(2)5歳児のカリキュラムの作成におけるポイント

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 保育士や教員が活用しやすいように、前期(4月)、中期(11月)、後期(2月)を例として示しています。各園ですでにある教育課程・保育課程、年間指導計画等の見直しや具体的な指導の内容とするための参考としてください。
 作成にあたって、以下の5点をポイントとしてあげました。
 
 5歳児のカリキュラムの作成におけるポイント
①身に付けさせたい内容
 具体的な視点を設定する。
 <生活する力における具体的な視点は…>
  ○自分のことは自分でする
  ○健康で安全な生活をする
  ○体を十分に動かし、進んで運動しようとする
 <発見・考え・表現する力における具体的な視点は…>
  ○好奇心や探究心をもってものとかかわる
  ○感じたこと・考えたことを言葉で伝える
  ○文字や数量などの感覚を豊かにする
 <かかわる力における具体的な視点は…>
  ○あいさつをする
  ○人とかかわる
  ○きまりや約束を守る
②家庭との連携
 保護者への働きかけの内容を、「三つの力」に対応させて明確にする。
③具体的な指導上の留意点
 その時期の大切な指導のポイントを明確にする。
④環境の構成の工夫
 環境の構成の工夫について、特におさえておきたい内容を示す。
⑤具体的な活動の例
 具体的な活動がイメージできるように例示する。
 (ただし、幼児の実態や、興味・関心に応じた活動となるようにすること)
 

保育園・幼稚園で身に付けさせたい内容 小学校へ


5歳児前期

 保育園・幼稚園での指導例
<具体的な指導上の留意点>
○新しい場の使い方や物の配置、安全な行動の仕方、当番活動の内容などを幼児とともに考えたり整えたりすることで、幼児が自分たちで生活をつくり出していく意識をもてるようにする。
○当番活動では、教員・保育士が仕事内容を決めて幼児に提示するのではなく、自分たちでできることや毎日の生活に必要なことを一緒に考えて、内容を決定するようにする。

自分たちで決めた当番活動


ボードには時間や一日の予定

<環境の構成の工夫>
○新たな場での安全な行動の仕方について共通に理解する機会を設ける。
○教員・保育士が友達と遊具や用具、生活に必要な物の置き場所や使い方を決め、自分たちで場を整え生活を進めていく構えがもてるようにする。
○年下の幼児の世話をしたり、かかわりをもったりする機会を生活の中で意図的に設け、うれしい気持ち、思い通りにいかない難しさ等を味わえるようにする。

年長組が年少組の世話をする活動


<具体的な活動例>


5歳児中期

 保育園・幼稚園での指導例
<具体的な指導上の留意点>
○友達と共通の目的をもって取り組む場面では、話し合う内容を明確に提示し、一人ひとりが自分の考えを話すこと、相手の話を最後まで聞くことなど、話し合いの仕方を伝えていく。
○活動後には、振り返りの機会をつくり、自分の頑張ったことや友達の良かったこと、一緒に活動して困ったことなどを発表する機会をつくる。このことで幼児同士の励まし合いや認め合いを促し、それぞれの自信につなげていく。

友達と協力して一つのものを作る


考えを発表し合う

<環境の構成の工夫>
○ルールや遊び方を考えたり、新たにつくったりしながら、ルールを守る楽しさや自分たちで進めていく楽しさが味わえるような遊びを取り入れ、友達と遊ぶ場や時間を十分確保する。
○学級(クラス)の課題や行事に向けての取組では、話し合う内容や役割分担を各自が理解し、ある程度の見通しをもち、グループや学級で共通に進められるように、絵や文字、カレンダーなどで整理して示す。

自分たちでドッジボールを進める


話し合ったことを書き記し、友達と共有する


<具体的な活動例>


5歳児後期 アプローチカリキュラム

 保育園・幼稚園での指導例
<具体的な指導上の留意点>
○あきらめずに挑戦することで上達を実感できるような活動を提案し、自信になるようにする。
○一人ひとりのよさや考えが十分に発揮される機会をつくり、互いに認め合いながら活動を進められるようにして、自分たちでやり遂げる喜びを味わえるようにする。
○小学校生活への不安も受け止めながら、「楽しそう」「できそうだ」という期待や自信がもてるよう、小学校と綿密に打ち合わせを行い、無理のない交流や体験ができるようにする。

一人ひとりが力を発揮し、学級(クラス)みんなで目的に向かってやり遂げる


小学校で給食の配膳を経験する

<環境の構成の工夫>
○一人ひとりがめあてをもって追求できる活動を用意し、繰り返し取り組むための場と時間を保障する。
○カレンダーや時計の模型、予定を記したホワイトボードなどを活用し、幼児が生活に見通しをもち、自分から必要なことを考えたり、取り組んだりできるようにする。

めあてをもち、いろいろな技に挑戦する


<具体的な活動例>