3-3 教室の構成と運用について

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 学級や教科との関係において、どのような教室をいくつ整備して教科の授業・学習や特別活動にどのように活用するかという問題は、基本構想の根幹となる重要な検討課題です。
 我が国の中学校、高等学校では、伝統的に、各学級に専用の普通教室があって国語、社会、数学、英語等の授業をこの普通教室で行い、理科、音楽、美術、家庭科等の授業を専用の特別教室で行う特別教室型学校運営方式が行われてきましたが、昭和20年代中頃から、国語、社会、数学、英語の授業も教科専用の教室で行う教科教室型の校舎が一部でつくられるという経緯があり、当時の教科教室型校舎の整備では教室環境の向上とともに、教室数の節約がねらいとされました。教科教室型運営方式の学校については、このような経緯がありましたが、昭和40年代末に、各教科について高度な学習環境を整えることを基本とし改めていくつかの地域でつくられるようになって、次第にその数を増していきました。しかし一方では、生徒指導が困難であることや教室間移動の問題などを理由として、教科教室型の運営をやめる学校が生じています。
 このような経緯のなかで、教科教室型運営方式の学校については、学級に対応して生徒の交流・滞留・休憩の場であり、かつ持ち物を置く場でもあるホームベースが整備されるとともに教室間移動の負担の軽減が図られるようになりました。比較的規模が大きい学校では学年教科教室の考え方が取り入れられることもありました。また教科教室型運営方式の基本趣旨である教科の学習空間の高機能化をさらに深く追求する教科センター方式の考え方が整理され補強されて、計画校が徐々に増えてきています。そして港区では、六本木中学校の改築において教科センター方式の考え方がとられました。
 高陵中学校施設整備基本構想・基本計画においては、平成16年度の検討会議の検討成果を踏まえ、またアンケートにおいて「教育の個性化、多様化に弾力的に対応できる教育空間」及び「教科の学習の充実を図るための高機能な学習空間の整備」への関心が教職員と保護者に共通して高かったことを受けて、国語、社会、数学、英語を含む各教科について、教科又は系列教科の学習センターである教科センターを形成するとともに、学級活動・授業・学習が可能な場を学級ごとに整備することを基本とすることになります。
 ここで具体的な構想に進む前に、学級数との関係において、従来の教科教室型運営方式の場合に対する教室等の構成と運用の比較検討を行い、相互のあいだの主なちがいを認識しておくことが大切だと考えられます。
 この比較検討は、まず中学校学習指導要領に基づいて各教科等で必要とする教室数を把握し、次いでこれを満たしかつ音楽、家庭についてはさらに高陵中学校の現在の教室数を満足する教室等の構成とその運用を概観し、さらに従来の教科教室型運営方式に対応する教室等の構成・運用との比較の順序で進めることとします。