あいさつ [港区教育委員会 教育長 小池 眞喜夫]

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港区教育委員会 教育長 小池 眞喜夫

 今、子どもの育ちをめぐって、本来、家庭や地域で育まれてきた基本的な生活習慣や人とかかわる力、規範意識など、幼児期に着実に身に付けなければならないことについて、様々な課題が指摘されています。家庭の教育力の低下、地域社会の変容、グローバル化など、子どもを取り巻く環境が大きく変化している現在、教育現場において、子どもの健やかな育ちを支えていくことがより一層求められています。
 平成26年10月、港区教育委員会は、子どもたちの現状や課題、保護者・区民の願いを受け、今後10年間を通じて港区の教育の根幹となる基本理念や目指すべき人間像及び取組の方向性を示す「港区教育ビジョン」を策定しました。
 教育ビジョンでは「生涯を通じて夢と生きがいをもち、自ら学び、考え、行動し、未来を創造する人」を目指す人間像として掲げています。義務教育は、生涯にわたって自ら学ぶ態度を培う上で重要ですが、それは児童期の教育から突然始まるのではなく、幼児期との連続性、一貫性ある教育の中で成立するものです。その意味で、幼稚園、保育園における幼児期の教育と小学校教育との連携や、相互に見通しをもった教育を推進することが必要となります。
 今年度、子ども家庭支援部と教育委員会が協働で、幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続を図るため、小学校入学前の5歳児の共通カリキュラムとして、「育ちと学びをつなぐ 小学校入学前教育カリキュラム」を策定しました。私立幼稚園、私立保育園とも連携し、港区全体で取り組むことができたことは、港区にとって新たな一歩と考えます。
 「教育の港区」の実現に向け、「質の高い幼児期の教育とは何か」について、保育士や教員一人ひとりが何をすべきか改めて課題を把握し、自己研鑽することが大変重要です。
 本カリキュラムを、区内の各保育園、幼稚園、小学校で活用することにより、港区における幼児期の教育が充実し、異校種同士の理解が深まるための一助となることを心から願っております。また、本カリキュラムの概要をリーフレットにまとめましたので、在宅で子育てされている御家庭も含め、多くの皆様に御覧いただきたいと思います。
 結びに、策定に携わっていただきました國學院大學 教授 神長 美津子先生をはじめ、港区小学校入学前教育カリキュラム検討委員会の皆様、私立保育園長会、私立幼稚園長会、区立保育園長会、区立幼稚園長会、小学校長会、その他関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。