桜川小学校と御成門小学校の統合(平5)

  協議経過
1 御成門地区の教育環境整備について
 平成元年、「港区立学校適正規模等審議会」の答申の中で、取組むべき課題と方策として、「御成門地区の桜田、桜、鞆絵、桜川及び神明の五小学校については、地域の将来動向と人口分布状況などを勘案し、この地域を一つの学区域として再編することが望ましいが現時点においては、未だその取組みのための条件は整っていないと判断する。将来展望を踏まえつつも、充実した教育環境の確保の観点から桜田、桜及び鞆絵小学校三校の統合がなされるべきであり、そのための早急な取組みが必要と考える。」との提言を受けた。
 これを受け、平成二年三月教育委員会は、御成門地区の五校の学区域内における年少人口の動向を踏まえ、将来的には御成門地区全体の視点にたった教育環境の整備が必要であると認識しつつも、当面、桜田、桜及び鞆絵の三小学校の状況を緊急事態と受けとめ、三小学校の統合についての「基本的方向づけ」を行い、これをもとに三校の保護者をはじめ学校関係者との意見交換を重ねた。
 なお、その当時の御成門地区における小学校の児童数の状況は次のとおりであった。
平成元年度の児童数
学校名学年123456合計
桜田小学校児童数一八四三
学級数
桜小学校児童数一一一九一九六七
学級数
鞆絵小学校児童数一六二七二八八九
学級数
桜川小学校児童数二九二〇一九(七)二四(一五)三二(六)三七(二)一六一(三〇)
学級数一(一)一(一)一(一)一(一)六(四)
神明小学校児童数二六四〇三二(三)三八(三)三五三九(二)二一〇(八)
学級数六(一)
(平成元年四月一日現在)
( )内は伊豆健康学園及び心障学級の学級数、児童数で外数

 
 平成二年九月、教育委員会は、右記の意見交換の結果を踏まえ桜田、桜及び鞆絵三小学校の統合に関する次のような協議結果をまとめた。
 東京都港区教育委員会協議結果〔略〕
 御成門小学校は、御成門地区全体の将来展望にたち、その核となる学校を目指し新校舎完成までの間、旧桜小学校を校舎として、全校児童数八十五名で発足したが、引続き減少傾向をたどり、平成五年四月には全校児童数は六十八名となった。
 併せて御成門地区の桜川小学校及び神明小学校の二校においても、児童数は減少傾向をたどり、平成五年四月現在、全校児童数はそれぞれ百二十二名、百三十名である。
 
2 御成門小学校と桜川小学校の統合について
 平成五年四月一日現在の御成門小学校、桜川小学校及び神明小学校の学区域における幼児数及び児童数は次のとおりである。
平成五年度の幼児数
年齢012345
学校名
御成門小学校一八一九三〇二一二一一七一二六
桜川小学校一四一〇一五一三六六
神明小学校一五一六一五二〇一五一四九五
(平成五年四月一日現在)

 
平成五年度の児童数
年齢123456
学校名
御成門小学校一一一二一〇一四一一一〇六八
桜川小学校一三二〇二〇(三)一九(五)二八(六)二二(三)一二二(一七)
神明小学校二一一一(二)一九一五(一)二六三五一二七(三)
(平成五年四月一日現在)
( )内は伊豆健康学園及び心障学級の児童数で外数

 
 このような状況の中で、御成門地区の御成門、桜川及び神明の三小学校においては三校一体となった学年の交流活動を行うなど、学校相互間で創意工夫を重ね、小規模校としての集団教育効果を補ってきた。
 しかし、こうした対応にも限度があるため、教育委員会は将来の御成門地区全体の教育環境の整備を展望しつつ、次の観点にたって、御成門小学校及び桜川小学校の保護者等学校関係者に対し必要な資料を提供し、説明を行うとともに両校の統合について意見交換を重ねてきた。
 
① 桜川小学校の児童数の減少も著しく、また学区域内の〇~五歳の幼児数は他の学区域内に比して、極端に
 少なく、今後の児童数の増加は見込み難い。
② 御成門小学校は、平成五年度全校児童数六十八名という極めて小規模の学校となっている。
③ 御成門小学校の新校舎は、平成六年三月完成予定である。
④ 教育委員会は、御成門小学校の「新校舎の完成を目途に、桜川小学校の統合について関係者の理解と協力
 が得られるよう努める。」旨の協議を行っている。
 
