「育児支援があなたのためになっているかどうか」の質問においては、「ためになっている」という評価が、父親回答で42.9%、母親回答で47.7%であった。以下、母親回答について条件別でみていく<表3-178>。

表3-178 Q45育児支援策の恩恵
子どもの年齢では、「0歳(56.7%)」「1歳(58.0%)」といった、より低い年齢階層で「ためになっている」と回答している<表3-179>。

表3-179 子どもの年齢×育児支援策の恩恵
「仕事の両立」については、育児支援が「ためになっている」と評価している母親は、母親自身の仕事についても「両立しやすい(70.4%)」と感じている<表3-180>。

表3-180 Q45育児支援策の恩恵×Q21母親の仕事と子育ての両立
さらに育児支援の恩恵を受けているかどうかは、母親たちの子育ての悩みや、その相談先の有無にも関連していた。すなわち、悩みの内容としてあげている「保育園・幼稚園」「友だち関係」「学習・進路」「きょうだい関係」「発達」「しつけ」「病気・障害」の全ての項目について、「恩恵があると思う」母親は悩みが「なく」、「恩恵を感じていない」母親は悩みが「ある」という回答が高くなっている。例えば「保育園・幼稚園」の悩みについては、「育児支援がためになっている」母親は悩みが「ない」という回答が62.5%と高く、「ためになっていない」母親は悩みが「ある」という回答が49.8%となっている<表3-181>。

表3-181 Q45育児支援策の恩恵×Q32各種悩みの有無
その悩みの相談先についても、「ためになっている」母親は相談先も「ある」と回答し(「保育園・幼稚園」の場合は50.2%)、「ためになっていない」母親は相談先が「ない」という回答(「保育園・幼稚園」の場合は69.6%)の割合が高くなっている<表3-182>。

表3-182 Q45育児支援策の恩恵×Q32各種悩み相談先の有無
また、母親の育児における感情や意識、そして育児に関する社会的な意見(子育て観)についても、関連がみられた。
育児をしている中で「イライラする(76.1%)」や「子どもを大声で怒る(54.3%)」、さらに「子どもに衝動的に手をあげる(12.7%)」「子育てに不安を感じる(47.7%)」といった気持ちは、育児支援の恩恵を受けて「いない」と感じている母親に高くなっている<表3-183>。

表3-183 Q45育児支援策の恩恵×Q32感情的になるか
子育て意識については、恩恵を受けていると思っている母親の方が「子育てを十分に楽しんでいる(49.3%)」と感じており、恩恵を受けていないと思う母親は「子育てを楽しもうと思うが、実際にはあまり楽しめない(18.3%)」と感じている<表3-184>。

表3-184 育児支援策の恩恵×子育ての意識
子育て観についても、「子育ては地域の協力を得ながらやるべきである」という意見に対して、育児支援の恩恵を感じている母親は「とてもそう思う(27.2%)」「まあそう思う(55.2%)」と回答し、恩恵を感じ難い母親は「どちらともいえない(25.7%)」「あまりそう思わない(10.4%)」「まったくそう思わない(2.8%)」の回答が相対的に高くなっている<表3-185>。

表3-185 Q45育児支援策の恩恵×Q44子育ては地域の協力を得ながらやるべき
育児支援がためになっていると思っている母親は、こうした社会的なサポートの中で子育てをしていくことの重要性を知っているためか、母親たちにとって役立っている「子育ての伝承相手」も、全ての相手について数値が高くなっている。この質問は複数回答でたずねており、恩恵を受けている母親が、多くの選択肢に丸を付け、様々な人から教えてもらった子育てが役立っていることを示している。とりわけ、「友人・知人(71.0%)」「保健師(29.1%)」「病院の看護師(21.7%)」「子ども家庭支援センターや子育てひろば(28.7%)」は、育児支援の恩恵を受けていないと思っている母親との開きが出ている。一方、恩恵を受けていないと思っている母親は「教わったが役に立たなかった(1.5%)」「誰からも教わっていない(6.8%)」が上回っている<表3-186>。

表3-186 Q45育児支援策の恩恵×Q35子育てについて教わった相手(複数回答)
次に、港区で行っている事業についてみる。母親回答全体でも「よく利用する」+「たまに利用する」が半数を超えている項目は「児童館・子ども中高生プラザでの乳幼児事業(50.1%)」だけであり、「バースデイ歯科健診(40.2%)」が、それに次いでいるという状況で、低い利用率である<表3-187>。

