計画地は、区の東部、芝浦一丁目に位置し、複合施設であるみなとパーク芝浦や芝浦公園に隣接した場所にあります。計画地の周辺は、芝浦地域の特色である運河による水辺空間を活用した様々な取り組みが行われています。
近年、高層のオフィスやマンション開発等が進むことによって、居住・労働者人口は大きく増加し、職住近接の複合市街地を形成しています。

(2)芝浦地域の概要と主な教育・公共施設
【概要】
芝浦地域は、ほぼ全域がJR山手線田町駅東側に位置する運河の多い埋立地です。オフィス街としての側面だけでなく、近年高層マンションの建設が進み、居住人口は大きく増加しています。
【再開発】
現在、芝浦地域では田町駅周辺をはじめ、再開発プロジェクトが盛んに行われています。品川、田町間ではJRの新駅が計画され、「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」に向けて、周辺環境は大きく変化していきます。
【交通】
芝浦地域周辺には、JR田町駅、都営地下鉄三田駅、東京臨海新交通臨海線日の出駅、芝浦ふ頭駅が位置しています。田町駅周辺から六本木やお台場行きのバスの他、コミュニティバス「ちぃばす」も発着しています。
【芝浦地域にある教育施設】
・港区立芝浦幼稚園
・港区立芝浦小学校
・東京工業大学附属科学技術高等学校
・芝浦工業大学芝浦キャンパス
【芝浦地域にある公共施設】
・みなとパーク芝浦
芝浦港南地区総合支所
消費者センター「リーブラ」
男女平等参画センター 港区スポーツセンター
介護予防総合センター「ラクっちゃ」
・芝浦港南区民センター
・港区立しばうら保育園

①田町駅前
東口から駅構内への入口は2か所で、出勤や帰宅時間は多くの人でにぎわい、駅前の再開発によって大きく街並みが変わり、さらなる活気が期待される。

②田町駅東口北地区地区計画
-(仮称)TGMM芝浦プロジェクト(Ⅱ街区)-「地域の顔・玄関口にふさわしい街並みの形成を目指して事務所ビルなど4棟を建設中であり、2019年に竣工予定。田町駅からみなとパーク芝浦まで、ペデストリアンデッキで接続される。

③みなとパーク芝浦・芝浦公園
港区最大規模の複合施設であるみなとパーク芝浦の前面には、都市公園である芝浦公園がある。芝浦公園は、多世代の地域住民に利用されている。

④高架下通路
田町駅芝浦側と三田側をつなぐ通路。区民の日常動線として利用されている。

⑤新芝運河
芝浦地域は、地域の特色である運河を活用し、近年、芝浦運河まつりの開催やオープンカフェの設置など、運河の利用が積極的に行われている。

⑥高層住宅群「芝浦アイランド」
近年の土地利用転換により、高層住宅の建設が進んでいる。なかでも「芝浦アイランド」は代表的なエリアであり、工場や車庫などの跡地に、4棟の高層マンションが建設されている。

(3)土地の歴史
芝浦地域は、江戸時代まで干拓で魚の捕れる豊かな海が広がっており、現在のJR東海道新幹線軌道敷以南は、遠浅の海で砂浜を有し、お月見、潮干狩り、水泳等の行楽の場として栄えていました。

嘉永3(1850)年頃

大正3(1914)年頃 芝浦水泳所
明治維新後は、海運の重要性が増し港の整備が急務とされたため築港工事が行われ、昭和7年には芝浦ふ頭が完成し、昭和9年頃には現在の姿がほぼできあがりました。

昭和16(1941)年頃

昭和16(1941)年頃の港の様子
計画地は、明治44年から昭和18年までの約32年間にわたって、石炭ガスの製造工場が存在しており、石炭を主原料として都市ガスを製造していました。製造停止後は天然ガス工場に引き継がれ、戦後の高度成長期を支えてきました。
東京ガス株式会社は、平成19年2月から、土壌汚染対策法及び都民の健康と安全を確保する環境に関する条例に基づき、汚染土の健全土への入れ替えによる対策工事を行いました。地下水汚染があった区画については、対策後2年間のモニタリングを行い、基準超過はありませんでした。
区では、平成19年10月に、計画地を含めた田町駅東口北地区のまちの将来像やあるべき姿を示した街づくりビジョンを策定しました。このビジョンに従い、既存区有施設の老朽化や当地区周辺における人口急増に伴う施設利用者の増加・施設需要の多様化に対応するため、公共公益施設(みなとパーク芝浦)を整備することとしました。

