6.児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)(抜粋)

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前文 省略
 
第1部
第1条(児童の定義)
 この条約の適用上、児童とは、18歳未満のすべての者をいう。ただし、当該児童で、その者に適用される法律により、より早く成年に達した者を除く。
第2条(差別の禁止)
1 締約国は、その管轄の下にある児童に対し、児童又はその父母若しくは法廷保護者の人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的、種族的若しくは社会的出身、財産、心身障害、出生又は他の地位にかかわらず、いかなる差別もなしにこの条約に定める権利を尊重し、及び確保する。
2 締約国は、児童がその父母、法定保護者又は家族の構成員の地位、活動、表明した意見又は信念によるあらゆる形態の差別又は処罰から保護されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第3条(児童に対する措置の原則)
1 児童に関するすべての措置をとるに当たっては、公的若しくは私的な社会福祉施設、裁判所、行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、児童の最善の利益が主として考慮されるものとする。
2 締約国は、児童の父母、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び養護を確保することを約束し、このため、すべての適当な立法上及び行政上の措置をとる。
3 締約国は、児童の養護又は保護のための施設、役務の提供及び設備が、特に安全及び健康の分野に関し並びにこれらの職員の数及び適格性並びに適正な監督に関し権限のある当局の設定した規準に適合することを確保する。
第4条(締約国の義務)省略
第5条(父母等の責任、権利及び義務の尊重)締約国は、児童がこの条約において認められる権利を行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利及び義務を尊重する。
第6条(生命に対する固有の権利)
1 締約国は、すべての児童が生命に対する固有の権利を有することを認める。
2 締約国は、児童の生存及び発達を可能な最大限の範囲において確保する。
第7条(登録、氏名及び国籍等に関する権利)省略
第8条(国籍等身元関係事項を保持する権利)省略
第9条(父母からの分離についての手続き及び児童が父母との接触を維持する権利)省略
第10条(家族の再統合に対する配慮)省略
第11条(児童の不法な国外移送、帰還できない事態の除去)省略
第12条(意見を表明する権利)
1 締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児竜の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。
2 このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続きにおいて、国内法の手続き規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。
第13条(表現の自由)
1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。
2 1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。
 (a)他の者の権利又は信用の尊重
 (b)国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護
第14条(思想、良心及び宗教の自由)
1 締約国は、思想、良心及び宗教の自由についての児童の権利を尊重する。
2 締約国は、児童が1の権利を行使するに当たり、父母及び場合により法定保護者が児童に対しその発達しつつある能力に適合する方法で指示を与える権利及び義務を尊重する。
3 宗教又は信念を表明する自由については、法律で定める制限であって公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳又は他の者の基本的な権利及び自由を保護するために必要なもののみを課することができる。
第15条(結社及び集会の自由)
1 締約国は、結社の自由及び平和的な集会の自由についての児童の権利を認める。
2 1の権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公共の安全、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
第16条(私生活等に対する不法な干渉からの保護)
1 いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない。
2 児童は、1の干渉又は攻撃に対する法律の保護を受ける権利を有する。
第17条(多様な情報源からの情報及び資料の利用)省略
第18条(児童の養育及び発達についての父母の責任と国の援助)
1 締約国は、児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法定保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する。児童の最善の利益は、これらの者の基本的な関心事項となるものとする。