 これを受け、両校の保護者等学校関係者相互においても、望ましい教育環境の確保を目指し、両校の統合についての関心が高まり、地域の意向を掌握する中で、そのための主体的な取組みが行われてきた。
 その結果、新校舎完成を契機に平成六年四月一日を以て御成門小学校と桜川小学校とが統合することについて、両校の保護者や学校関係者の共通理解が得られるに至った。
 両校の統合に当たっては、平成三年四月の桜田、桜及び鞆絵の三小学校統合による御成門小学校設置の基本的考え方を踏まえつつ、新しい「御成門小学校」の設置という認識に立ち、新校にふさわしい教育環境の整備に努めていくことが肝要である。
 桜川小学校がこれまでに地域とともに歩んできた足跡と果たしてきた役割に思いを抱きつつも、伸びゆく子供たちを守るためのやむを得ない選択として、今回の統合を行うものである。
 現在の御成門小学校にとっても、より望ましい教育環境が期待出来ることは言うまでもない。
 
3 神明小学校について
 神明小学校についても、近年の児童数の減少は予測を上回り極めて著しい。
 教育委員会においては、保護者等学校関係者の意向もあり、地域における学齢人口の実態等について資料を提供し、説明を行ってきた。今後とも街づくりや学齢人口の動向を踏まえつつ、より良い教育環境の確保のために適時適切に必要な施策を講ずるものとする。
 
4 御成門地区の幼稚園について
 御成門地区の西桜幼稚園及び神明幼稚園の二幼稚園については、地域における幼児数の減少に伴う園児数の減少や人口の分布状況などを考慮し、平成六年度の応募状況を見ながら、今後とも幼児教育充実のための方策について、検討していくものとする。
 御成門小学校に併設された西桜幼稚園の位置は、同校の新校舎への移転後も現在地のままとする。
平成五年度御成門地区の幼稚園園児数
年齢四歳児五歳児
幼稚園名
西桜幼稚園一〇
神明幼稚園
(平成五年四月一日現在)

 
5 学校跡地について〔略〕
6 区立学校教育環境整備について〔略〕

(『港区教育委員会会議録』平五)


      ―――――――――――――――――――
 
 議案第十六号 東京都港区立桜川小学校の廃止について
 学務課長が、議案の提案理由について次のとおり説明した。
 御成門地区の区立学校問題については、平成元年十二月の「港区立学校適正規模等審議会」の答申と、これを受けて平成二年三月、教育委員会が決定した「基本的方向づけ」により、平成二年度末をもって桜田、桜、鞆絵の三小学校を廃止し、平成三年四月に「御成門小学校」を設置した。
 その後、この「基本的方向づけ」で示された、御成門地区の桜川小及び神明小を含めた五校については、地域の将来動向や人口分布状況等を勘案すると、将来的にはこの地区の「核」として位置づけた御成門小に統合せざるを得ない状況にある。特に桜川小については、一、二年後には、児童数が百二十人台に減少すると推計されるため、御成門小の新校舎竣工を契機に桜川小関係者の理解と協力が得られるよう努めるとの趣旨から、御成門小及び桜川小の保護者並びに学校関係者と意見交換を重ねてきた。
 その結果、大方の理解を得られたものと考え、本日の教育委員会において、御成門地区の学校教育についての「協議結果」及び「協議経過」が決定され、これを受けて本議案を提出するものである。
 なお、本案議決後は、東京都港区立学校設置条例の一部改正を、第三回港区議会定例会に提案することとし、所定の手続きを進めたい。
 委員から、統合に伴う通学区域の変更についての質問が出され、学務課長が、条例改正がなされた後、改めて教育委員会において規則改正の審議をしていただく予定である旨説明した。
 採決の結果、委員全員の賛成をもって原案どおり可決した。
 
 (原案)
 東京都港区立桜川小学校の廃止について
 東京都港区立桜川小学校を左記のとおり廃止する。
     記
一、名称    東京都港区立桜川小学校
一、位置    東京都港区新橋六丁目十九番五号
一、廃止時期  平成六年三月三十一日
     平成五年八月三十日
                               東京都港区教育委員会

(『港区教育委員会会議録』平五)