(1)計画の背景

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 国では、近年、減少の一途をたどる出生数と合計特殊出生率1並びに少子化に対する抜本的な対策を講じるため、平成15年7月に「少子化社会対策基本法」及び「次世代育成支援対策推進法」を制定し、同時に地域子育て支援の強化策を盛り込んだ「児童福祉法」の改正や育児休業期間の延長等を盛り込んだ「育児・介護休業法」の改正等の関連法の見直しを行うなど、次世代育成支援対策の新たな取組み強化をスタートしました。
 
 「次世代育成支援対策推進法」は、少子化に対処するための施策を総合的に推進し、国民が豊かで安心して暮らすことのできる社会の実現を目的に制定された「少子化社会対策基本法」の趣旨を受け、地方公共団体と企業における10年間の次世代育成支援対策に関する集中的、計画的な取組みを促進することを目的とするもので、すべての自治体及び301人以上(平成23年4月以降は101人以上)の従業員を抱える企業に、行動計画の策定を義務づけています。
 
 港区においても、次世代育成支援対策推進法第8条第1項の規定に基づき、平成17年3月「港区次世代育成支援対策行動計画(平成17年度~21年度)」を策定しました。
 前期行動計画では、「家庭と地域、行政が協働し、子ども自身とすべての子育て家庭を支援する 子どもたちが心身ともに健やかにはぐくまれる『子育てほっとタウンみなと』をつくる」を基本理念として、施策を推進してきました。
 
 平成21年1月に発表された、厚生労働省の「平成20年 人口動態統計の年間推計」によると、我が国の合計特殊出生率は、平成17年に過去最低の1.26を記録した後、徐々に回復し、平成20年では1.37と改善をみています。
 しかし、政府が平成19年2月に設置した「子どもと家庭を応援する日本」重点戦略会議が同年12月に発表した「検討会議のとりまとめ」では、我が国では今後一層少子化、高齢化が進行し、本格的な人口減少社会が到来し、このことは単に少子化や人口規模の縮小の問題のみならず、我が国の経済社会に大きな影響をもたらすとの懸念が示されています。
 我が国の経済社会の持続的な発展を図るためにも、国においては今後、「働き方の見直しによる仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現」とその社会基盤となる「包括的な次世代育成支援の枠組みの構築」を「車の両輪」として同時並行的取組みを推進することとしました。
 
 こうした動きの中、平成19年12月、関係閣僚、経済界・労働界・地方の代表等の合意のもと「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」と「仕事と生活の調和推進のための行動指針」が策定され、同時に、社会保障審議会少子化対策特別部会が設置、開催され、次世代育成支援のための新たな制度設計に向けた検討がスタートしました。
 社会保障審議会少子化対策特別部会では、平成21年2月、子育てを取り巻く近年の大きな環境変化、現行保育制度の課題への対応、すべての子育て家庭に対する支援のための新たな制度設計の方向性などの考え方を示した第1次報告を発表しました。
 また、平成21年8月に行われた衆議院議員選挙の結果、政権交代が行われ、子ども手当の創設や保育サービス、学童保育の一層の充実など、今後の次世代育成支援に関する政策も大きな転換が図られることも予想されています。
 
 港区では、基本構想の将来像「やすらぎある世界都心・MINATO」をめざし、平成21年度から26年度までの6年間を計画期間とする新たな基本計画・実施計画を改定し、「かがやくまち」、「にぎわうまち」、「はぐくむまち」の分野別の計画と区役所・支所改革の実施に伴う各地区総合支所の地区版基本計画に基づく施策を推進しています。
 また、あわせて策定した地域保健福祉計画においても、子育て支援について、明日の港区を支える子どもたちを育むため、安心して子育てができ、子どもたちを健やかに育む地域社会の実現をめざし、子育ち・子育て支援策を推進しています。
 港区次世代育成支援対策行動計画(平成17年度~21年度)の策定から5年が経過するなか、国の動向や関係法令の改正や急激な経済状況の変化に対応するとともに、区役所・支所改革の実施、人口増加に伴う年少人口の急激な増加など都心港区特有の課題も多くあります。急激な環境変化に対応し、新たなテーマや緊急に対応すべき果題解決に向けた取組みが求められています。


1合計特殊出生率:人口統計上の指標で、一人の女性が一生に産む子どもの数を示す割合です。