将来通わせたいと考えている中学校を尋ねたところ、全体では「私立中学校」が46.5%で最も割合が高く、次いで「通学区域内の区立中学校」(23.8%)と続く。
通っている小学校別にみると、私立小学校に通っている子どもでは「私立中学校」に進学させたい割合が96.7%と非常に高く、区立小学校(通学区域内、通学区域外)でも4割以上が「私立中学校」への進学を希望している。

図表5-4-①-1 将来、通わせたいと考えている中学校(通っている小学校別)
小学校通学区域別にみると、ほとんどの区域では「私立中学校」に通わせたい割合が高くなっているが、赤坂小学校区、港陽小学校区では「通学区域内の区立中学校」の割合が高い。

図表5-4-①-2 将来、通わせたいと考えている中学校(小学校通学区域別)
②通わせたい中学校を選んだ理由(第1位~3位までの順位付け)
通わせたい中学校を選んだ理由について、19項目を第1位、第2位、第3位の順で挙げてもらい、各順位の割合を積み上げ、上位5項目を棒グラフにした。
通学区域内の区立中学校に通わせたい理由は「自宅に近いから」が最も多く挙げられ、回答者の65.7%は第1位に挙げている。通学区域外の区立中学校は「教育方針や教育内容が良い」、「部活動が充実している・希望の部活動がある」が上位に挙げられている。私立中学校は「教育方針や教育内容が良い」を第1位に挙げている割合が39.4%と高い。

図表5-4-②-1 通わせたい中学校を選んだ理由(学校別 上位5項目)
項目ごとに第1位に挙げられた回答数に3点、第2位に挙げられた回答数に2点、第3位に挙げられた回答数に1点のウエイト付けをした。その合計点に占める各項目の点数の割合をグラフにした(上位5項目)。
通学区域内の区立中学校では「自宅に近い」割合が44.0%と大幅に高い。一方、私立中学校では「教育方針や教育内容が良い」割合が30.1%で最も高い。

図表5-4-②-2 通わせたい中学校を選んだ理由(学校別 上位5項目)
③中学校に関する情報の収集方法(複数回答)
中学校に関する情報の収集方法は、全体では「学校公開・学校説明会等で」が64.5%で最も割合が高く、以下「学校のホームページ・学校案内で」(54.0%)、「近所の親どうしのくちコミで」(48.2%)と続く。「その他」には、「塾」から情報収集する回答が多かった。
通わせたい中学校別にみると、区立中学校(通学区域内、通学区域外)では「近所の親どうしのくちコミ」が7割台で最も割合が高い。私立中学校では「学校公開・学校説明会等」が74.6%で最も割合が高く、全体の64.5%より10.1ポイント高い。私立中学校では「体育祭・文化祭等学校行事で」(50.5%)の割合も、全体の33.2%より17.3ポイント高い。

図表5-4-③ 中学校に関する情報の収集方法(通わせたい中学校別)
④よく耳にする中学校の話題(複数回答)
区立中学校、私立中学校の話題10項目(※)について、良い話題、悪い話題どちらを耳にするか尋ねた。
※尋ねた話題10項目
・先生の資質について ・学習内容について ・受験対策について
・生徒の学力について ・いじめや風紀について ・部活動について
・校風について ・設備について ・環境・立地について
・学校の規模について
「先生の資質」、「学習内容」、「受験対策」、「生徒の学力」、「校風」、「いじめや風紀」に関する話題は、私立中学校では良い話題の割合が高く、区立中学校では悪い話題の割合が高い。「いじめや風紀」については、回答者の44.8%が区立中学校の悪い話題として耳にしている。「部活動」、「設備」、「環境・立地」、「学校の規模」は区立、私立中学校ともに良い話題の割合が高く、「校風」、「設備」については区立中学校より私立中学校で良い話題を耳にする割合が大幅に高い。
図表5-4-④ よく耳にする中学校の話題

<先生の資質について>

<学習内容について>

<受験対策について>

<生徒の学力について>

<いじめや風紀について>

<部活動について>

<校風について>

<設備について>

<環境・立地について>

<学校の規模について>
⑤区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容(第1位~3位までの順位付け)
区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容について、11項目を第1位、第2位、第3位の順で挙げてもらい、各順位の割合を積み上げ、棒グラフにした。
区立中学校へ進学する子どもを増やすために「受験対策を含めたレベルの高い授業」を第1位に挙げた割合が最も高く、第2位に挙げている割合も最も高い。

図表5-4-⑤-1 区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容
項目ごとに第1位に挙げられた回答数に3点、第2位に挙げられた回答数に2点、第3位に挙げられた回答数に1点のウエイト付けをした。その合計点に占める各項目の点数の割合をグラフにした。
割合が最も高い項目は、「受験対策を含めたレベルの高い授業」(26.9%)で、以下「先生の資質の向上」(17.4%)、「中高一貫校の設置」(17.0%)と続く。

