第4節 中学校について

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①現在通っている中学校について
 現在通っている中学校について尋ねたところ、全体では「私立中学校」が43.7%で最も割合が高く、次いで「通学区域内の区立中学校」(30.2%)と続く。通学区域内と通学区域外を合わせた区立中学校に通っている割合は51.1%となっている。
 卒業した小学校別にみると、通学区域内の区立小学校に通っていた子どもは「通学区域内の区立中学校」と「私立中学校」に進学した割合が3割台で、ほぼ同じ割合となっている。一方、私立小学校に通っていた子どもは「私立中学校」に進学した割合が93.2%と高く、通学区域外の区立小学校を卒業した子どもでも「私立中学校」に進学した割合が48.4%と高い。

図表6-4-①-1 現在通っている中学校について(卒業した小学校別)

 中学校通学区域別にみると、半数以上の区域では「私立中学校」に通っている割合が最も高くなっているが、御成門中学校区、赤坂中学校区では「通学区域内の区立中学校」、港陽中学校区、港南中学校区では「通学区域外の区立中学校」の割合が最も高い。

図表6-4-①-2 現在通っている中学校別(中学校通学区域別)

②中学校を選んだ理由(第1位~3位までの順位付け)
 現在、通っている中学校を選んだ理由について、19項目を第1位、第2位、第3位の順で挙げてもらい、各順位の割合を積み上げ、上位5項目を棒グラフにした。
 通学区域内の区立中学校を選んだ理由は「自宅に近いから」が最も多く挙げられ、第1位の割合が51.5%で半数以上となっている。私立中学校を選んだ理由は「教育方針や教育内容が良い」が多く、第1位の割合が42.8%と高い。

図表6-4-②-1 中学校を選んだ理由(学校別 上位5項目)

 項目ごとに第1位に挙げられた回答数に3点、第2位に挙げられた回答数に2点、第3位に挙げられた回答数に1点のウエイト付けをした。その合計点に占める各項目の点数の割合をグラフにした(上位5項目)。
 通学区域内の区立中学校では「自宅に近い」割合が35.8%と大幅に高い。一方、私立中学校では「教育方針や教育内容が良い」割合が29.6%で最も高い。

図表6-4-②-2 中学校を選んだ理由(学校別 上位5項目)

③区立中学校へ進学しなかった理由(17項目中3つまでの複数回答)
 区立中学校以外に進学した子どもの保護者に区立中学校へ進学しなかった理由を尋ねた。
 全体では「教育方針や教育内容が合わない/求めているものとは違ったから」が34.4%で最も割合が高く、以下「学習レベルが低いから」、「中高一貫校ではないから」(各30.9%)と続く。「その他」には、「本人の希望だから」、「先生の資質が良くないから」等の回答があった。

図表6-4-③ 区立中学校へ進学しなかった理由(通っている中学校別)

④中学校に関する情報の収集方法(複数回答)
 中学校に関する情報の収集方法は、全体では「学校公開・学校説明会等で」が74.1%で最も割合が高く、以下「学校のホームページ・学校案内で」(48.5%)、「近所の親どうしのくちコミで」(40.2%)と続く。「その他」には、「塾」から情報収集する回答が多かった。
 通っている中学校別にみると、中学校の種類に限らず、一番の情報源は「学校公開・学校説明会等で」となっている。私立中学校では「体育祭・文化祭等学校行事で」、「インターネットで」等で情報収集する割合が全体より高い。

図表6-4-④ 中学校に関する情報の収集方法(通っている中学校別)

⑤よく耳にする中学校の話題(複数回答)
 区立中学校、私立中学校の話題10項目(※)について、良い話題、悪い話題どちらを耳にするか尋ねた。
 
※尋ねた話題10項目
  ・先生の資質について  ・学習内容について    ・受験対策について
  ・生徒の学力について  ・いじめや風紀について  ・部活動について
  ・校風について     ・設備について      ・環境・立地について
  ・学校の規模について
 
