スタートカリキュラムとは、幼児期の育ちと学びを小学校につなぎ、小学校に入学した子どもたちが円滑に小学校生活に適応できるように作成する小学校第1学年入学当初(小学校1年生1学期)のカリキュラムのことです。
スタートカリキュラムの作成については、小学校学習指導要領解説生活編に「幼児期の教育の成果を踏まえ、体験を重視しつつ、小学校生活に適応すること、基本的な生活習慣等を育成すること、教科等の学習活動に円滑な接続を図ること」とされています。
入学当初、児童が新しい環境の中で、安心して過ごすためには、教師側の配慮や工夫、家庭との連携が必要です。入学から第5週までのスタートカリキュラムの例と、その週の主な指導の実践例を載せていますので参考としてください。
①時間配分の工夫 -はじめての給食指導-
小学校教育では、国語や算数などの各教科・領域中心の授業が組み立てられ、1時間毎にねらいを達成するための学習活動があり、授業の間に休み時間があるという生活です。
これに対して、幼児の園生活は、一日を単位として登園から降園までの生活が充実したものとなるよう、環境を構成し、幼児の興味・関心に応じた時間配分がされています。
そこで、入学当初は、活動への見通しや少しずつ時間を意識して行動できるようにするための、時間配分の工夫が必要です。
②港区ならではの「国際科」
港区立小学校では、1年生から週2時間、NT(ネイティブティーチャー)と連携して、国際科の授業を行っています。
児童が不安にならず、楽しく学習することができるよう、認め、励まし、支える担任の存在は大きく、小学校においても、担任が一人ひとりに声をかけ、確かな信頼関係を築くよう心がけていくことが大切です。
③文字指導の工夫
文字への興味は、個人差が大きいため、一人ひとりのきめ細かな指導と配慮が求められます。幼児期に、文字を読んだり、書いたりして遊んだ経験を生かし、できたことを認めたり、励ましたりして満足感・充実感をもって無理なく学習を進めることが大切です。
④教科と教科の関連性を図った指導の工夫 -生活科と国語科-
幼児期の「遊び」を通して行う総合的な指導から、小学校の教科等の学習を中心とした指導への円滑な移行に際し、授業づくりの工夫が必要です。教科と教科の関連性をもたせて授業を組み立てていくことが大切です。
⑤幼児期の経験を生かす配慮 -特別活動の工夫-
小学校教育では、子どものこれまでの育ちや学びを十分に理解した上で、教育活動を展開することが求められます。子どもがこれまでに経験したことや身に付いていることを生かすことで、学習への意欲を高めることができます。
そのためには、小学校入学したばかりの1年生が「1年生になった」ということを自覚し、自信をもって学校生活を送ることができるよう、子ども同士のかかわり方を工夫することが必要です。例えば、入学当初に1年生に対して6年生が様々な場面で手伝いの機会を設定しています。「1年生は学校では一番、年下だから」といって、必要以上に先回りして世話をしてしまうのではなく、1年生自身が見通しをもって自分で考えてできるよう見守り、できないことや理解していないことを支援するようなかかわりをさせるなど、きめ細かな指導の工夫が求められます。
1年生の自分でやろうとする意欲をかきたてられるよう、一人ひとりの姿をよく見て、授業に限らず、生活上必要な生活習慣や技能、授業規律等、定着させていくことが大切です。