學 務 課
赤坂區公立赤坂青山學校設置開申書別紙之通屆候條呈覧候也
赤坂區學務委員 青 山 幸 宜 印
東京府赤坂區長 前 田 利 充 印
東京府知事 芳川 顕正殿
〔別紙〕
公立赤坂小學設置規則開申
設置ノ目的 小學科
名 稱 赤坂小學
位 置 赤坂一ツ木町九十番地
生徒定員 三百五十人
教員數 十 二 人
生徒訓戒
第一條 教師ノ指揮ニ違背スヘカラス
第二條 各自禮讓ヲ重シ不敬不遜ノ所行アルベカラス
第三條 出校ノ刻限ニ遅參スベカラス
第四條 爭鬪及ヒ無用論議ヲナスベカラス
第五條 詐言詭術ヲ以テ他生ヲ惑亂シ又ハ誹謗スベカラス
第六條 我意ヲ主張シ又ハ他人ヲ輕蔑シ或ハ嘲笑罵言スベカラス
第七條 授業中外見雜談ヲナシ又ハ物品ヲ玩弄スベカラス
第八條 教師ノ許可ナクシテ互ニ物品ヲ貸借シ又ハ授受ヲナスベカラス
第九條 教師ノ指揮ヲ待タスシテ教場ノ出入スヘカラス
第十條 書籍用具ハ大切ニ取扱ヒ亂雜ニナスベカラス
第十一條 教場或ハ廊下ヲ疾走シ又ハ壁ヲ汚スベカラス
第十二條 壁塀戸障子其他ノモノヘ濫書シ又ハ抓劃スベカラス
第十三條 危險ノ所行及ヒ他人ノ妨害ヲ爲ス擧動アルベカラス
第十四條 樹木或ハ柵土手等ヘ攀チ登リ又ハ岩石木片等ヲ抛ツベカラス
第十五條 行厨ノ外猥リニ飮食シ又ハ湯茶ヲ爭フヘカラス
第十六條 父母或ハ尊長ノ許可ナクシテ金錢ヲ取扱フベカラス
第十七條 教師ノ許可ナクシテ猥リニ校門外ヘ出行スヘカラス
第十八條 傘履等ヲ亂雜ニ爲スヘカラス
第十九條 火ノ元ヲ疎略ニ爲スヘカラス
右之條項ニ違背シ其他生徒ニアルマジキ所行ヲ爲ス時ハ其事實ヲ取糺シ左ノ件々ニ據テ之ヲ處分スルモノトス
一 說諭 再犯ナキ樣懇諭ヲ加ヘ悔悟スルニ至ラシムルヲ旨トス
一 拘置 終業後十分ヨリ少カラス三十分ヨリ多カラサルヘシ拘置ノ間ハ其犯件ヲ警戒シ是非ヲ悔悟セシム
ルヲ旨トス
一 教場拘置運動時間中遊歩ヲ禁スルモノトス
一 教場側立授業中十分若クハ二十分間其座席或ハ一隅ニ直立セシムル者トス
一 退校 學務委員校務掛ト商議ノ上父兄ヘ申聞ケ然ル後チ處分スルモノトス
書籍器具及ヒ窓戸等ヲ破損スルモノアル時ハ事實ヲ取糺シ其理由ニ依リ償還セシムル事アルモノトス
一 現品ヲ以テ償ハシムル事
一 代償ヲ以テ償ハシムル事
一 代償ノ幾分ヲ償ハシムル事
敷地 五百六十八坪七合二勺
建物 百五十四坪七合五勺
一 授業料 金壹圓ヨリ金貮拾錢マテ
收入高金千參百六拾四圓四拾壹錢七厘
一 經費入支出
支出高金千參百參拾圓貮拾五錢四厘
右之通候也
明治十五年七月二十日
赤坂區學務委員 青 山 幸 宣
東京府赤坂區長 前 田 利 充
(都公文書館資料)
【付記】文部省は、「教育令」改正に基づいて、明治十四年、「小学校教則綱領」を達した。これにより、小学科は、初等科、中等科、高等科の三科となった。港区地域の小学校では、初等科・中等科、初等科・中等科・高等科、初等科・中等科・夜学校など多様な設置が見られた。
なお、明治十九年の小学校令で小学校を尋常小学校と高等小学校の二つに分けることとなった。赤坂区赤坂小学校は、「公立赤坂小学設置規則」を定めた。この中には、生徒訓戒及び破物償還規則なども定められている。