6 平面・断面計画A案、B案の比較

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 両案を平面・断面計画の主旨と計画方針に照らして比較しますと、次表のように評価され、基本計画としてB案をとる必要があることが導かれます。

□ 平面・断面計画A案、B案の比較

 なお、B案の施設外形を基本的に維持しつつ、校舎の一部と屋内運動場とを入れ替えることによるもうひとつの平面・断面計画(資料編17~20頁 平面・断面計画検討案参照)が成り立ちますが、この平面・断面計画には、
a 屋内運動場の開放利用に際して利用者の動線が短く、校舎の他の部分に対して明快に区画できる。
b 屋内運動場の天井高を大きくすることを技術的に可能とする。(天井高を大きくすると屋内プール及び多目的小講堂の床面がそれだけ押し下げられる反面がある。)
c 校地内の緑被面積を約100m2増すことができる。
のように優れた面がありますが、次の諸点に問題があり、基本構想・基本計画に相応しい平断面計画とすることに無理があります。
a 図書館と多目的ホール・給食室の階配置に関連して
イ 4教科の教科センターと学級室・共通教室が3階~B1階の4層にまたがってまとまりがやや損なわれ、生徒の上下移動量が増えて好ましくない。
ロ 図書館を中心階(2階)に配置すると、多目的ホール・給食室が3階に配置されることになって、給食室への搬入がB案に比べやや不便になる。
(ハ 図書館と多目的ホール・給食室両方を2階に配置すると、3学級室・1共通教室がB1Fに配置されることとなって、ひとつの学年の3学級室が1階分乖離する。また図書館の開放利用時の他との区画が困難になる。)
b B1Fに採光状態が良くないメディアスペースが生じる。
c 主事室、PTA室が校務諸室からさらに離れ、備蓄倉庫が利用性の低い位置となる。
d 屋内運動場の柱列が、運動場やプールサイドを狭くする。
e 多目的小講堂のホールが、屋内プールへのB3階での動線(廊下)確保のために狭くなる(70~80m2)。
f 基準法上地下3階の建築物となって特別避難階段が必要となり、付室にスペースが当てられるために階段室が狭くなり、階段の曲折部のゆとりがなくなって日常の安全性に問題を生じる可能性が増す。また一部の階段の幅員が30cm程度狭められて、1.8m程度となる。
g バルコニーが北西側に対して8:00から10:00のあいだに新しい日影を生じる。
h 屋内運動場の騒音が周辺に及ぶ影響範囲が従来と変わる。
 屋内運動場の窓面が現在よりも隣地に接近する(約15m→2.9m~3m)。
i 屋内運動場の天井高を現在と同じ7mとしても、屋内プール及び多目的小講堂の床面が2.5m程度押し下げられ、正門付近の地面から約12.5m下がったレベルとなって、上下移動量がB案より大きくなる。