
施策の方向性
1.子どもや母親の健康づくりの推進
少子化や核家族化の進行に伴い、家庭や地域において人間関係が薄れて保護者が孤立しがちになり、育児への不安感が強くなっています。こうした状況下で子どもが心身ともに健やかに育ち、親が笑顔で自信をもって子育てするためには、出産前の支援強化や出産後は、早期からの相談・健診体制の充実、さらには、虐待防止の視点や父親の育児参加の促進を含めた、安心して子どもを生み育てる環境整備が求められています。
基本的な施策
(1)母子保健・子育て支援の推進
少子化や核家族化が進行し、育児経験が少なく育児不安を抱いている子育て家庭が増えています。
子どもを健やかに生み育てるために、出産前から支援し、出産後は早期からの相談や健診体制を充実させるなど、環境の整備を進めます。
また、地域における人間関係が薄れるなど孤立しがちな保護者が多い中、地域で子どもたちが心身ともに健やかに育つためには、保護者の育児不安を軽減する支援を充実します。

【重点事業18】

【推進事業】
その他計画事業
●母子保健健康教育
月齢や対象別に講座の開催や情報提供、交流の場づくりによる育児支援を行います。
●育児不安及び虐待予防に視点を置いた健診・相談支援事業
子どもの疾病や障害の早期発見、要支援家庭の早期把握、育児不安やストレス軽減及び虐待予防に重点を置いた、相談、健診等を実施します。
●子どもの健康づくり支援
子どもの望ましい生活習慣、かかりやすい疾患、事故防止等育児に関する学習会を実施します。また、未成年者の喫煙、飲酒、薬物の危険に関する正しい知識の普及啓発を推進します。
(2)タバコ対策の推進
喫煙は、本人の健康に悪影響を及ぼすだけでなく、煙(副流煙)には有害物質が多く含まれ、周囲の人の健康も害します。特に、妊娠中の母親の喫煙や身近な人の喫煙により、出産への影響も明らかになっています。母子の健康を守る観点からタバコ対策を推進します。
その他計画事業
●禁煙教育、禁煙支援及び受動喫煙防止対策の推進
健康への影響に関する情報提供を行うとともに、禁煙指導、助言を行います。また、受動喫煙防止対策のための環境整備を推進します。
(3)地域における健康づくりの推進
PTA、商店、地域団体など地域と連携し、子どもたちが食を学び体験できる環境づくりを進めます。また、地域に栄養士が出張するなど、食に関する講座を開催します。
その他計画事業
●離乳食のつくり方講習会
離乳食のつくり方講習会を実施し、赤ちゃんの食事や栄養の情報を提供します。
●地域食育支援事業
地域団体や庁内の関係部署と連携し、子どもが食を学び、体験できる環境をつくります。地域の身近な会場に栄養士が出張し、食に関する講座を開催します。
施策の方向性
2.安心できる保健・医療体制の推進
低体重児やハイリスク妊娠の増加から周産期医療や小児医療へのニーズが増大する一方、これらを担う産科医や小児科医、医療機関が不足しています。当面は、子どもの増加が見込まれるなか、周産期医療、小児医療の充実が喫緊の課題となっています。
また、生涯にわたる健康な生活習慣を形成するための重要な時期である青少年に対し、エイズや性感染症に関する正しい知識の普及・啓発を図ります。
基本的な施策
(1)子どもを生み育てる環境を整える
産科医・小児科医不足等の問題が顕在化する中、港区においても分娩可能な産科のある病院は、この10年間で7か所から4か所へと減少しています。当面は、子どもの増加が引き続き見込まれるなか、周産期医療や小児医療の充実を図ります。