2 締約国は、この条約に定める権利を保障し及び促進するため、父母及び法定保護者が児童の養育についての責任を遂行するに当たりこれらの者に対して適当な援助を与えるものとし、また、児童の養護のための施設、設備及び役務の提供の発展を確保する。
3 締約国は、父母が働いている児童が利用する資格を有する児童の養護のための役務の提供及び設備からその児童が便益を受ける権利を有することを確保するためのすべての適当な措置をとる。
第19条(監護を受けている間における虐待からの保護)
1 締約国は、児童が父母、法定保護者又は児童を監護する他のものによる監護を受けている間において、あらゆる形態の身体的若しくは精神的な暴力、傷害若しくは虐待、放置若しくは怠慢な取扱い、不当な取扱い又は搾取(性的虐待を含む。)からその児童を保護するためすべての適当な立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。
2 1の保護措置には、適当な場合には、児童及び児童を監護する者のために必要な援助を与える社会的計画の作成その他の形態による防止のための効果的な手続き並びに1に定める児童の不当な取扱いの事件の発見、報告、付託、調査、処置及び事後措置並びに適当な場合には司法の関与に関する効果的な手続きを含むものとする。
第20条(家庭環境を奪われた児童等に対する保護及び援助)
1 一時的若しくは恒久的にその家庭環境を奪われた児童又は児童自身の最善の利益にかんがみその家庭環境にとどまることが認められない児童は、国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有する。
2 締約国は、自国の国内法に従い、1の児童のための代替的な監護を確保する。
3 2の監護には、特に、里親委託、イスラム法のカファーラ、養子縁組又は必要な場合には児童の監護のための適当な施設への収容を含むことができる。解決策の検討に当たっては、児童の養育において継続性が望ましいこと並びに児童の種族的、宗教的、文化的及び言語的な背景について、十分な考慮を払うものとする。
第21条(養子縁組に際しての保護)省略
第22条(難民の児童等に対する保護及び援助)省略
第23条(心身障害を有する児童に対する特別の養護及び援助)
1 締約国は、精神的又は身体的な障害を有する児童が、その尊厳を確保し、自立を促進し及び社会への積極的な参加を容易にする条件の下で十分かつ相応な生活を享受すべきであることを認める。
2 締約国は、障害を有する児童が特別の養護についての権利を有することを認めるものとし、利用可能な手段の下で、申込みに応じた、かつ、当該児童の状況及び父母又は当該児童を養護している他の者の事情に適した援助を、これを受ける資格を有する児童及びこのような児童の養護について責任を有する者に与えることを奨励し、かつ、確保する。
3 障害を有する児童の特別な必要を認めて、2の規定に従って与えられる援助は、父母又は当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えられるものとし、かつ、障害を有する児童が可能な限り社会への統合及び個人の発達(文化的及び精神的な発達を含む。)を達成することに資する方法で当該児童が教育、訓練、保健サービス、リハビリテーション・サービス、雇用のための準備及びレクリエーションの機会を実質的に利用し及び享受することができるように行われるものとする。
4 締約国は、国際協力の精神により、予防的な保健並びに障害を有する児童の医学的、心理学的及び機能的治療の分野における適当な情報の交換(リハビリテーション、教育及び職業サービスの方法に関する情報の普及及び利用を含む。)であってこれらの分野における自国の能力及び技術を向上させ並びに自国の経験を広げることができるようにすることを目的とするものを促進する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第24条(健康を享受すること等についての権利)
1 締約国は、到達可能な最高水準の健康を享受すること並びに病気の治療及び健康の回復のための便宜を与えられることについての児童の権利を認める。締約国は、いかなる児童もこのような保健サービスを利用する権利が奪われないことを確保するために努力する。
2 締約国は、1の権利の完全な実現を追及するものとし、特に、次のことのための適当な措置をとる。
 (a)幼児及び児童の死亡率を低下させること。
 (b)基礎的な保健の発展に重点を置いて必要な医療及び保健をすべての児童に提供することを確保すること。
 (c)環境汚染の危険を考慮に入れて、基礎的な保健の枠組みの範囲内で行われることを含めて、特に容易に利用可能な技術の適用により並びに十分に栄養のある食物及び清潔な飲料水の供給を通じて、疾病及び栄養不良と戦うこと。
 (d)母親のための産前産後の適当な保健を確保すること。
 (e)社会のすべての構成員特に父母及び児童が、児童の健康及び栄養、母乳による育児の利点、衛生(環境衛生を含む。)並びに事故の防止についての基礎的な知識に関して、情報を提供され、教育を受ける機会を有し及びその知識の使用について支援されることを確保すること。
 (f)予防的な保健、父母のための指導並びに家族計画に関する教育及びサービスを発展させること。
3 締約国は、児童の健康を害するような伝統的な慣行を廃止するため、効果的かつ適当なすべての措置をとる。
