南山小学校校外教授規程

    校外教授規程
第一條 校外教授ハ定期及臨時ノ二種ニ分ツ
    定期校外教授ハ每學期各一回(五月十月三月)全校兒童ニ之ヲ行ヒ臨時校外教授ハ必要ノ都度之ヲ行フ
    モノトス
第二條 校外教授ヲ行フベキ場所ハ豫メ之ヲ實地ニ踏査シテ指教スベキ事項ヲ豫メ想定シ置クヲ要ス
第三條 校外教授ヲ行ハントスルトキハ豫定ノ細目ニ基キ教授案ヲ作成シテ豫メ學校長ノ承認ヲ受クベシ
第四條 校外教授ヲ終リタルトキハ三日以内ニ報告書ヲ作製シ學校長ニ報告スベシ
第五條 校外教授案ハ大凡左ノ形式ニ遵フベシ
      第  學年校外教授案
                           受持訓導  氏   名  印
 一、目的地
 二、日 時 何月何日
       出發午前  時   歸校午後  時
 三、兒童數
 四、經路及里程
    (イ) 往路 (ロ) 復路 (ハ) 往復何里
 五、教授ノ目的
 六、教材
   (教授材料ハ各學年ノ教科目ニ應ジ成ルベク精細ニ記述スルヲ要ス)
備考
 兒童ノ準備
(イ) 服装 質素ニシテ輕便ナラシムベシ
(ロ) 履物 靴草履草鞋ノ中タルベシ
(ハ) 金錢 攜帯ヲ嚴禁ス
(ニ) 辨當 竹皮包ヲ便トス
(ホ) 手拭鼻紙手帳鉛筆等ヲ攜ヘシムルコト
 
   校外教授細目
學年學期目的 方面題  目連絡教科教授要項順路其他






芝公園
往復約一里
共同一致修身科快活忍耐學校―十番裏―
飯倉校―芝公園
公  徳公園ノ樹木、清潔
川ト橋國語科澁谷川、橋、交通
電  車都會ト交通機關
公  園公園ノ大切ナルコト
古建築物五重塔、靈廟、石燈籠
銅像記念碑板垣、大隈、後藤、
伊能忠敬頌徳碑等
池ト海東京灣、船、鯉、龜



(一)
赤坂氷川神社ト
乃木神社
往復約一里
規  律修身科(一、三連隊ヲ見テ)
兵營ト軍隊
學校―材木町―
龍土―氷川町―
神社―新坂町―
乃木坂―乃木神社―
霞町―學校
動物愛護猿小鳥等
  鳥居、石段、大樹、
燈篭、繪馬、記念碑、
乃木神社
 
澁谷金王八幡
往復約一里半
神  社國語科鳥居、石段、燈篭、
記念碑、金王梅、
神樂殿、境内
 
オモヒヤリ修身科赤十字社ニツイテ



(一)
愛宕公園ト芝公園
往復一里半
公  園修身科公徳心、キソクニシタガエ學校―十番裏―
森元通リ―慈惠會―
公園―芝公園―飯倉校―
十番ウラ―學校
丘  陵國語科山、坂、石段、山ノ上ノミ
ハラシオ化イテフ
都  會建物、道路
交  通汽車、電車、船
東京灣、臺場

第二・三・四・五學年〔略〕







(


)
多摩川
往復約六里
友  愛修身科車中ニ於ケル心得
朋友ハ相扶ケ合フ可キコト
學校―笄町―高樹町―
宮益坂―中澁谷―
玉川電車―二子
多摩川附近
ノ風景
國語科春ノ田野及多摩川
水  源地理科水道ノ水源
平野ト山脈武藏野ト連山脈
漁  業 鮎漁
春ノ田畑理 科苗代、麥、豆、馬鈴薯等
森  林理 科新緑
流  水砂礫、急流、沈澱、運搬等
寫  生圖畫科春ノ遠山
沿岸ノ風景



(第一回)
鎌倉ト
横須賀
三浦半島地理科東海道線、支線、三浦半島、
東京灣、鎌倉ノ地勢、軍港、
工廠、要塞地帯、
土地ト產物、ドック
新橋集合―
横須賀マデ汽車歸途、
鎌倉下車、
鎌倉ヨリ品川マデ汽車―
品川解散
鎌  倉歷史科八幡宮、鎌倉宮、頼朝ノ墓、
幕府ノ祉、東勝寺社、日蓮
辻說法地、鎌倉ノ歷史
軍  艦國語科軍艦ノ種類、軍艦生活、
飛行機、飛行船
理科地層、海
(第二回)
麻布郵便局
芝交換局
第一聯隊
往復約二里
郵便事務國語科郵便物處理ノ狀況
郵便ノ心得
學校―麻布郵便局―
森元町―芝公園―御成門―
芝交換局―飯倉四辻―
六本木―第一聯隊前以テ
三ヶ所共紹介シオクコト
電 信 機理 科電信機ノ構造、發信受信、
配逹ノコト
電 話 機電話機ノ構造、通話交換手
ノ狀況
兵 營國語科兵營生活




 
 
 
 
 
(


)
(一)
上野博物舘
往復里程約四里
博物舘地理科位置、設置ノ目的學校―芝山門前ニテ電車―
公園前(復路)公園前ニテ
電車―芝園橋ニテ下車―
學校
修身科古人ノ道徳的事蹟ニ關係ア
ルモノ
歷史科歷史的事實ニ關係アルモノ
丘ヨリノ
眺望
地理科東京市街、東半部ノ區域、
地勢、交通、生業等ノ槪觀
(二)
小石川植物園
往復三里
交  通地理科小石川ノ位置ト十五區
市内ノ交通
學校―十番通―芝公園―
御成門―乘車―小石川原
町下車
動  物理 科飼養セル動物ノ形態習性
植  物各種植物ノ生態、温室植物
ノ生態、幷ニ設備
寫  生圖畫科園内ノ風景
 純日本庭園アルコト、徳川
時代ハ藥園ナリシコト、現
在帝國大學附屬園、園内樹
木多ク、幽大ニシテ高尚
   

(南山小学校『校規』大一二)