昭和22(1947)年頃 東京ガス 田町用地

事業所用地として活用される前までの東京ガス 田町用地
計画当初は、公共公益施設(みなとパーク芝浦)を整備するにあたり、総合支所、消費者センター、男女平等参画センター、スポーツセンター等の他に文化芸術ホールを計画していました。しかし、平成23年3月の東日本大震災以降、区民の安全・安心の確保による優先順位の考え方や緊急性等の観点から、文化芸術ホールの整備は一旦中止することとなり、その後、計画地検討の結果、浜松町駅前の再開発事業の中で整備することとなりました。計画当初に予定していた文化芸術ホールの計画地は、暫定的に芝生広場として整備され、多くの保育園児等が利用する一方、その活用方針について検討を進めていました。
(4)地形的特色
芝浦港南地区の大半が埋立てによりできたことから、大部分が標高10m未満の低地で、起伏の少ない平坦な地形となっています。区内の他の地区が高低差のある地形であることと比べると特徴的な地形といえます。また、地区内を縦横に走る芝浦運河、新芝運河、新芝北運河によってエリアが細かく分けられており、それらを新浜畸橋、新芝橋、渚橋等の多数の橋りょうが結んでいます。これにより、身近に豊かな水辺空間を感じられることが大きな地形的特色となっています。

(5)田町駅東口北地区地区計画
①土地利用の方針
【くらしの拠点ゾーン(Ⅰ街区、公園街区)】
地域の憩いの場となる緑とオープンスペースを核に、スポーツ・健康増進・医療、公共サービス・防災機能等の公共公益機能(みなとパーク芝浦、愛育病院、芝浦公園)を配置し、地域コミュニティ活動の活性化のための拠点を形成します。
【新たな都市の拠点ゾーン(Ⅱ-1街区、Ⅱ-2街区)】
駅前の街並みの形成とにぎわいを創出する商業店舗を中心とした商店街機能の再整備と、交通結節機能の強化に貢献する交通広場を整備します。また、JR田町駅至近の利便性の高い立地に、国際競争力強化に資する高機能オフィスを整備するとともに、そのオフィス機能を支えるホテル、商業施設なども導入し、全体延床面積約30万m2にもなる駅直結の複合ビジネス拠点を整備します。
②主要な施設の整備
【駅直結の歩行者デッキ等による歩行者ネットワークの構築】
再開発が行われている「新たな都市の拠点ゾーン」から公共施設が中心となる「くらしの拠点ゾーン」まで、JR田町駅より連続する駅直結のペデストリアンデッキを整備し、歩行者ネットワークの構築などにより、バリアフリー環境を創出します。
【緑豊かな都市環境の創出】
ペデストリアンデッキと地上の2つのレベルにおいて、歩行者ネットワークに沿うように緑量のある樹木を植樹し、複層的かつ連続的に緑化を施すことで、来街者が豊かな緑を感じることができる「緑陰モール」を形成します。
③整備スケジュール

④施設の概要(くらしの拠点ゾーン(Ⅰ街区、公園街区))
■みなとパーク芝浦
みなとパーク芝浦は、以下の5つの機能を持った複合施設です。
【施設概要】
敷地面積:20,179.06m2
延べ床面積:50,724.90m2
階数:地下1階、地上8階
構造:鉄骨造(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造)、免震構造
建物高さ:54.9m
・芝浦港南地区総合支所
総合支所の全ての業務を1フロアに配し、快適な待合スペース、授乳室などを設けています。また、区民の安全・安心を確保するため、災害発生時に災害対策本部代替施設としての機能を強化した施設です。
・消費者センター
消費者問題に対応し、的確なアドバイスや情報を提供する区民の消費相談窓口です。消費生活相談ができる相談室、相談に応じた商品テストや不具合の確認などが行える実習室等を備えています。
・男女平等参画センター「リーブラ」
男女平等参画社会の実現のため区内で活動する区民の方々を支援する施設です。さまざまなライフステージでの課題解決等のため、講座・講演会の企画及び実施や利用者の交流と情報収集の場の提供等を行っています。
・港区スポーツセンター
トレーニングルーム、武道場、競技場や幼児プール、歩行専用プール等を設けた区内随一の総合スポーツ施設です。
・介護予防総合センター「ラクっちゃ」
区民が健康でいつまでも自分らしく、いきいきと暮らせることをめざして開設した23区で初めての介護予防を専門に行う施設です。

