スポーツには、「する」「みる」「支える」といった多様な関わり方があり、区民が生涯にわたってスポーツに親しむことは、区民の健康やいきがいづくり、活力あるまちづくりにおいても大きな意義をもちます。
○スポーツは誰もが楽しめる世界共通の人類の文化です。
スポーツは、人の根源的な欲求を充足させるものであり、子どもから大人まで、障害のある人もない人も、言葉や生活習慣の違いを超えて、誰もが楽しめるものです。スポーツは健康や体力の維持、増進といった生存に必要な面から語られがちです。しかし、歌を歌う、絵を描く、文学作品を読むということ自体が喜びや楽しさをもたらすように、スポーツも、自らの体を動かして行うこと自体に喜びや楽しさがある活動です。
また、それぞれの国に「固有のスポーツ(国技と呼ばれるものもある)」があるように、スポーツは、地域によって異なる文化である一方で、多くのスポーツに国際大会があるように、ルールという共通の認識のもと、様々な人がともに楽しみ、競うことができる、人間らしい、高度な文化であるといえます。
○子どもたちは、スポーツを通じて、心身ともに健やかに育ちます。
現在の子どもの体力・運動能力は、近年回復傾向が報告されていますが、子どもの体力のピークとされる昭和60(1985)年頃と比較すると依然として低い水準となっています。また、靴の紐が結べない、スキップができないなどといった、自分の体を操作する基本的な能力が低下している子どもたちが増えているなどの現象も、憂慮すべき問題です。
子どもの頃からスポーツに親しむことは、身体能力を発達させるとともに、スポーツを通じて、勝ち負けの厳しさを知り、マナーやフェアプレーの精神、相手を尊重する心を育み、克己心やコミュニケーション能力、リーダーシップを身につけるなど、精神面でも様々な成長をもたらします。また、自然環境の中でのスポーツ体験は、自然を大切にする心や自然と共生する術を身につけることにつながります。さらに、乳幼児期において、スポーツを楽しむ機会に恵まれた子どもは、その後、学齢期、青年期、成人期、高齢期になっても、何らかの形でスポーツを続ける傾向が高いことも報告されています。
○生涯を通じたスポーツは健康な生活をつくり、いきがいをもたらします。
現代は、デスクワークなどが増え、運動不足の人が増加する一方で、ランニングブームなど、健康づくりのためにスポーツに取り組む人が増えつつあります。
青年期、成人期の運動不足による生活習慣病の増加への対策、高齢者の介護予防など、健康増進の面からもスポーツは重要です。
また、生涯を通じてスポーツを楽しむことは、健康増進だけではなく、仕事などの日常から離れ、非日常を体験できることから、いきがいづくり、ストレス解消など、精神的な充足にも効果をもたらします。
○地域スポーツは、仲間をつくり、地域コミュニティを創出します。
地域コミュニティの希薄化が指摘される現在の社会の中で、スポーツがもたらす仲間づくりの機会や、人との関わりを生み出すことへの意義が高まっています。
かつては、自主的な少年野球の活動、職場仲間とのスポーツなどを楽しむ人も多くいましたが、現在では、そういった自主的な活動が停滞しつつある中、つながりを育む一つの手段として地域スポーツが注目されています。
地域スポーツを通じて、地域に仲間をつくり、つながりを育むことは、地域コミュニティの創出、活性化にもつながります。
○スポーツは感動をもたらし、地域に活力を生み出します。
スポーツは、人を元気づけ、人の心に感動をもたらし、地域に活力を生み出す力があります。東日本大震災後、数多くのアスリートが被災地を訪れ、スポーツを通じた被災地支援が行われ、スポーツが持つ大きな力を再認識することができました。また、地域と密着したホームタウンスポーツが注目され、地域の住民が「サポーター」となり、地元チームを応援することは、多くの人々を元気づけ、地域のつながりや活力を生み出すことにつながっています。
オリンピックやワールドカップでの日本人選手の活躍に見られるように、緊迫した競技において、ひたむきに頑張る姿や人間の可能性の極限を追求する姿は、多くの人に夢や感動、希望を与えます。