麻布地区(城南・三河台中学校区)の教育環境整備について

 
 
麻布地区(城南・三河台中学校区)の教育環境整備について(協議結果)(案)
1 城南中学校と三河台中学校の統合と、新中学校の設置について
 麻布地区の望ましい教育環境の整備を目指し、城南中学校と三河台中学校を統合し、新たに中学校を設置する。
(1)城南中学校と三河台中学校の統合の時期  平成十年三月三十一日
(2)新中学校の校名             港区立六本木中学校
(3)新中学校の設置時期           平成十年四月一日
(4)新中学校の位置             港区六本木四丁目七番十四号
                      (三河台中学校の校舎を使用する。)
(5)新中学校の学区域            城南中学校と三河台中学校の学区域を
                       新中学校の学区域とする。
 
2 心身障害学級について
  城南中学校に設置している心身障害学級は、六本木中学校に設置する。
 
3 六本木中学校の新校舎建設について
 (1)城南中学校の用地に新校舎を建設し、六本木中学校を移転する。
 (2)移転の時期は、平成十二年四月を目途とする。
 
麻布地区(城南・三河台中学校区)の教育環境整備について(協議経過)(案)
1 港区の教育環境の整備について
 港区教育委員会は、平成元年十二月、港区立学校適正規模等審議会の答申(以下、答申という)を受けた。これを踏まえ、平成二年三月、「『区立学校適正規模等の答申について』の基本的方向づけ」(以下、基本的方向づけという)を決定するとともに、これに基づき、主として御成門地区、赤坂地区の教育環境の整備を順次図ってきた。
 教育委員会は、小規模化か一段と進行する区立学校の状況を総合的に勘案し、慎重に協議した結果、今後も答申及び基本的方向づけの考え方に基づいて教育環境の整備に努めて行くことを確認し、平成七年八月、新たに「『区立学校適正規模等の答申について』の今後の取り組みの指針」(以下、今後の取り組みの指針という)」を決定した。
 今後の取り組みの指針は、単に小規模化した学校を対象とするだけではなく、複数の中学校区を合わせた地域の小・中学校共通の課題として、関係者による協議会を設置し、地域全体の教育環境の在り方を検討することとした。このような観点に立ち、児童・生徒数の動向、学校施設の状況等を勘案した場合、先ず、麻布地区(城南・三河台中学校地区)の教育環境の整備について早期に具体的な取り組みを行なう必要があると考えた。
 
2 麻布地区(城南・三河台中学校区)の在籍者数等の状況について
 平成七年度当初、麻布地区の城南中学校、三河台中学校の学級数、在籍者数(五月一日現在)、学区域の住民登録者数(四月一日現在)は次のような状況であった。

 

 また、両中学校の学区域内の麻布・南山・飯倉・東町小学校の学級数、在籍者数(五月一日現在)、学区域の住民登録者数(四月一日現在)は次のような状況であった。

 

 平成七年五月の三河台中学校の在籍者数は、百七名であり、答申及び基本的方向づけに掲げられた「港区としての小規模校」の基準である二百人を大幅に下回っていた。
 このような中で、三河台中学校は、生徒個人に着目したきめ細かな指導等により、小規模校としての利点を活かした、魅力ある学校づくりに努力し、また、PTAも、創意工夫により学校運営に協力してきた。しかし、このような関係者の努力にもかかわらず三河台中学校の小規模化は進行し、また、学区域内の麻布小学校の住民登録者数の推移からみても、今後も生徒数が大幅に増加することは望めない状況であった。
 