【重点事業19】
その他計画事業
●休日診療・救急医療機関体制や病気の基礎知識や対処に関する情報提供
東京都が実施する医療機関案内「ひまわり」や電話相談事業「母と子の健康相談室」などの情報提供を行うとともに、港区医師会が実施する「子育て支援ダイヤル」を周知します。
●かかりつけ医の推進
かかりつけ医を持ってもらうよう、情報提供等の充実を図ります。
(2)青少年のための感染症予防の推進
生涯にわたる健康な生活習慣を形成するために重要な時期である青少年に対し、エイズや性感染症に関する正しい知識の普及・啓発を図ります。
その他計画事業
●エイズや性感染症に関する正しい知識の普及・啓発
早期発見と予防のため、検査の機会と場の提供をするとともに正しい知識の普及啓発を行います。
施策の方向性
3.子どもの個性、地域の特性を生かす学校教育の推進
教育活動全体を通じて、あらゆる偏見や差別をなくし一人ひとりがかけがえのない人間として尊重されるよう、人権教育を推進します。
また、基礎的・基本的な学力の向上を図り、生涯を通して自ら学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力等の資質・能力の育成を重視し、一人ひとりの子どもの個性と創造力を伸ばす教育を展開する特色ある学校づくりを推進します。
子どもたちが健康で安全な生活を営めるよう、家庭・教育・地域社会および関係機関の緊密な連携のもとに、心と体の健康づくりと安全教育の推進を図ります。
さらに、我が国の国土と歴史に対する理解と愛情を育て、国際社会で活躍し、社会の変化に対応する能力と態度をはぐくむ教育を推進します。
学校施設については、災害時の安全確保のため計画的に耐震補強工事を進め、改築計画のない施設についてはすべて完了しており、今後、改築等計画にあわせて100%耐震化を進めるとともに子どもたちの健やかな成長や学びの充実を確保するために、幼稚園・学校の適正規模の確保や適正配置に取り組みます。
基本的な施策
(1)人権教育の推進
学校教育は、人権尊重の精神を基盤とした、知・徳・体の調和がとれた人格の完成をめざし、時代を担う健やかでたくましい子どもを育成することを目標としています。そのためには、「生きる力」をはぐくむという基本理念のもと、それぞれの地域の特性や一人ひとりの子どもの実情に応じて、個性や能力を伸長させる多様な教育活動を展開する必要があります。
一人ひとりがかけがえのない人間として尊重されるよう、子どもの発達段階に応じて、人権尊重の意識を高め、豊かな心をはぐくむ教育を推進します。
その他計画事業
●校外学習や体験学習
区の校外施設や借り上げ施設を活用し、自然とふれあう教育の推進に努めます。
●心の教育の推進
教育活動全体を通じ、幼児、児童、生徒の発達段階に応じた人権尊重の意識を高める教育を推進します。道徳授業地区公開講座(小・中学校)や心を育てる教育講座(幼稚園)を実施することのほか、性に関する基礎的・基本的な内容を発達段階に応じて正しく理解させる機会を設定するなど、家庭・学校・地域社会が連携し、豊かな人間性をはぐくむ指導を行います。
(2)魅力ある学校教育の推進
学校の教育活動を活性化させ、保護者や区民から信頼される、魅力ある学校づくりが一層求められています。これまでも特色ある教育活動として、基礎・基本の確実な定着を図るための指導の改善・充実や、国際科の新設、豊かな心を育てる教育の推進等に取り組んできました。
これからも幼稚園、小学校、中学校が連携を強化した学校づくりを進めるとともに、豊かな人間性をはぐくむ心の教育の推進や、一人ひとりに基礎・基本の確実な定着を図るための少人数指導の充実、特別支援教育の一層の充実・発展を図る必要があります。
また、子どもの読書に対する興味・関心を向上させ、その主体的・意欲的な学習活動を喚起するため、学校図書館のより一層の活用が求められています。
そのほか、子どもが、情報を取捨選択、活用する能力を向上させるため、ICT(情報コミュニケーション通信技術)活用を中心とした情報教育・情報モラル教育の推進も必要です。
世界的な環境問題の解決や循環型社会づくりの実現が求められていることから、子どもたちが、環境に対して広い視点から理解と認識を深める環境教育も重要です。
加えて新たに、港区独自の小・中学校9年間を一貫したカリキュラムの開発による小中一貫教育校を設置するなど、「教育の港区」として、子どもたちや保護者、地域に信頼される学校教育を推進していく必要があります。
保護者、区民から信頼される魅力ある学校づくりを推進するため、一人ひとりの子どもの個性と創造力を伸ばす取組みを展開します。

【重点事業20】

【重点事業21】

【推進事業】
その他計画事業
●学校教育の情報化
区立小・中学校のパソコン等の機器整備や、校内LANの整備に努めます。
●学習活動支援保護者負担軽減事業
補助教材、社会科見学などの学習活動等に支援を行い、保護者の負担軽減を図ります。
●学力向上のための施策の推進
少人数指導やコース別指導の充実を図ります。また、土曜特別講座、スクールボランティアの活用等の施策を実施します。
●情報教育の推進
全区立幼稚園・小・中学校でのネットワークを構築し、教育コンテンツを配信し授業で活用します。
(3)健全な心と体を育成する教育の推進
子どもたちが健康で安全な生活を営めるよう、健全な心と体を育成する教育を推進することが重要です。
学校では、道徳教育や体験的な活動を通して、自立心や責任感、思いやりや社会性をはぐくむ教育が求められています。
また、いじめの根絶や不登校の早期発見・早期対応などについて、組織的な取組みが必要です。
各学校における家庭との面談、生活指導主任教員、警察署との情報交換を通じて、家庭・学校・地域社会および関係機関が連携し、子どもたちが心身ともに健やかに成長できる取組みを推進します。

