港区北部地区三校統廃合問題に関し、左の理由により、桜田小学校の廃校は満場一致の議決をもって統廃合に反対する。
桜田小学校統廃合反対理由
一 桜田小学校は直ちに統廃合の対象にならない
児童数三百人前後の小学校は港区内で相当の数にのぼり、統廃合の場合は、全区的視野に立ち、合理的に行われるものであって局部的、便宜的に行われるものではない。学区域変更もこれに合わせて行うべきもので、桜田小学校が直ちに統廃合の対象となる理由はない。
二 交通上児童に生命、身体上に多大の不安がある
仮りに北部地区をたて割りにした学区を編成して統廃合した場合、桜田地区の児童は都内で最も交通の頻繁な危険な都電の路線を最少一本、又は二本を越えなければならず父母として又地域の者として絶対に黙過し得ない所である。
三 桜田地区の人口は直ちに僅少にはならない
桜田地区は商業地区であり、地価の関係もあり、他の地区と比べてビルの建設少なく、今後市街地改造法により、新橋駅前に現在の飲食店及び戦時中の強制疎開者等を収容する下駄ばき住宅(約六〇〇世帯)の出現が確実に予想され当地区は順次下駄ばき併用住宅に変更する傾向で、却って人口増加が考えられる。
依って桜田小学校は絶対に廃校には出来ない
右決議す
昭和三十八年二月二十六日
桜田小学校、PTA、同窓会、地域町会
(西桜小学校校報誌『西桜』昭三九)
【付記】芝地区北部の桜田・南桜・西桜の三小学校の児童数が減少したことにより同地区三小学校の統合が問題となり、港区教育委員会は統廃合調査委員会を設置した。これに対して桜田小学校地域の町会・同窓会及びPTAが統廃合に反対し、桜田小学校の存続運動が展開された。