資料1 港区学校情報化アクションプラン策定方針

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港区学校情報化アクションプラン策定方針
 
1 教育における情報化の状況
(1)情報化の社会的状況
 インターネット利用者はこれまで以上に増加しており、総務省「通信利用動向調査(平成27年度末時点)」による年齢階層別の利用率を見ても、6~12歳では74.8%、13~19歳では98.2%となっており、子どもたちが日常で当たり前のようにインターネットを利用する社会になっています。その一方で、インターネットを使った犯罪やトラブル、いじめといった問題も後を絶たない状況です。
 また、近年ではビッグデータやオープンデータの活用が進むとともに、AI(エーアイ)(人工知能)やIoT(アイオーティー)などの新しい通信技術が用いられるようになり、我が国の経済成長を支える要素の1つになっています。
 
(2)国の動向
 文部科学省は、平成23年4月、「教育の情報化ビジョン」を取りまとめ、2020年度に向けて実施する主な施策の1つとして、「安全安心な環境のもと、子どもたち1人1台の情報端末による教育の本格展開の検討」を掲げました。
 また、平成25年6月に文部科学省から提示された「第2期教育振興基本計画」では、教育情報化に向けた環境整備について、「①教育用コンピュータ1台当たりの児童・生徒数3.6人」「②1学級当たり1台の電子黒板・実物投影機の整備」「③超高速インターネット接続率及び無線LAN整備率100%」「④教員1人1台の校務用コンピュータの整備」といった目標が定められています。
 平成29年3月に文部科学省から告示された新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の実現が重点項目とされ、新たに「プログラミング教育」の実施等が盛り込まれました。
 2020年度に新たに導入される大学試験においては、CBT方式の導入が検討されるなど、教育における情報化のさらなる促進に向けた取組が進められています。
 
(3)東京都の動向
 東京都教育委員会が平成28年4月に策定した「東京都教育ビジョン(第3次・一部改訂)」では、学校の教育環境におけるICT機器整備のほか、SNSの適正利用に向けた取組の促進や、情報モラルを高めるための教材作成・活用について明記されています。
 また、情報教育推進校を指定し、情報モラル教育やプログラミング教育について、他校への普及・啓発を行っています。
 平成29年5月には「高度IT利活用社会における今後の学校教育の在り方に関する有識者会議」を設置し、プログラミング教育をはじめとするIT人材の育成に向けた指導方法やカリキュラムの検討を進めています。
 
2 港区学校情報化アクションプランの目的及び位置付け
(1)アクションプランの目的
 本アクションプランは、学校における主体的・対話的で深い学びの実現や、子どもたちの情報活用能力の育成、校務の効率化による教員の子どもたちに向きあう時間の確保のため、学校のICT環境を整備するとともに、安全に使用するための情報セキュリティを確保し、それらICTを効果的に活用することで「学校教育の質の向上」を図ることを目的とします。
 
(2)アクションプランの位置付け
 本アクションプランは、「港区基本計画(平成27年度~平成32年度)」や「港区教育ビジョン(平成27年度~平成36年度)」などに示された区の将来像を実現するための教育における情報化分野の行動計画とします。なお、「港区学校情報化アクションプラン(平成26年度~平成29年度)」の施策を引き継ぐとともに、「港区情報化計画(平成27年度~平成32年度)」などの関連する諸計画の内容等と整合性を図ります。
 
(3)対象とする組織・情報システム
 本アクションプランの対象とする組織は、港区立幼稚園、小学校及び中学校並びに教育委員会事務局(教育センター、つばさ教室を含む)とします。
 また、本アクションプランで対象とする情報システムは、児童・生徒及び教員、事務職員等が使用するICT端末及びそれらに関係する機器類(パソコン、プリンタ、サーバ、電子黒板、プロジェクタ、実物投影機等)、これら機器が接続しているネットワーク及び利用しているソフトウェア環境とします。
 
3 港区学校情報化アクションプランの計画期間
 港区基本計画等の関連する諸計画が6年間を計画期間とし、中間年となる3年目で見直しを行っていることを考慮するとともに、情報通信技術の進歩が速いことや、国が目指す教育情報化の最新の動向を的確にとらえて迅速に施策に反映できるよう、本アクションプランの計画期間は平成30年度(2018年度)から平成32年度(2020年度)までの3年間とします。
 
