育審議会は、学校と地域の連携・協働を一層推進していくため、全ての公立学校において、地域住民や保護者等が学校運営に参画する仕組みとして、学校運営協議会制度を導入した学校(コミュニティ・スクール)を目指すべきとする答申をまとめました。この答申を受け、平成29年4月、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が改正され、学校運営協議会の設置が努力義務化されています。
 中央教育審議会はまた、平成27年12月の答申において、学校の組織としてのあり方や業務のあり方を見直し、学校の機能を強化していく「チームとしての学校」の体制を整備していくことが必要であるとしています。
 東京都においては、平成29年1月、東京都教育施策大綱を策定しました。「グローバル化の進展の中でたくましく生き抜く人間」「共生社会の中で多様性を尊重し積極的に社会的役割を果たす自立した人間」を目指すべき子どもたちの姿として掲げ、「新しい価値を創造する力を育む教育の推進」や「世界で活躍できる人材の育成」などを教育施策における重要事項として位置付けています。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けては、同大綱の中で、体力の向上や国際理解の深化、ボランティア活動への参加意欲の醸成、障害者理解の促進など、都内の全学校でオリンピック・パラリンピック教育を推進するとしています。
(2)港区の状況
 区は、「港区教育ビジョン」を踏まえ平成27年2月に策定した「港区学校教育推進計画」に基づき、先進的な教育施策を推進しています。
 平成27年4月、港区で2校目となる小中一貫教育校「白金の丘学園」を開校するとともに、全アカデミー(※)で幼・小中一貫教育を開始しました。
 平成29年4月からは、これまでの東町小学校に加え、新たに南山小学校で国際学級を開設したほか、子どもたちの家庭の状況等に応じて悩みや課題を解決し、学習等の支援を行っていく「学びの未来応援施策」を展開しています。
 区の人口は、子育て世代をはじめ大きく増加しており、平成29年2月には、昭和38年以来54年ぶりに25万人を突破しました。今後も毎年5千人程度増加し、平成40年には約30万9千人となる見通しです。
 年少人口についても、平成29年3月の約3万2千人から、毎年1千人程度の増加傾向が続く見通しです。平成36年には4万人を突破し、平成40年には約4万4千人となることが見込まれており、区立小・中学校では、児童数・学級数の増加に対応した施設整備や教育の質の確保に取り組んでいます。
 
2 学校教育推進計画改定の方向性
 学校教育推進計画は、平成27年度から平成32年度までの6年間の計画とし、中間年となる平成29年度に、後期3年に該当する平成30年度から平成32年度の計画について改定することとしています。
 改定に当たっては、現行計画に掲げる目指すべき子どもの姿「夢と生きがいをもち、自ら学び、考え、行動し、未来を創造する子ども」及び4つの基本目標「1 「徳」「知」「体」を育む学び」、「2 生き抜く力を育む学び」、「3 地域社会で支えあう学び」、「4 学びを支える教育環境の充実」を継承します。
 現行計画における10施策30事業については、区のこれまでの取組の成果と教育環境の変化に伴う新たな課題、区民アンケートの結果等を踏まえ、「教育の港区」として学校教育をさらに充実・発展させるため、以下の方向性のもと内容を見直します。
 