図表5-4-⑤-2 区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容
⑥区立中学校において今後充実を希望するもの(32項目中5つまでの複数回答)
区立中学校において今後充実を希望するものは「質の高い教員の育成・確保」が63.7%で最も割合が高く、以下「習熟度別授業、少人数指導」(59.0%)、「土曜特別講座・夏休みの補習」(42.3%)、「英語教育の推進・国際コミュニケーション能力の育成」(35.0%)と続く。

図表5-4-⑥ 区立中学校において今後充実を希望するもの(通わせたい中学校別)
⑦区立中学校の学校選択希望制について
区立中学校の学校選択希望制について尋ねたところ、全体では6割以上が「続けてほしい」と回答している。
通学区域外の区立小学校に通っている、通学区域外の区立中学校に通わせたい保護者では「続けてほしい」割合が7割以上と高い。

図表5-4-⑦ 区立中学校の学校選択希望制について(通っている小学校別、通わせたい中学校別)
⑧区立小中学校に対する要望・意見について
区立小中学校に対する要望・意見について、自由回答形式で尋ねた。
「教員の質の向上」が28件で最も多く、以下「部活動を充実して欲しい」(15件)、「学校ごとの特色を出して欲しい」(13件)、「教育レベルの向上」(11件)、「子どもの学力向上」(10件)と続く。

