「幼児期の教育と小学校教育の円滑な接続の在り方に関する調査研究協力者会議」(平成22年11月)における報告書では、「児童期の教育をはじめとする義務教育は、生涯にわたって自ら学ぶ態度を培う上で重要なものであるが、それらは児童期から突然始まるのではなく、幼児期との連続性・一貫性ある教育の中で成立するものであるとし、幼児期の教育(特に幼児期の終わり)と児童期の教育の目標を「学びの基礎力の育成」という一つのつながりとして捉えることとする」としています。
また、「『学びの基礎力』の育成を図るため、幼児期(特に幼児期の終わり)から児童期(低学年)にかけての教育においては、『三つの自立』(学びの自立、生活上の自立、精神的な自立)を養うことが必要である。」としています。
学びの基礎力
○学びの自立
自分にとって興味・関心があり、価値があると感じられる活動を自ら行うとともに、人の話などをよく聞いて、それを参考にして自分の考えを深め、自分の思いや考えなどを適切な方法で表現すること。
○生活上の自立
生活上必要な習慣や技能を身に付けて、身近な人々、社会及び自然と適切にかかわり、自らよりよい生活を創り出していくこと。
○精神的な自立
自分のよさや可能性に気付き、意欲や自信をもつことによって、現在及び将来における自分自身の在り方に夢や希望をもち、前向きに生活していくこと。
さらに、幼児期(特に幼児期の終わり)における学びの基礎力の育成において重要であるのは、幼児が人やものに興味をもち、かかわる中で様々なことに気付くとともに、それらを広げ、深めていく過程の中で、自己発揮と自己抑制を調整する力を育むことであり、それらを通じて、個人として、また社会の構成員としての自立への基礎を養うことです。具体的には、「学びの自立」、「生活上の自立」、「精神的な自立」の「三つの自立」を養うこととしています。
そこで、本カリキュラムでは、幼児期の育ちと学びの上に小学校以降の教育があるという報告書の趣旨を踏まえ、幼児期の教育から小学校教育をつなぎ、貫く「三つの力」を、港区ならではの「三つの力」として、以下のように設定しました。
三つの力
○「生活上の自立」につながる生活習慣・運動 → 生活する力
○「学びの自立」につながる思考力・表現力 → 発見・考え・表現する力
○「精神的な自立」につながる自己発揮・他者理解・規範意識 → かかわる力
保育園・幼稚園では、保育所保育指針や幼稚園教育要領の5つの領域の実践と、小学校の教育を見据えたこの「三つの力」をバランスよく伸長させる指導を行うこと、小学校低学年では、保育園・幼稚園での育ちと学びを踏まえた指導を行うことにより、連続性・一貫性のある指導の実現を目指します。