明治二十八年四月十三日
　
　　　市立小学校附属幼稚園設立等ノ件
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　赤　坂　區
明治二十八年四月九日付區青山尋常高等小學校附属幼稚園設立ノ件許可ス
　　　　年　月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　府　　知　　事
　
　　市立幼稚園設置願
一　設置ノ目的ハ學齡未滿ノ幼兒ヲシテ自然ノ理法ニ基キ優遊和樂ノ中知ラス識ラス天賦ノ知覺ヲ開發シ善良
　　ノ言行ヲ習熟シ身心ノ健康ヲ保全セシメ以テ家庭ノ教育ヲ補ヒ學校教育ノ基ヒヲナスニアリ
一　保育課程及保育園用圖書ハ別表ノ通リ
一　位置ハ赤坂區青山南町三丁目二十二番地青山尋常高等小學校内ニ設ク
一　敷地建物ハ別紙圖面ノ通リ
一　名稱ハ市立青山尋常高等小學校附屬幼稚園ト稱ス
一　入園退園手續ハ入園ヲ乞ウ者アルトキハ保證人ヨリ左式ノ入園證書ヲ差出サシム退園ハ保證人ノ申出ニ依
　　リ之ヲ許ス
　　　入園證書
　一　宿所　　　　　　　　　　族籍何某長次男(女)
　一　保育料　　　　　　　　　　　姓　　　名
　一　父兄或ハ後見人職業　　　　　　　生年月日
　一　種痘度數
右ハ入園御許可相成候ニ付入園之上ハ御規則並ニ御告諭等堅ク相守ラセ申スベク候也
　　　　年　月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　父兄又ハ後見人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　保證人　　　姓　名　　印
　東京市赤坂區青山尋常高等小學校長何某殿
一　日々開園時限ハ四月一日ヨリ六月三十日マテ午前第九時起業午後二時終業七月一日ヨリ九月三十日マデ午前第八時起業正午十二時終業十月一日ヨリ翌年三月三十一日マデ午前第九時起業午後二時終業トス
一　休業日年中休日ハ日曜日祝日大祭日夏季七月二十一日ヨリ　八月三十一日迄ノ間ニ於テ二十一日以上三十五日以内冬季十二月二十八日ヨリ　翌年一月七日迄及ビ三月十五日ヨリ四月十五日迄ノ間ニ於テ十日以内トス
一　幼兒定員三十名
一　保育料ハ一ヶ月金參拾錢以上金壹圓以下トス
　但シ幼児缺席全月ニ亘ルトキ又ハ定時臨時ノ休業全月ニ亘ルトキハ其ノ保育料ヲ徴收セズ
一　經費收入支出豫算
　一　金百貮拾圓七拾五錢　　　一ヶ年收入
　　　内
　　　金百貮拾圓七拾五錢　　　保育料
　　　　但幼兒延三四五人平均一人ニ付金參拾五錢
　一　金百貮拾圓七拾五錢　　　一ヶ年支出
　　　内
　　　金六拾圓　　　　　　　　俸給
　　　　但月給五圓保姆一名
　　　金壹圓六拾六錢七厘　　　慰勞手當
　　　金壹圓參拾五錢　　　　　祝日費
　　　金壹圓貮拾錢　　　　　　運動會費
　　　金拾五圓　　　　　　　　備品費
　　　金四拾壹圓五拾參錢參厘　消耗品費
一　保育用器具器械ハ別表之通リ
右之通リ設置仕度候間御認可相成度此段奉願候也
　明治二十八年四月　日
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京市赤坂區長　近藤　政利
　　　東京府知事　三浦　　安殿
　

　
　　保育用器具器械表
一　幼兒用机　　　　　　二十個
一　同　腰掛　　　　　　同
一　塗　板　　　　　　　一枚
一　保姆用机　　　　　　一個
一　同　椅子　　　　　　同
一　積　木　　　　　　　三十
一　排　箸　　　　　　　三十
一　排　板　　　　　　　三十
一　鋏　　　　　　　　　三十
一　組　板　　　　　　　三十
〔略〕
　
　　　青山尋常高等小學校内へ幼稚園設置ノ件
市立青山尋常高等小學校内へ二十八年度ヨリ幼稚園ヲ設置シ青山尋常高等小學校附屬トナシ東京府知事ノ許可ヲ受クルモノトス
　　但設置ノ手續ハ二十五年東京府令二十四號ニ基キ管理者ニ於テ取調其筋ノ允可ヲ受クルモノトス
　明治二十八年三月十一日提出
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京市參事會
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京府知事　三　浦　　安
　　說　明
赤坂區幼稚園ハ從來中之町尋常高等小學校内ニ設置アルモ兒童通園ノ便宜ヲ計リ更ニ本案ノ如ク増設セントス
　
　　赤坂區小學校明治二十八年度歳入歳出豫算
　　　歳　入
一　金百貮拾圓七拾五錢　　　　　　　　　歳　入　豫　算　高
　　　歳　出
一　金百貮拾圓七拾五錢　　　　　　　　　經　常　費　豫　算　高

　歳　出
經　常　費

　　　明治二十八年三月十一日提出
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京市參事會
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　東京府知事　三　浦　　　安

(都公文書館資料)