公私立幼稚園調整審議会

   第一回公私立幼稚園調整審議会について
前回の委員会で教育長から報告したとおり、五月二十四日第一回審議会が開催され、会長辰見敏夫氏、副会長岡義順氏を選出、続いて区長から別紙のとおり「小学校一通学区域一幼稚園設置の基本計画が決定されており、今後の実施計画と、これに伴う公私立幼稚園相互の関係をいかに調整するべきか」という諮問がなされ、その説明として、用地買収の終っている白金地区と、幼児が急激に増加している高輪地区については、公立幼稚園設置の強い要請があるので、私立側とどのように調整しながら公立を設置していくべきかを、他の問題に先立って審議し、結論を七月末日までに出してほしい旨、要望があった。その後、提出資料の説明があり、会長から、区長の要望もあるので白金、高輪地区の問題について早急に審議に入りたいので、次回は六月二十一日の午後五時からとし、公立側、私立側それぞれの原案を、あるいは両者の意見一致があればその案を用意するよう提案され、決定した旨、学務課長から報告した。なお、公立側の案については、近日中に関係者で相談したいと考えている旨、併せて報告した。
 
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第二回公私立幼稚園調整審議会について
六月二十一日、第二回目の会合が開かれ、公私立両側から次のような提案があった。
公立幼稚園設置計画案
① 白金小学校および高輪台小学校の区域内にそれぞれ公立幼稚園を設置する。
② 両幼稚園はともに二年保育とし、その規模は次のとおりとする。
   白 金  年少二学級  年長二学級
   高輪台  年少四学級  年長四学級
③ 開設の時期は、白金については昭和四十九年度とし、高輪台については速やかに用地取得を行ない可能な限り早期に開設する。
私立幼稚園側の提案―港区の幼児教育の機会均等実現のために―
① 適正配置
  一学級当りの定員を三十名とする。
  公私立を問わず、隣接一km以内に設置しない。
  公立幼稚園一通学区域一園の場合は、学級数は二学級を限度とする。
  同じく二通学区域一園の場合は、四学級を限度とする。
② 教育費父兄負担格差是正
○ 公私立父兄負担同額扱いを即時実現
以上、この公立側提案の根拠となる港区教育人口の長期予想、学区域別の幼稚園入園数調、就学児童前歴調等、当日審議会に配布した参考資料を基に学務課長から説明。なお二十一日にも種々論議されたが結論は出ず、次回までに、私立側が主張する経営困難を立証する詳細な資料を提出
 
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   白金小学校に併設幼稚園設置反対方陳情について
白金小学校有志一同(代表内藤裕子)から、区立幼稚園が併設されると小学校の教育環境が犠牲にされるので、設置計画取止め方の陳情が、二四八一名の署名とともに別紙のとおり提出された旨、庶務課長から説明、PTAとして署名運動をしたのではなく、有志ということで実施したらしいが、一応全生徒の家庭の過半数が署名をしている。しかし、十一月八日の父兄会では一七〇名出席のうち、大多数が賛成しているうえ、PTA役員会でも大体了承の方向なので、ここに矛盾がある旨、教育長並びに学務、庶務各課長から説明し、協議のうえ、現在、二十園が小学校に併設されているが、何らの支障もなく、白金の場合は一学期間丈であり、また改善した施設は、結局、小学校の利用に供される等利便を受けられるなど論議され、既定方針どおり来年四月開園を目途に、白金小学校併設計画をすすめることに決定、この陳情は不採択となった。然し、一部の誤解をとくために、父兄会に出席しなかった父兄全員に、教育委員会と学校側の趣意書を配付することになった。

(『港区教育委員会会議録』昭四八)


 
【付記】昭和三十八~九年に「小学校一通学区域一幼稚園措置」の基本方針が打ち出されたのを受けて、区立幼稚園が増設された。これに対して私立幼稚園側から反対の声があがった。公立と私立幼稚園の相互関係の調整をはかるために審議会が設置され、設置計画、適正配置、教育費負担格差等について審議が行われた。