 1 自ら学び、考え、行動する子どもを育成するため、「徳」「知」「体」を育み、一人ひとりの個性を伸ばす教育を推進します。
○自分を大切にするとともに、他者を思いやる豊かな心の育成に取り組みます。いじめや差別をしない規範意識を身に付け、協調性や助け合う心を育むため、人権教育や道徳教育を推進します。学校図書館の機能の充実を図り、子どもの豊かな感性を伸ばす読書活動を支援します。
○基礎的・基本的な学力と論理的思考力、判断力、表現力の育成に取り組みます。学習指導要領等の改訂を踏まえるとともに、港区の特性を生かした授業を展開し、子どもたちの知的好奇心を高め、自ら意欲的に学ぶ姿勢を育みます。
○子どもたち一人ひとりの基本的な生活習慣の確立と健康な体づくりを支援します。食育や学校保健のさらなる充実、学齢や成長に応じた体力・運動能力を身につけるための教育に取り組みます。
○東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を契機として、体を動かすことやスポーツの楽しさを伝える取組を推進します。子どもたちの障害者理解の促進やボランティア精神の育成に取り組みます。
 2 子どもたちの個性と能力を伸ばし、一人ひとりが夢と希望を持ち、未来を切り拓いて生き抜いていく力を育成します。
○共生社会の実現に向けて、どの子どももともに学ぶ環境づくりに取り組むとともに、特別支援教育をはじめとした、障害の特性や程度、発達状況等に応じた相談体制、関係機関と連携した支援体制の充実を図ります。
○港区ならではの幼児期からの教育カリキュラムや、アカデミーごとに連携した幼・小中一貫教育をさらに発展させ、子どもたちの発達や学びの連続性に配慮した教育を推進します。
○英語によるコミュニケーション能力の向上をはじめとした国際理解教育を推進するとともに、国際学級や日本語指導など外国人等の子どもの学びを支える取組の充実など、国際社会で活躍する人材の育成に取り組みます。
○ICTの活用による子どもの情報活用能力の育成と学力向上に取り組みます。郷土の歴史や文化、理科・科学、防災、環境などに関する体験学習の充実により、特色ある教育を推進します。
 3 家庭や地域との連携、企業や大学等の多様な主体との協働により、港区の特性を生かした特色ある教育を推進します。
○区民の学校教育への理解を深めてもらうため、学校での取組や子どもたちの様子について、保護者や地域に積極的に発信するなど、開かれた学校づくりを一層推進します。
○保護者や地域の声を聴き、地域とともにある学校として、家庭や地域との連携を深め、地域が一体となって子どもの健全な育ちを支える環境づくりに取り組みます。
○企業や大学、NPO等の団体、大使館など、港区の豊富な人材や社会資源を活用した特色ある教育を推進し、子どもたちの多様な学びの機会を創出します。
 4 学校の教育力の向上を図るとともに、子どもたちが安全・安心に、いきいきと学び、健やかに成長していくことのできる教育環境を整備します。
○学校の教室確保のための改修や(仮称)芝浦第二小学校の整備など、幼児・児童・生徒数の増加への対応をはじめ、学校施設の老朽化等に的確に対応し、安全・安心な教育環境を計画的に整備します。学校施設の安全点検、通学路点検などの安全対策に継続的に取り組み、子どもを事件・事故から守るとともに、いじめの防止や食物アレルギーへの適切な対応など、子どもたちの安全確保を第一とした取組を推進します。
○子どもたち一人ひとりが、夢と希望を持って成長していけるよう、「学習支援」「相談の充実」「家庭教育の支援」「経済的支援」の4本の柱による学びの未来応援施策を推進します。
○教員の指導体制の充実、専門的な人材との連携など、学校が抱える複雑・多様な課題を解決し、子どもたちに必要な資質・能力を育む「チームとしての学校」の体制整備に取り組みます。
○教員が子どもと向き合う時間を確保し、子どもたちの学びの一層の充実を図るため、校務の積極的な見直しや学校支援地域本部事業のさらなる充実など、教員の負担軽減に取り組みます。
 
3 学校教育推進計画の改定に当たって
(1)検討体制
 公募区民や学識経験者、教育関係団体の代表者、校長で構成する「学校教育推進計画検討委員会」において、学校教育に関する様々な視点から幅広い検討を行います。
 また、区政全般にわたる施策の横断的な展開を図るため、区長部局を含めた関係職員(課長級)で構成する「学校教育推進計画検討会」において検討を行います。
(2)改定スケジュール
 平成29年6月     学校教育推進計画改定方針決定
 平成29年11月     学校教育推進計画(素案)決定
 平成29年11月~12月  区民意見募集
 平成30年2月     学校教育推進計画決定
(3)改定計画の周知方法
 区ホームページに計画全文を掲載します。
 広報みなと及び教育委員会広報紙に計画改定の報告を掲載します。