【推進事業】
その他計画事業
●幼児・児童・生徒の健全育成の充実
いじめや不登校等の解決に向けた取組みを充実します。とりわけ不登校に関しては、適応指導教室に専属カウンセラーを配置するとともに、教育センターとの連携強化を図り学校復帰への支援環境の充実を図ります。
●子どもたちの安全確保
全小学校への民間警備員の配置、防犯ブザーの配布、緊急時のメール発信等安全対策を実施するとともに、学校とPTA連携による通学時の子どもの安全確保に努めます。
●防犯・事故防止教育の充実
「薬物乱用防止教室」や「不審者対応訓練」、「地域安全マップの作成」等、防犯・事故防止教育の充実を図ります。
(4)国際社会に対応する教育の推進
世界中の国々で急速に進展している国際化に対応した教育を一層推進する必要があります。そのため、小学校での国際科、中学校での英語科国際により小学校段階からの系統的な英語教育を実施し、国際コミュニケーション能力を育成するとともに、国際社会の発展に貢献する資質向上をめざした国際理解教育を充実していく必要があります。
さらに、人口の一割を占める外国人の子どもたちに対して、教育の機会の多様性を図るため新たな国際教育に取り組む必要があります。
子どもたちが将来、広く国際社会で活躍するとともに国際社会に貢献することができるよう、国際コミュニケーション能力の育成を図る教育を推進します。

【推進事業】
(5)学校施設等の整備
学校施設は、子どもたちの一日の生活のうち大きな位置を占める施設であり、子どもたちの心と体を豊かにはぐくみ、安全で安心に学べるよう環境整備を進めています。
同時に、学校施設には、地域の人々の生活に貢献できる施設として求められています。そのためには、地域の景観になじみ、地域の核となるような学校施設の検討も必要です。さらに、地球規模の環境保護が叫ばれる時代に対応し、これからの学校施設は、環境負荷の低減にも役立てるような対策が必要です。
また一方では、学校教育を取り巻く社会環境の変化に迅速に対応するため、子どもたちへ多様な学習機会を提供する教育情報の発信基地として、また、教職員研修機能の充実や活力ある学校教育への支援活動の強化とともに、不登校や学習障害等で悩みを抱える子どもや保護者に対する教育相談機能を充実した施設として新教育センターの整備が必要です。
これまで、区立幼稚園、小・中学校の望ましい教育環境をめざし、区民や地域、学校関係者の理解のもとで、幼児、児童及び生徒の数や年少人口の推移等も踏まえ、区立学校の適正規模・適正配置の取組みを進めてきました。
今後も引き続き、区民や地域、学校関係者との連携・協力のもとで、魅力ある区立学校づくりに取組み、教育環境をさらに改善していくことで、学校教育の基盤を強化し、港区の特性を生かした教育施策を展開し、区立学校の就学率を向上していくことが必要です。
子どもたちが明るく健やかに成長できるよう、また、特色ある学校づくりをめざして学校施設等の整備を計画的に推進します。

【重点事業22】
その他計画事業
●幼稚園の適正規模・適正配置
今後の幼児人口、区立幼稚園への就園状況の推移を考慮し、適正規模・適正配置を進めます。
●学校施設の計画的な維持管理
学校運営が安全・安心かつ円滑になされるよう計画的な改修計画を立て実行します。
施策の方向性
4.自己実現を目指す学習活動の支援
子どもや保護者が自主的・主体的に学習活動ができるよう学習機会の充実を図るとともに、図書館機能の充実を図り子どもたちの読書活動を推進します。
基本的な施策
(1)学習機会の充実
核家族化などの影響により、家庭本来の子どもの人格を形成し、社会性を身につけさせるという機能が弱まってきていることが指摘されています。
家庭教育に対する学習の機会を充実し、家庭での子育てに自信を持って取り組んでもらえるよう支援します。
その他計画事業
●家庭教育学級(自主)
区立幼・小・中学校PTA等の家庭教育に関する自主的学習会等に対して講師謝礼を負担します。
(2)図書館機能の充実
子どもたちが自主的に読書活動を行うことができるよう、「子ども読書活動推進計画」に基づき、学校や子育て支援機関等との連携・協力により子どもの読書活動を推進します。
その他計画事業
●子どもの読書活動の推進
学校・子育て関係機関との連携により読書活動を推進します。ブックスタート事業を継続します。