4 これまでの取組と今後の課題
 港区教育委員会では、これまで「港区学校情報化アクションプラン(平成26年度~平成29年度)」に基づき、小中学校へのタブレット端末の配備や小学校全普通教室への電子黒板の配備、各学校間のネットワークの構築や校務支援システムの整備等を計画的に実施してきました。また、教員向け研修の実施やICT支援員の配置等の取組を進めてきましたが、ICT機器の活用は、学校や教員ごとに差がある状況です。
 今後は、これまで導入したICT機器や環境を学校現場でどのように有効に活用していくかという視点での取組が必要となってきており、新学習指導要領を踏まえた授業の充実に向け、教員のICT活用能力のさらなる向上が課題となるとともに、校務支援システムの活用を促進するなど、ICTを有効活用した教員の負担軽減が重要となります。また、中学校普通教室への電子黒板の配備や人口増加を見据えたICT機器の追加配備、配備されたICT機器を円滑に使用するための通信環境のさらなる整備等が、引き続き学校情報化推進のための課題となっています。
 
5 港区学校情報化アクションプラン策定の方向性
 港区基本計画等の関連する諸計画と整合性を図るとともに、新学習指導要領を踏まえ、港区学校教育推進計画に掲げる目指すべき子どもの姿「夢と生きがいをもち、自ら学び、考え、行動し、未来を創造する子ども」の実現に向け、以下の基本的な目標を定め、平成30年度からの新たな「港区学校情報化アクションプラン」を策定します。
 なお、本アクションプランには、達成状況を検証できるよう、成果指標を設けることとします。
 
(1)新しい時代に必要となる資質・能力を育む、ICTを活用した「主体的・対話的で深い学び」の実現
○デジタル教科書等、デジタル教材を有効活用することで、学習に対する児童・生徒の興味・関心を高め、主体的な学びを促すとともに、授業支援ソフトを活用し、他者と意見交換するペア学習やグループ学習を促進することで対話的で深い学びを実現します。
○新学習指導要領において小学校で必修化されるプログラミング教育や、ICTを活用した個々の習熟度に応じた学習の提供等、時代の変化に応じた新たな学びの姿に対し、効果的な導入を調査研究します。
○ICTを活用した授業を効果的に実施するため、年少人口増加等の状況も踏まえ、タブレット端末や電子黒板、実物投影機等ICT機器の計画的な配備、更新を行います。
○適応指導教室や特別支援学級のほか、通常の学級において特別な配慮が必要な児童に対するICTの効果的な活用を推進し、個に応じた指導を充実します。
○子ども自身が情報を正しく安全に活用できるよう、情報モラル教育のさらなる充実に取り組みます。
 
(2)教員のICTを活用した指導力の向上と、校務の効率化による児童・生徒と向き合う時間の創出
○ICT機器活用の教員研修の充実に加え、ICT支援員による授業支援を継続するなど、教員のICT活用能力の向上を図り、整備されたICT機器やシステムをより有効に活用することで、授業内容の充実を図ります。
○効果的な運用方法の検討、実技研修の実施等により、校務支援システムの活用を促進し、校務作業時間を削減するとともに、校務におけるICTのさらなる有効活用を検討し、教員の負担軽減と児童・生徒と向き合う時間の創出を目指します。
 
(3)日常的に活用できるICT環境の整備と教育情報セキュリティの確保
○配備されたICT機器を効果的かつストレスなく使用できるよう、LAN環境等のインフラ基盤を整備するとともに、先進事例等も参考にしながら、セキュリティ確保とICT活用の利便性を両立できる、より有効なネットワーク等の整備について検討します。
○平成29年度中に文部科学省から提示される予定の「教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン(仮称)」を踏まえ、港区学校情報安全対策基準等の必要な見直しを行い、教員や児童・生徒が安全安心にICTを利用するためのセキュリティ体制を整備します。
 
6 港区学校情報化アクションプラン策定の検討体制等
(1)検討体制
 教育長を委員長とし、区長部局を含めた関係職員で構成する港区教育情報化推進会議及びその部会で区立小中学校長、幼稚園長を含めた港区学校情報化アクションプラン策定部会において検討します。
 
(2)策定スケジュール
平成29年7月     港区学校情報化アクションプラン策定方針決定
平成29年7月~8月  学校教員ヒアリング・アンケート
平成29年11月    港区学校情報化アクションプラン(素案)決定
平成29年11月~12月 区民意見募集
平成30年2月     港区学校情報化アクションプラン決定
 
(3)アクションプランの周知方法
 区ホームページにアクションプラン全文を掲載するとともに、広報みなと及び教育委員会広報紙に策定の報告を掲載します。