1 御成門地区の教育環境の整備について
港区における定住人口、とりわけ年少人口(〇~十四歳)の減少は激しく、特に都心部に近い御成門地区の年少人口の減少が顕著である。
このような中で、教育委員会は、平成元年十二月港区立学校適正規模等審議会の答申を受け、御成門地区の教育環境の整備に取り組んできたところである。
平成三年四月、極端に児童数の減少した桜田、桜、鞆絵の三小学校を統合し、御成門地区の核となる御成門小学校を設置した。
さらに平成六年四月、御成門小学校の新校舎の完成を機に、桜川小学校と御成門小学校を統合した。
神明小学校については、港区立学校適正規模等審議会より、「桜田、桜、鞆絵、桜川、神明の五小学校については地域の将来動向と人口分布状況などを勘案し、この地域を一つの学区域として再編することが望ましいが、現時点においては、未だその取り組みのための条件は整っていないと判断する」旨の答申を受けた。
その時点(平成元年五月一日現在)の神明小学校の児童数は二百十八名であったが、その後も大きく減少を続け。平成六年度では百八名と半減した。
さらに、来年度の新入児童数と卒業児童数を考慮すると百名を割り込む厳しい状況におかれている。
平成六年度における御成門小学校、神明小学校の児童数及び学区域における児童数は次のとおりである。
《児童数》 | (平成六年五月一日現在) |
1年 | 2年 | 3年 | 4年 | 5年 | 6年 | 計 | 平成 元年 | |
御成門小学校 (桜田・桜・鞆絵・桜川) | 二三 | 二四 | 三二 | 三〇 | 三六 | 三八 | 一八四 | 三六〇 |
神明小学校 | 一二 (一) | 二二 | 一四 (二) | 一七 | 一六 (一) | 二七 | 一〇八 (四) | 二一八 (八) |
( )内は心身障害学級の児童数で内数 |
《幼児数》 | (平成六年四月一日現在) |
0歳 | 1歳 | 2歳 | 3歳 | 4歳 | 5歳 | 計 | |
御成門小学校 | 三三 | 二八 | 三〇 | 三四 | 三八 | 二八 | 一九一 |
神明小学校 | 一五 | 一四 | 一六 | 一九 | 二〇 | 一四 | 九八 |
計 | 四八 | 四二 | 四六 | 五三 | 五八 | 四二 | 二八九 |
本年四月、桜川小学校と統合した御成門小学校も依然として単学級の小規模校であり、神明小学校との学年の交流活動を行うなど、学校相互間で創意工夫を重ね、小規模校としての集団教育効果を補ってきた。
このような中で、教育委員会は将来の御成門地区全体の教育環境の整備を展望しつつ次の観点に立って、神明小学校の保護者等学校関係者に対し、必要な資料を提供し、説明を行うとともに意見交換を重ねてきた。
①御成門地域の年少人口の減少が著しい中で、平成二年、教育委員会は将来的には神明小を含めた五校の統
合が望ましい旨の協議を行っている。
②神明小学校の近年の児童数の減少は予測をはるかに上回り、地域の幼児数も少なく、今後の児童数の増加
は見込みがたい。
③来年度統合すると、地域の小学校としての御成門小学校が一部を除いて二学級の確保が可能である。
学校関係者においては、今の子ども達にとって、またこれからの子ども達にとってどのような選択が最も好ましいか真剣に議論する中で、主体的な取り組みを続けた。
これらの結果、神明小学校がこれまで地域とともに歩み、果たしてきた役割や、また統合によって学区域が広がり通学距離が遠くなるなど交通安全対策をはじめ種々課題もあるが、子ども達の将来を考え望ましい規模での学校教育がより重要であるという観点から統合することで関係者の理解が得られた。
両校の統合にあたっては、御成門地区の小学校統合は完結するという観点から新しい「御成門小学校」を設置するという認識に立ち、新校にふさわしい教育環境の充実に努めていくことが肝要である。
2 心身障害学級「ひまわり学級」について
昭和三十一年、神明小学校に開設した「ひまわり学級」は、港区で最初の心身障害学級として設置した歴史ある学級であり、これまで港区の障害児教育の発展のために大きな役割を果たしてきた。
しかし、御成門小学校には、通級学級の心身障害学級「ことばときこえの教室」(平成六年度児童数十六名)が設置されており、一校一心身障害学級という考え方から、他の心身障害学級を併設する設備は設けていない。
そこで、「ひまわり学級」がこれまで設置運営してきた経過や、就学児童の分布状況、心身障害学級の他の設置校とのバランス、学校施設整備の諸条件など総合的に勘案し検討した結果、赤羽小学校に設置することが妥当と判断する。
学校関係者と地域の方々の理解と協力のもと、心身に障害のある子ども達の教育の一層の発展を願い、その充実に努めることとする。
3 西桜幼稚園の廃止について
御成門小学校と神明小学校の統合を踏まえ、西桜幼稚園、神明幼稚園については、園児と幼児人口の分布状況、将来の幼児人口の動向などから、西桜幼稚園の平成七年度入園児の募集を停止し、平成八年三月三十一日をもって廃止する。
平成六年度御成門地区の幼稚園園児数 |
四 歳 | 五 歳 | 計 | |
西桜幼稚園 | 二 | 六 | 八 |
神明幼稚園 | 九 | 二 | 一一 |
(平成六年五月一日現在) |
なお、区全体の幼児人口の減少に比しても区立の幼稚園園児数の減少は著しく、幼稚園の適正配置について、三歳児保育の実施や通園バスの運行等を含め、検討していかなければならない課題である。
4 学校跡地について
神明小学校の跡地については、これまで果たしてきた地域における役割を踏まえ有効活用されるべきであり、関係者の理解と協力が得られるよう努めていくものとする。
(『港区教育委員会会議録』平六)
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議案第十六号 東京都港区立神明小学校の廃止について
学務課長が、議案の提案理由について次のとおり説明した。
御成門地区における教育環境の整備については、平成七年四月一日をもって御成門小学校と神明小学校
を統合する旨の「協議結果」及び「協議経過」が決定され、これを受けて本議案を提出するものである。
なお、本案議決後は、東京都港区立学校設置条例の一部改正を、第四回港区議会定例会に提案するため、
所定の手続きを進めたい。
採決の結果、委員全員の賛成をもって原案どおり可決した。
(原案)
東京都港区立神明小学校の廃止について
東京都港区立神明小学校を左記のとおり廃止する。
記
一、名称 東京都港区立神明小学校
一、位置 東京都港区浜松町一丁目十三番一号
一、廃止時期 平成七年三月三十一日
平成六年十月十一日
東京都港区教育委員会
(『港区教育委員会会議録』平六)