 「先生の資質」、「学習内容」、「受験対策」、「生徒の学力」の勉強面については、私立中学校では良い話題の割合が高く、区立中学校では悪い話題の割合が高い。「いじめや風紀」については、区立中学校での悪い話題が43.0%と高い。「部活動」「校風」、「設備」、「環境・立地」、「学校の規模」は区立、私立中学校ともに良い話題の割合が高い。「環境・立地」については私立中学校より区立中学校の良い話題を聞いた割合が10.2ポイント高い。
 
図表6-4-⑤ よく耳にする中学校の話題


<先生の資質について>


<学習内容について>


<受験対策について>


<生徒の学力について>


<いじめや風紀について>


<部活動について>


<校風について>


<設備について>


<環境・立地について>


<学校の規模について>

⑥子どもの中学校での生活ぶりの把握
 子どもの中学校での生活ぶりの把握について、全体の66.7%は「だいたい把握している」と回答し、「かなり把握している」(13.0%)を合わせた『把握している』割合は8割弱となっている。
 通っている中学校別にみると、区立中学校(通学区域内、通学区域外)より私立中学校に通っている子どもの保護者で生活ぶりを把握している割合が高い。

図表6-4-⑥ 子どもの中学校での生活ぶりの把握(通っている中学校別)

⑦中学校の運営や行事への関わり
 中学校の運営や行事への関わりについて、全体では「ある程度参加している」が52.8%で最も割合が高い。

図表6-4-⑦ 中学校の運営や行事への関わり(通っている中学校別)

⑧現在の中学校の教育内容や施設等の満足度
 現在の中学校の教育内容や施設等の満足度を尋ねたところ、全体では「まあまあ満足している」が58.0%で、「かなり満足している」(27.8%)を合わせた『満足している』割合が85.8%で全体の8割以上となっている。
 通っている中学校別にみると、子どもが私立中学校に通っている保護者で「かなり満足している」割合が43.2%と高く、全体の27.8%より15.4ポイント高い。
 「やや不満である」、「とても不満である」と回答した人に理由を尋ねたところ、「施設や設備に対する不満」、「学習指導・内容に対する不満」、「教員の資質に対する不満」が挙げられた。

図表6-4-⑧ 現在の中学校の教育内容や施設等の満足度(通っている中学校別)

⑨区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容(第1位~3位までの順位付け)
 区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容について、11項目を第1位、第2位、第3位の順で挙げてもらい、各順位の割合を積み上げ、棒グラフにした。
 区立中学校へ進学する子どもを増やすために「受験対策を含めたレベルの高い授業」を第1位に挙げた割合が最も高く、第2位に挙げている割合も高い。

図表6-4-⑨-1 区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容

 項目ごとに第1位に挙げられた回答数に3点、第2位に挙げられた回答数に2点、第3位に挙げられた回答数に1点のウエイト付けをした。その合計点に占める各項目の点数の割合をグラフにした。
 割合が最も高い項目は、「受験対策を含めたレベルの高い授業」(26.7%)で、以下「先生の資質の向上」(19.3%)、「中高一貫校の設置」(13.1%)と続く。

図表6-4-⑨-2 区立中学校へ進学する子どもを増やすために充実させる内容

⑩区立中学校において今後充実を希望するもの(32項目中5つまでの複数回答)
 区立中学校において今後充実を希望するものは「質の高い教員の育成・確保」が65.9%で最も高く、以下「習熟度別授業、少人数指導」(58.7%)、「土曜特別講座・夏休みの補習」(39.1%)、「英語教育の推進・国際コミュニケーション能力の育成」(35.7%)と続く。

図表6-4-⑩ 区立中学校において今後充実を希望するもの(通っている中学校別)

⑪区立中学校の学校選択希望制について
 区立中学校の学校選択希望制について尋ねたところ、全体では5割強が「続けてほしい」と回答している。
 通っている中学校別にみると、子どもが通学区域外の区立中学校に通っている保護者では「続けてほしい」割合が6割以上と高い。

図表6-4-⑪ 区立中学校の学校選択希望制について(通っている中学校別)

⑫区立小中学校に対する要望・意見について
 区立小中学校に対する要望・意見について、自由回答形式で尋ねた。
 「教員の質の向上」が37件で最も多く、次いで「学習内容の充実」(17件)と続く。「学習内容の充実」では、「教育レベルの向上」以外に「受験対策の実施」など具体的な要望があった。