3 麻布地区の教育環境整備のための取り組みについて
 教育委員会は、平成七年九月、上記のような状況を踏まえ、麻布地区(城南・三河台中学校区)の教育環境の整備を図るため、城南中学校、三河台中学校、学区域の麻布・南山・飯倉・東町小学校の各PTA・同窓会・地域代表者による懇談会を開催した。この中で、両中学校PTA代表から、両中学校の統合の可否について話し合いたい旨の提案があり、懇談会もこれを了承した。その後、「城南・三河台中学校関係者による委員会(以下、関係者委員会という)」※1を発足させた。関係者委員会は、五回にわたる協議の末、平成八年一月、「城南・三河台中学校関係者による委員会報告書」をまとめた。
 この中で、①城南中学校と三河台中学校を統合し、新しい中学校を設置する方向で検討すること、②新たに二中学校四小学校のPTAを中心とする検討委員会を設けること等が提案された。また、③新しい中学校の用地については、城南中学校用地とする案と、三河台中学校六本木グラウンド及び城南中学校用地とする案が提案された。
 その後、教育委員会は、両中学校のPTA総会に出席して、関係者の報告書の内容を説明し、両中学校の統合について大方の理解を得ることができた。
 平成八年四月、新たに「麻布地域に新しい中学校をつくる検討委員会(以下、検討委員会という)」※2が、さらに六月には、地域代表者も参加した 「麻布地域の教育環境を考える協議会(以下、恊議会という)」※3が発足し、両中学校の統合に向け解決すべき諸問題、とりわけ新中学校の用地問題について、検討を行った。
 協議会と検討委員会は、三河台中学校六本木グランドに隣接する日本銀行の用地の取得のため、多くの区民の署名を得て、日本銀行に譲渡要望を行った。しかし、日本銀行からは、用地について今後の利用計画の関係から譲渡はできない旨の回答があった。
 平成八年十月、検討委員会、協議会で、城南中学校用地を新中学校の建設用地として使用することが確認された。
 その後、検討委員会は、特色ある中学校教育の実現を目指し、先進的な取り組みを行っている学校の見学などを通じ、教科教室型の運営方式も採用できる学校施設の在り方について検討してきた。あわせて、統合の時期、新中学校の校名等について検討を行った。
 平成九年二月、検討委員会は、「麻布地域に新しい中学校をつくる検討委員会報告書」をまとめた。その中で、まず、生徒のための中学校であることを基本的な考え方として新しい中学校の施設整備に取り組むことが提案された。新中学校の施設整備の基本的在り方として、「生徒のための学校づくり」「社会変化に対応できる学校づくり」「地域に開かれ、地域とともに歩む学校づくり」が掲げられた。また、新中学校の運営方式と学校施設については、生徒が自主的、主体的に学び、考え、行動し、自分の資質や能力を発見すること等を実現するため、
(1)新中学校は教科教室型運営方式が採用できる学校施設を目指していくこと
(2)「ゆとり」に配慮した学校施設とすることを目指していくこと等が提案された。
 また、検討委員会は、あわせて、次のような事項を確認した。
 1 両中学校の廃止および統合時期
    城南中学校、三河台中学校は、平成十年三月三十一日に廃止し、新中学校を平成十年
    四月一日に設置する。
 2 統合後の校舎
    三河台中学校とする。
 3 統合後の新校名
    港区立麻布中学校とする。
 4 新中学校の学区域
    城南中学校・三河台中学校の学区域とする。
 5 新校舎の建設場所
    城南中学校用地を活用し、新校舎を建設する。
 6 新校舎の建設時期
    平成十年度に着工し、平成十一年度に完成する。
 7 新校舎の供用開始
    平成十二年度に供用開始する。
 
 平成九年五月、検討委員会で確認された新中学校の校名「港区立麻布中学校」の名称を使用することについて、学校法人麻布学園から、異議ある旨の通知書が港区に送付された。
 平成九年七月、検討委員会は、生徒に与える影響を配慮し、確認事項の「3統合後の新校名」について再度検討を行い、「港区立麻布中学校とする。」を「港区立六本木中学校とする。」に変更することが合意された。校名変更については、その後開催された協議会に報告し、承認された。
 
4 教育委員会の協議の経過について
 平成七年八月、今後の取り組みの指針を決定し、平成七年九月から麻布地区の教育環境の整備について、具体的な取り組みを行ってきた。その後の、関係者委員会、検討委員会、協議会における検討内容、合意事項等について逐次報告を受け、調査研究会において課題を整理し、また、教育委員会において慎重に協議を行ってきた。
 教育委員会は、関係者の二年におよぶ真剣な取り組みの中で、平成十年四月に、城南中学校と三河台中学校を統合し、六本木中学校をつくることの合意がなされた経緯と結果を尊重し、半世紀に及ぶ両中学校の地域とともに歩んできた歴史と伝統の重みに思いを致しながらも、生徒にとって望ましい教育環境の整備を考え、両校を平成十年四月一日に統合し、六本木中学校を設置することとした。
 教育委員会としては、教育改革が社会の大きな課題となっているとき、国際都市の中心にある六本木中学校の生徒が、心身ともにすこやかで、人間性豊かな区民として成長することを願う。また、六本木中学校が、「ゆとり」と「生きる力」を培い、家庭・学校・地域が一体となって、誇りと愛着をもって生涯学習社会、地域福祉社会に貢献する中学校として発展することを期待している。
 なお、六本木中学校は、当面三河台中学校の校舎を使用する。
 また、城南中学校に設置している心身障害学級は、六本木中学校に設置する。
 
5 六本木中学校の新校舎建設について
 城南中学校は老朽化が進んでいる。そのため、港区は、現在非常に厳しい財政状況ではあるが、六本木中学校の新校舎を城南中学校用地に建設し、平成十二年四月の供用開始を目指していく。
 新しくつくる六本木中学校は、「ゆとり」の中で生徒たちが「生きる力」を育み、「一人一人の能力・適性に応じた教育」が実践できる学校を目指す。
 また、生徒が教科ごとに特色をもった教室の中で、自主的、主体的に教科に対応できる教育環境を、また、教師が教科のための研修や生徒の相談等に応じられるスペース等を確保するなど、生徒・教師が一体となった学校運営を目指し、教科教室型の運営方式も採用できるものとする。
 委員長が、以上の「協議結果」(案)及び「協議経過」(案)について諮り、委員全員が同意し決定した。
 委員から、今後は六本木地区の良好な教育環境実現のために、交通安全・環境美化等についても関係機関によびかけていくようにとの要望が出された。
 
東京都港区教育委員会会議録 第一千八十三号
平成九年第八回定例会
平成九年八月二十六日


 ※1関係者委員会は、両中学校PTA代表、両中学校長、教育委員会事務局で構成されていた。
 ※2検討委員会は、二中学校四小学校のPTA正・副会長、二中学校の同窓会代表、二中学校の校長、教育委員会事務局で構成されている。
 ※3協議会は、二中学校四小学校のPTA正会長と同窓会代表、地域代表者、教育委員会事務局で構成されており、二中学校四小学校の校長はオブザーバーとして参加。