
施策の方向性
1.すべての子どもと家庭へのサービスの充実
平成15年の児童福祉法の改正により、法の趣旨が「要保護児童及び保育に欠ける児童対策」中心から、「すべての子育て家庭への支援」に改められ、地域における子育て支援事業が区市町村の責務として明確に位置づけられました。これにより、すべての子育て家庭を視野に入れ、子育てをしやすい環境や子育て支援の体制づくりが求められています。
平成20年度に実施した港区次世代育成支援対策行動計画(後期)策定に伴うニーズ調査では、子育て支援事業について望むこととして、「保育園や幼稚園を増やしたり利用日数の拡充」が最も高く、次いで「子育てにかかる経済的負担の軽減」や「子どもが安心して遊べる公園などの整備」が続いています。その他、「子連れでも出かけやすく楽しめる場所の増加」、「防犯対策の強化」、「児童手当の充実」も高くなっています。
多様な保育サービスの充実に加えて、地域で子どもが健やかに過ごせる環境づくり、経済的支援が求められていることから、子育ての多様なニーズに対応する総合的な施策を推進していくことが大切です。
基本的な施策
(1)子育て支援サービスの充実
核家族化の進行やライフスタイルの変化などにより、子育て環境も多様化しており、特に在宅で子育てをしている家庭では、子育ての孤立化などが問題となっています。在宅での子育て家庭を総合的に支援するため、サービスを充実します。

【重点事業1】

【推進事業】
その他計画事業
●ショートステイ事業等の充実
ショートステイ事業(家庭で一時的に子育てが困難な場合の短期間の養育)やトワイライトステイ事業(仕事等で帰宅が夜間になる場合の預かり)を充実します。
●みなと子育てサポートハウス(あい・ぽーと)の充実
子育てひろば事業、乳幼児一時預かり事業等を実施するみなと子育てサポートハウス事業を充実します。
●遊びと遊び場の充実
子どもがのびのびと遊べる環境をつくり、遊びと遊び場の充実を図ります。
●子ども医療費助成
中学3年生までの子ども医療費助成を行います。
●出産費用の助成
60万円を上限に、出産費用から健康保険組合等の出産育児一時金等を差し引いた金額を助成します。
(2)幼児教育の充実
幼稚園は、公私立それぞれ特色ある幼児教育を進めており、区立幼稚園としても、さらに特色ある幼稚園づくりを進めていきます。また、地域での子育て支援の一環として、幼稚園を活用して、保育所や幼稚園に通っていない子どもたちの保護者への支援にも努めるなど、「港区幼児教育振興アクションプログラム」に基づき、公私立幼稚園とともに幼児教育の充実を図っていきます。
また、小学校就学前の幼児教育を公私立幼稚園ともに充実させ、子どもたちに良好な教育環境を提供します。

【重点事業2】

【推進事業】
その他計画事業
●幼稚園での子育てサポート保育
高輪、にじのはし幼碓園において、通常の保育終了から午後4時30分までの預かり保育を行います。
●地域での子育て支援事業の充実
幼稚園での保育内容の充実、小・中学校と連携した教育に取り組みます。
施策の方向性
2.保育サービスの充実
近年は、女性の就業率の上昇や育児休業制度の充実などにより、出産後も保育所などを利用して働き続けたいという女性が多くなっています。都心回帰とあいまって、保育所への入所希望は年々増加し、全国的に多くの保育園待機児童が発生しています。
港区の保育園の待機児童は、0、1、2歳の低年齢児を中心に平成18年度から増加に転じ、予想を上回る乳幼児人口の増加とあいまって、平成21年4月には263人となっています。
今後も、女性の就労意向は高まることが予想されることから、子育てと仕事を両立しながら利用できる多様な保育サービスの充実を図る必要があります。
基本的な施策
(1)保育園待機児童解消の推進
港区では、待機児童の解消に向け認可保育園の新設、改築・改修に伴う定員拡大、認証保育所の誘致、緊急暫定保育施設の設置等、様々な施策を推進してきました。しかし、予想を上回る人口増等による保育需要の高まりにより、保育園の入園を待機している児童が増加しています。
安心して働き、子育てができる環境を整備するため、保育園待機児童の解消に努めます。

【重点事業3】
その他計画事業
●育児休業明け入所予約制度の充実
育児休業明けに保育園の入所ができるよう、予約制度を充実します。
●大規模開発における保育所付置の要請
大規模マンション等を建設する際、施設内保育所の付置を要請します。
(2)保育園管理運営の充実
保育園には、乳幼児の健やかな育ちや保護者の子育て力向上への支援、障害のある子どもの受入れや保育内容の充実など様々な機能が求められています。これらの多様な保育ニーズに応えていくためには、区を始めとし、公益法人、NPO、民間事業者等、様々な事業主体による対応が必要です。一方では、これらの多様な事業主体に対する指導監督を通して保育の質を確保していくことが大切であり、保育園管理運営の充実が求められています。

【重点事業4】

【推進事業】
その他計画事業
●乳幼児期のふさわしい心身の発達を促す保育の推進
一人ひとりの発達過程に応じて長期的見通しを持った保育を推進します。
●障害児保育の充実に向けた子ども療育部門との連携
療育、医療機関等関係機関との連携を図り、障害児保育を充実します。
●第三者評価等の積極的な活用
保育施設の改善、運営内容の向上のため第三者評価等を積極的に活用します。
●関係機関との連携の強化
保育園と幼稚園、小学校が定期的に意見交換や交流を行い、情報の共有化と連携強化を図ります。
(3)多様な都心型保育サービスの展開
核家族化や女性の就業率の向上、さらには急激な人口流入による新たな区民の増加などにより、保育サービスに対するニーズは多様化しています。
都心居住の特性に合わせた保育サービスをさらに展開していく必要があり、多様な保育サービスを提供するための都市型保育施設を整備充実します。

【重点事業5】

【推進事業】
その他計画事業
●認証保育所入所者への保育料助成の見直し
認証保育所の保育料一部助成制度について、見直しも含めた検討を行います。