4 締約国は、この条において認められる権利の完全な実現を漸進的に達成するため、国際協力を促進し及び奨励することを約束する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第25条(児童の処遇等に関する定期的審査)省略
第26条(社会保障からの給付を受ける権利)省略
第27条(相当な生活水準についての権利)省略
第28条(教育についての権利)
1 締約国は、教育についての児童の権利を認めるものとし、この権利を漸進的にかつ機械の平等を基礎として達成するため、特に、
 (a)初等教育を義務的なものとし、すべてのものに対して無償のものとする。
 (b)種々の形態の中等教育(一般教育及び職業教育を含む。)の発展を奨励し、すべての児童に対し、これらの中等教育が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとし、例えば、無償教育の導入、必要な場合における財政的援助の提供のような適当な措置をとる。
 (c)すべての適当な方法により、能力に応じ、すべての者に対して高等教育を利用する機会が与えられるものとする。
 (d)すべての児童に対し、教育及び職業に関する情報及び指導が利用可能であり、かつ、これらを利用する機会が与えられるものとする。
 (e)定期的な登校及び中途退学率の減少を奨励するための措置をとる。
2 締約国は、学校の規律が児童の人間の尊厳に適合する方法で及びこの条約に従って運用されることを確保するためのすべての適当な措置をとる。
3 締約国は、特に全世界における無知及び非識字の廃絶に寄与し並びに科学上及び技術上の知識並びに最新の教育方法の利用を容易にするため、教育に関する事項についての国際協力を促進し、及び奨励する。これに関しては、特に、開発途上国の必要を考慮する。
第29条(教育の目的)
1 締約国は、児童の教育が次のことを指向すべきことに同意する。
 (a)児童の人格、才能並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。
 (b)人権及び基本的自由並びに国際連合憲章にうたう原則の尊重を育成すること。
 (c)児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文明に対する尊重を育成すること。
 (d)すべての人民の間の、種族的、国民的及び宗教的集団の間の並びに原住民である者の間の理解、平和、寛容、両性の平等及び友好の精神に従い、自由な社会における責任ある生活のために児童に準備させること。
 (e)自然環境の尊重を育成すること。
2 この条文又は前条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行われる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。
第30条(少数民族に属し又は原住民である児童の文化、宗教及び言語についての権利)
 省略
第31条(休息、余暇及び文化的生活に関する権利)
1 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。
2 締約国は、児童が文化的及び芸術的な生活に十分に参加する権利を尊重しかつ促進するものとし、文化的及び芸術的な活動並びにレクリエーション及び余暇の活動のための適当かつ平等な機会の提供を奨励する。
第32条(経済的搾取からの保護、有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利)
1 締約国は、児童が経済的な搾取から保護され及び危険となり若しくは児童の教育の妨げとなり又は児童の健康若しくは身体的、精神的、道徳的若しくは社会的な発達に有害となるおそれのある労働への従事から保護される権利を認める。
2 締約国は、この条の規定の実施を確保するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置をとる。このため、締約国は、他の国際文書の関連規定を考慮して、特に、
 (a)雇用が認められるための1又は2以上の最低年齢を定める。
 (b)労働時間及び労働条件についての適当な規則を定める。
 (c)この条の規定の効果的な実施を確保するための適当な罰則その他の制裁を定める。
第33条(麻薬の不正使用等からの保護)
 締約国は、関連する国際条約に定義された麻薬及び向精神薬の不正な使用から児童を保護し並びにこれらの物質の不正な生産及び取引における児童の使用を防止するための立法上、行政上、社会上及び教育上の措置を含むすべての適当な措置をとる。
第34条(性的搾取、虐待からの保護)
 締約国は、あらゆる形態の性的搾取及び性的虐待から児童を保護することを約束する。このため、締約国は、特に、次のことを防止するためのすべての適当な国内、二国間及び多数国間の措置をとる。
 (a)不法な性的な行為を行うことを児童に対して勧誘し又は強制すること。
 (b)売春又は他の不法な性的な業務において児童を搾取的に使用すること。
 (c)わいせつな演技及び物において児童を搾取的に使用すること。
第35条(児童の誘拐、売買等からの保護)省略
第36条(他のすべての形態の搾取からの保護)省略
第37条(拷問等の禁止、自由を奪われた児童の取扱い)省略
第38条(武力紛争における児童の保護)省略
第39条(搾取、虐待、武力紛争等による被害を受けた児童の回復のための措置)省略
第40条(刑法を犯したと申し立てられた児童等の保護)省略
第41条(締約国の法律及び締約国について有効な国際法との関係)省略
 
第2部 省略
 
[条文は政府訳。条約各条の見出しは外務省作成による。]