図表5-4-⑧ 区立小中学校に対する要望・意見について(複数回答)
区立小中学校に対する要望・意見に書かれた主な意見を抜粋した。
教員の質の向上
・教員の質の向上を早急にお願いしたい。学級経営のできない教員が、担任になった子どもたちの時間を取り戻すことはできない。
・学力の低い教員が混ざっているのが、一番困る。
・能力の高い教員を集める、ないしは養成してほしい。学校の設備がどんなに立派でも、教員の力量がないと意味がない。能力の高い教員を増員してほしい。
・教員の質が本当に悪い。教員も1人の人間だから仕方ないとは思うが、もう少し大人の立場に立って考えて、一言一言発言してほしい。
・人格・情熱・指導力を兼ね備えている教員を育成・確保するためにも、教員という職種に対する社会的地位の向上も、ひとつの課題であると思う。
・教員が授業に専念し、質を高められるようバックアップ体制を整えてほしい。私企業でもフロントとバックを2人体制で業務推進を高めており、同様なことが求められるのではないか?
・教員の資質に大きな個人差がある。全体レベルの向上のために、教職試験の難度を高くすべきだと思う。
部活動を充実して欲しい
・部活動の支援、振興に力を入れてほしい。
・部活動は、毎日を基本に取り組めないだろうか。そこで頑張ったことをバネに受験に臨めると思う。子どもたちがエネルギーをもてあましてしまう。
・思春期・成長期の多くの問題は、運動やさまざまな活動で心身ともに燃焼・充実することで解決できると思う。学習への集中力を高めるためにも、部活動がより活発になったほうがいいと思う。
・部活動に力を入れてほしい。色々な部を設置してほしい。野球部・サッカー部・テニス部がないから、地域外へ行く人が多い。
・人数の少ない中学校でも、部活動を増やして(種類)もらえないか。実際には指導できる教員も少ないので、難しいようだが。
・部活動の充実と学力の向上を目指してほしい。
学校ごとの特色を出して欲しい
・港区独自の教育を希望する。特色あることをしてほしい。他区、他市を真似しているだけではダメだと思う。
・特色のある教育。港区ならではの国際教育を行ってほしい。
・横並びでなく、特色のある学校を好みで選べる環境が理想だと思う。
・学力向上だけでなく、特色の強い何かアピールできるような校風作りをしていってほしい。
・各校の特色を活かしつつ、安全・学力においては差のないよう均一に。
教育レベルの向上
・私立小中に負けないような、教育レベルの充実をお願いしたい。
・区立中学合同説明会に参加したが、私立中高一貫校と異なり、大学までの見通しが立たないと感じた。都立高校のことが全く分らないので。受け皿となる高校がわからないと、区立か私立か迷ったら、情報量が多い私立の方が安心なのではと思ってしまう。レベルの高い都立高への進学率が上がれば、区立でも十分だと思う。
・多くの優秀な生徒が私立中へ行くため、区立中学の学力レベルが極端に低くなっている。そのため大学進学を予定している我が家では、経済上大変なのにやむを得ず、中学受験をしなければならない。公立中学からでも難関高・大学へ進学できるよう、レベルの高い(といっても地方都市の普通の中学並)中学になってほしい。
・都立高校のレベルの高いところに進学できるよう、教育指導を徹底してほしい。
子どもの学力向上
・私立中受験のために塾に通わせている親から、塾の勉強や宿題が大変で忙しいから、学校の宿題を減らしてほしいなどの要望があると、それに沿う教員もいると聞いたことがある。区立は区立で、やはりしっかりと勉強させ、宿題を出し、学力向上を目指し、私立へ進む児童などに合わせることなく、区立としての方針をしっかり持って教育に当たってほしい。
・ある区立中学がやっているように、塾と学校の連携などで学力向上を目指してほしい。
・小学校では通塾している子(受験する)と、していない子(受験しない)との学力差などから、子どもたちの間で偏見や差別が生じている。学校は学ぶ(学力向上)機会が、平等に与えられる場所であってほしい。
・厳しく指導してほしい。学力向上、宿題も多くしてほしい。
中高一貫校があると良い
・都立高校は指定校を設けて、それなりの実績を上げつつあるが、公立の中学で魅力ある学校が見当たらないのが残念。優秀な区立の中高一貫校があれば一番良い。
・中高一貫校が増えることを期待。
・区は中高一貫校を作るべき。私立に対してはそれしかない。中学に入って、すぐ塾に通って勉強するよりは、入れる私立に入って好きなことをしたいのは当然。
学校情報を公開して欲しい
・私立中学校に比べ、ホームページから得られる学校情報が少ないように思う。学校選択に役立てるためにも、もっと細く更新してほしい。
・学校経営計画や外部評価は、他区ホームページでも公開されているが、ほとんど区別がなく実際のところ有益な情報ではない(大抵が抽象的な表現)。もっと具体的な数値・統計(平均や分散・分布など)による、客観的情報を発信してほしい。
・取り組んでいる情報をきちっと公開すべき。
・学校公開等を積極的に行い、各学校の良い点・悪い点を含め、特色をもっとアピールしていってほしい。
楽しく学校生活が送れるようにして欲しい
・学校が楽しいと思えるような雰囲気作りがとても大切。教員が子どもたちの変化に敏感で、皆で一緒に頑張れるような学校生活を送れるように、日々教員が熱く子どもに接してほしい。
・子どもにとって楽しい学校生活が送れるような環境を希望する。
・心を広く、大きく持った大人に成長させる教育を。不必要な規則は要らないと思う。怒ってばかりの教育のような気がする。楽しく学校へ通える環境を。
教員の異動の廃止・延長などの見直しをして欲しい
・教職員の異動が東京都全域で行なわれてしまうため、港区の教育施策を理解している教職員方が他の区市町村へ異動してしまうことが問題としてある。一部の区で実施している区費負担の教員採用を行って、港区の教育をずっと担っていける教員を育成することも必要である。
・不安点は教員の異動により、学校の良い点やカラーが変わってしまうのではないかということ。公開授業や説明会・見学をした時点では良い印象や教員方への信頼を感じても、入学する時にはもう違い、教員がいないのではないかと思い、区立離れになってしまう。
・私立に比べると校長教員以下の異動の頻度が高いせいか、校風・伝統といった学校選択の根幹が引き継がれにくいように思う。工夫が必要ではないか?
生徒数のバランスを考えて欲しい
・学校によって生徒数が多かったり少なかったりして、そのため空き教室のあるところは授業以外にも大いに活用でき、さまざまな取り組みができているのに、人数の多いところは教室内で、自分の持ち物を片付けるのでさえ悪戦苦闘(低学年のうちが特に)している。またプールや運動場なども同じ公立なのに、良い環境の所とそうでない所があり不平等だと思う。
・生徒数が少ない学校は部活動があまりできないし、生徒が多い学校ではいじめなど(人格形成が必要)の話がある。学校の質を向上させ、親・地域の方も、生徒のよき理解者として参加していかなければ、良い学校にはならないと思う。
・学区域の中学校への進学人数が極端に少ない場合、どのようにすればいいか早急に改善してほしい。できれば近所の中学校に行かせたいのに、生徒数が少なくては子どもたちの社会が狭すぎて、次の年度も入学者数が減り悪循環になると思う。外の学区域の中学に通わせるには交通費もかかってしまうし、本当は嫌だ。
受験対策の実施
・大学受験を考えた小中高の教育を進めるよう希望する。
・私立中学への入学者が多く、区立中学の学力レベルが心配。高校受験に対応できる指導をお願いしたい。
・基礎から応用まで受験に対応できる授業を、習熟度に合わせて、きめ細かく対応できるようにしてほしい。
授業時間が少ない/土曜日の授業を実施して欲しい
・義務教育中の一番大切な時期の子どもたちの教育を疎かにすれば、この国の将来は暗くなると思う。ゆとりも見直されたが、「わかる」ができるになるようにしっかり演習などをする時間が取れるような授業数が必要と考える。小学校で読み・書き・計算の基礎ができていない子は、生涯苦労すると思う。
・私立と区立の授業数を比べただけでも格差がありすぎる。
・年間を通して休みが多すぎる。冷房が設置されているのだから、7月中は学校があっても良いと思う。土曜日の使い方も工夫すべきである。授業だけではなく、クラブ・委員会活動・道徳など考えてほしい。私立は土曜日も学校があるので、全体的にゆとりがあると聞いている。中高一貫も大切だが、土曜授業の復活を希望する。
子どもの安全確保をして欲しい
・学校選択希望制は、生徒の登下校時の安全確保についての問題を提起していると考える。セキュリテイ上の問題は、どのような基本の考え方で行なわれているのか聞こえてこない。
・耐震補強等の安全性を高めてほしい。
・家庭環境・学習レベル・子どもの安全を考えると、どうしても現状の区立中学校に不安を感じてしまう。通いやすい中学校が実現されることを願っている。