表3-187 Q46利用している区の事業(母親の回答)
これを居住年数の違いでみると、全ての事業項目において、居住年数「1・2年目」の母親、項目によっては「3・4年目」の母親も含めて、居住年数が浅い母親は「事業を知らない」と回答する割合が高くなっている<表3-188>。

表3-188 Q4現住所の居住年数×Q46各種事業の利用状況
世帯年収では、「育児相談」「保育園で遊ぼう」「乳幼児一時預かり」「派遣型一時保育」「子ども家庭支援センター」「児童館」「みなとっこ」「養育支援訪問」といった多くの項目において、世帯年収「400万円未満」「400~500万円未満」層が「知らない」と回答する割合が高い。さらに「育児相談」と「乳幼児一時預かり」では、「400万円未満」層において「知っているが利用したことがない」の割合も高くなっている<表3-189>。

表3-189 Q39世帯収入×Q46各種事業の利用状況
先の「育児支援の恩恵」と港区で実施している「事業の利用」についての関係では、「育児相談」「保育園で遊ぼう」「派遣型一時保育」「子ども家庭支援センター」「みなとっこ」「養育支援訪問」の項目で、「恩恵を受けている」母親は「よく利用する」・「たまに利用する」・「知っているが利用したことがない」の割合が高く、「恩恵を受けていない」母親は「知らない」が高くなっている。そのほかの事業項目についても、「恩恵を受けていない」母親は、事業について「知らない」という割合が相対的に高いという傾向を読み取ることができる<表3-190>。

表3-190 Q45育児支援策の恩恵×Q46各種事業の利用状況
港区で提供されている事業の利用度は全体的に低いが、その数値の低さをもって、母親たちの子育ての役に立っていないと言うことはできない。先にも触れた「他の子どもと遊ばせるきっかけ」をたずねた質問を居住年数別でみると、居住年数の浅い母親たちは、「子ども家庭支援センター・子育てひろばなどで出会った」が3割、「両親学級やうさちゃんくらぶなどで知り合った」が3割弱と高くなっている。もちろん「子どもが生まれる前からの付き合い」や「産院・病院が一緒であった」というようなプライベートな付き合いやきっかけによっても、母親同士のネットワークは一定数形成されている。さらに居住年数の経った「5年以上」の母親たちには、「保育園や幼稚園」が子育ての母親を繋いでくれる媒体となっている。しかし特に、居住年数が浅く地域にとけ込めていない母親たちにとって、公的な事業が提供してくれる出会いの場は重要な役割を果たしている<表3-191>。

表3-191 現住所の居住年数×遊び相手と出会ったきっかけ(複数回答)
同様の傾向は、子どもの年齢別の検討からもいえる。子どもが「0歳」の時のきっかけは、「両親学級やうさちゃんクラブ(70.3%)」「子ども家庭支援センター・子育てひろば(43.8%)」「産院・病院が一緒(26.6%)」となっており、やはり公的機関で出会っている割合が高い。そして、子どもの年齢が上がってきて「1歳~」は「近所や公園など」で出会うことが増え、さらに「3歳~」は「保育園や幼稚園」で出会うチャンスが一気に増加している。子どもの年齢が0歳の頃や、港区に引っ越してきて間もない母親たちへ、孤立を防ぐ手立てが大切なのであろう<表3-192>。

表3-192 Q2子どもの年齢×Q31遊び相手と出会ったきっかけ(複数回答)
さらに「母親たちの子育てについて誰に教わったことが役立っているか」をたずねた質問についても、居住年数でみると、「1・2年」「3・4年」といった母親たちにとって、「自分の親(71.9%、72.5%)」「知人・友人(67.0%、67.0%)」以外の公的サービスでは、「保育園・幼稚園の先生(33.6%、42.7%)」「保健師(25.9%、22.0%)」「子ども家庭支援センターや子育てひろばなどの職員(20.4%、20.6%)」が上位3位となっており、保護者の子育てをサービスとして支援するだけではなく、子育てを伝授していく役割も果たしている<表3-193>。

表3-193 Q4現住所の居住年数×Q35子育てについて教わった相手(複数回答)