田町駅方面からみなとパーク芝浦を見る

みなとパーク芝浦右手の空地が計画地となる
※上記写真はみなとパーク芝浦竣工時のもの
■愛育病院(10階・50.8m)
診療科目は、産婦人科、小児科、新生児科、小児外科、女性内科/内科、女性外科、麻酔科、放射線科、小児精神保健科で、合計160床のベット数をもつ母子の専門病院です。
■芝浦公園
地域の方々が参加した、ワークショップの意見を取り入れて整備されたもので、みなとパーク芝浦とともに永きにわたり区民に親しまれる公園を目指して整備されました。
(6)スマートエネルギーネットワーク
計画地はさまざまな建物がスマートエネルギーネットワークでつながり、エネルギーの有効利用を可能にする「田町スマエネパーク」内に位置しています。スマートエネルギーネットワークとは、ガスコージェネレーションシステム(CGS)を核として、熱と電気のネットワーク化やICT(情報通信技術)の活用によりエネルギー需給を最適化し、住宅・オフィスビル・地域を対象に、省エネ・節電・光熱費削減、更にはBCP/LCP※など様々な付加価値を提供する新しいエネルギーソリューションです。この仕組みを活用して、「つくる」「つながる」「みえる」をキーワードに、働く人や訪れる人が安心・安全・快適に過ごせる「低炭素で災害に強いまちづくり」の実現が期待されています。
※BCP(Business Continuity Plan)/
災害などリスクが発生したときに重要業務が中断しないこと。また、万一事業活動が中断した場合でも、目標復旧時間内に重要な機能を再開させ、業務中断に伴うリスクを最低限にするために平時から事業継続について戦略的に準備しておく計画。
LCP (Life continuity planning)/
BCPを一個人として捉え、災害時等に対して早期に通常の生活を取り戻すために準備しておく計画。
つくる
CGSを核に再生可能・未利用エネルギーを最大限活用し、街全体でエネルギーを創っています。
■みなとパーク芝浦での省エネ対策の取り組み例
・太陽光発電
・風力発電
・屋上緑化(アリーナ)
・地域冷暖房
・太陽熱集熱器
・光ダクト
・雨水再利用
・地下トンネルの湧水を冷却水として利用
■愛育病院での省エネ対策の取り組み例
・太陽光発電
・庇+縦ルーバー(日射抑制)
・病室の自然換気
・デシカント空調+放射冷却 等

光ダクト

屋上緑化

庇+縦ルーバー

病室の自然換気
つながる
スマートエネルギーネットワークを構築することで、エネルギーの安定供給、省エネ、エネルギーセキュリティの向上を目指します。現在、Ⅱ街区に第二スマートエネルギーセンターを構築しており、Ⅰ街区とのセンター間連携を行います。
■SENEMS(セネムス)による需給最適制御
街全体のエネルギーを最適にマネジメントし、エネルギー需給を最適にコントロールする。
■エネルギーセキュリティ
スマートエネルギーセンターと各施設がつながることで、停電時などにもスマートエネルギーセンターのCGSから電力を継続供給する。
■再生可能エネルギーの安定活用
CGSを核としながら、太陽熱集熱器、太陽光発電パネルなどの再生可能エネルギーを組み合わせる。
■人とのつながり
スマートエネルギーネットワークの運営にあたり「スマートエネルギー部会」を設立し、月に1度開催する。
みえる
どのようにエネルギーを創り、使っているか、省CO2・省エネが適正に行われているかを「見える化」します。