図表6-4-⑫ 区立小中学校に対する要望・意見について(複数回答)

区立小中学校に対する要望・意見に書かれた主な意見を抜粋した。
教員の質の向上
・6歳からの未熟な子どもを教育するためには、教員の力を高めてほしい。勉強だけでなく、人間としてどうあるべきかの教育は大変だが、義務教育の9年間ほど子どもにとって大切な時期はない。また指導していく上で、児童心理に対する正しい知識も必要不可欠であると思う。
・港区内の教員のレベルを引き上げてほしい。子どもたちが「この教員に出会えてよかった」と思える教員が6年間を通じ、1人でもいてくれたなら幸せだと感じるが、現状は教員方が立場を気にしてか、問題から目をそらし、逃げているように思う。
・教員の充実は最重要。保護者・生徒による教員評価制度を設けてほしい。今の教員は子どもの事を分っていない。いじめ暴力に対する指導もできない。子どもの上辺しか見ていない。表面的のみの対応。指導できないからと、問題を見て見ぬふりするのは止めてほしい。隠すことを止めて透明性を持たせてほしい。学校の評判・体面よりも、もっと一人一人の生徒のことを考えてほしい。善悪の判断のできる教員をもっと増やしてほしい。たとえ小学生といえども、悪いことは悪いと、もっときちんと指導できる教員を増やしてほしい。
・教員が教育する者として権限を持って、強い姿勢で生徒を導いてほしいと思う。保護者に遠慮せず、教育上必要と判断されることについては強制されてもかまわない。例えば土曜講座への参加・補講・部活動・ボランティア活動も然り。今の子どもたちは、選択の自由をいい口実に、嫌なことも頑張ってみるという気持ちが育ちにくいように思う。ただし、この根本に教員方の資質が高いことが絶対条件。
・教育について問われる時、まず第1は学校・家庭の双方で1人の人間を世に送り出すための、努力・姿勢・目標が肝要であると思う。個人の家庭はそれぞれだが、まず教員の教員としての資質の向上を望む。
・教員に対し、レベルの高いスキルを望む。
・教員の質に差があるように感じる。学校行事等で教員が生徒に向って乱暴な言葉で怒鳴っている様子は、とても教育的指導とは思えない。教育者以前の「人としての常識」「社会常識」に疑問を感じることがあるので、改善を希望する。
・色々な子どもたちがいる公立(区立)だからこそ、担任力が大切なのではないか。心の教育がしっかりできる教員を育ててほしい。
 
学習内容の充実
・レベル別の教育を充実してほしい。
・区立でもエリート教育的な、教育レベルの高い授業をしてくれる学校があればと思う。
・小学校の延長で、中学3年間ずるずる仲間意識の思い違いで過ごし、高校受験でいきなり区外の人との競争になるので、公立の子は勝てない。仲良しこよしを卒業させ、少し競争心をあおらないと。
・思いのほか区立中学も良い点が多く、受験への体制がしっかりとしていれば、区立中へ通学する利点をもっとアピールできると思う。
・質の高い特徴ある教育方針を実施し、実績を上げてほしい。区立中学へ行かせても安心して高校受験に臨めるような教育、そして生徒指導を行ってもらえれば、区立中へ行かせたいと思う。
・英語教育の充実(外国人講師の充実など)。
・港区の特色(大使館や寺、企業などが多い)を活かし、英語や外国語教育の充実、寺から道徳教育、企業からコミュニケーション能力などの充実を図ったらどうか?
 
中高一貫校があると良い
・多感な3年間で、高校受験への内申点を含めた評価をしなければならないことに、無理があると思う。公立も中高一貫教育が望ましいと思う。
・港区独自の中高一貫を作るべきだと思う。
・中高一貫に早くしてほしい。質の良い授業とレベルの高い教育があれば、わざわざ高い授業料を払ってまで、私学受験する人は減ると思う。
・港区の学校はとても充実していると思う。私立校に負けない魅力がたくさんあると感じるが、高校受験や大学受験が先にあるために、私立校に行ってしまうと思う。港区で中高一貫校ができたら良いと思う。
 
子どもの学力向上
・地域の学校に通うことで友達とも一緒に育つことができ、近所の親同士の連携もでき、学校と一体となって子どもたちの健やかな成長を見守ることができるので、一層の学力向上を目指しつつ充実した区立小中学校の運営を希望する。
・区立中学ももう少し授業数を増やし、宿題も増やし、学力向上に力を入れてもいいのではと思う。親同士の会話でも、やはり区立における一番不安な点はそこにあると思う。結局は塾で補わざるを得ない現状が問題だと思う。
・小中学校どちらでも、学力の差があると思う。受験する、しないに限らず、ある程度の学力に向上させるための補習等が必要かと思う。
 
部活動を充実して欲しい
・各中学どこも人数的な問題はあるにしても、部活動の数が少ない。入りたい部が通学している中学にない子どもにとって、学校の魅力は半減する。
・都心部にあって校舎や敷地が広々とした中学校は、狭い私立に比べてとてもいいと思う。素晴らしい設備をフルに活用して、教員方や部活動などの魅力をもっと周知させれば、興味が持てるのではないかと思う。
・部活を活発にしてほしい。そうすれば私学に入れる必要がない。
 
いじめを防止して欲しい
・陰湿ないじめの排除。しっかりとした教育体制を切に望む。
・区立は色々な家庭環境の子どもが集まるため、良い社会勉強の場ともなるが、いじめの問題などは深刻なものもあると思う。どんな理由があろうともいじめる側が悪いと、強い姿勢で対応しなければ、いじめはなくならない。日本ではいじめられている子に我慢を強いて(気にするな、無視していればいい)、いじめている子には口頭で軽く注意するだけ。これではいじめはなくならない。
・いじめの問題は子どもの問題だけではないと思う。加害者の立場の子どものケア(親を交えて)が、最も重要だと思う。いじめる側のストレス(原因はそれぞれ)を緩和しなければ、問題は解決しないと思う。教員方も全力を込めて指導してくれているとは思うが、いじめられる子へのケアはもちろん、いじめをする側への対処が甘いと思う。
 
少人数制を増やして欲しい
・学力の差を埋めるために、少人数・習熟度別授業をもっと行なってほしい。区立中に通学しているだけで(塾等に行かず)、レベルの高い高校に行けるなんて誰も思っていない。ただでさえレベルの高い高校が、中高一貫になり選択肢が減っているのに。
・目の前の問題をすぐに解決できるように、臨機応変にすぐに対処してほしい。クラスを少人数に分けるとか、職員の数を増やすとかは、すぐにできるようにしてほしい。できれば1クラス30人以下にしてほしい。
・区は学校の統廃合を進めているが、大きい学校、小さい学校それぞれの良さがあると思う。少人数の学校の良さに、もっと注目してほしい。
 
学校ごとの特色を出して欲しい
・学校ごとの特色がなかなか見えない。人数が少ない学校は進学に力を入れるなどしないと、どんどん人数が少なくなると思う。
・中学校は一人一人の得意科目や技能(体育・音楽等)を大きく伸ばせるよう、どの学校も一律ではなく、理科の設備が整っている・広いグラウンドがあるなど学校ごとに特色を持たせ、ある程度傾向の似た生徒が集まるようにしたら良いと思う。
・それぞれの学校の特色を出していってほしい。例えば勉強・部活など。
 
学校選択希望制をなくして欲しい
・学校選択希望制は、長期的には学校間の不均衡を助長し、区立中学校の衰退を招くものと考える。
・人気のある学校に生徒が集中してしまい、他校(人気のない)との人数の差がありすぎる。区立で選択制にする意味があるのか?
 
授業時間が少ない/土曜日の授業を実施して欲しい
・本来なら、私立中に親は通わせたくない。ほとんどの親は皆そう言っている。あまりにも公立の授業時間が少なすぎ、教員方にも緊張感が無く(プロが少なく)、教育の場とはいえない状況があるので、仕方なく私立中を選択しているだけ。
・授業日数を増やしてほしい。私立と同じくらいの授業時間を確保してほしい。公立と私立で格差があると、公立に通う子どもは塾などで格差を埋めないといけなくなり、親の経済的負担が増えて大変。未来を担う子どもの教育は、公費で負担してほしい。
・土曜も授業日に戻して、基礎学力をつけさせるべき。