我校に於ては、校舎落成に件つて、映冩設備も完成したので、本年四月より、東京日日新聞社主催の、教育映畫聯盟に加入して、フイルムの供給を受けて居るが十一月迄に映冩したものは、次の如くで有る
四月 一、漫 畫 猿正宗 一卷
二、教 材 鯛あみとまぐろ船 一卷
三、情 操 美しき愛 四卷
五月 一、皇 室 聖上陛下東宮時代御渡欧映畫 一卷
二、教 材 大氷海 一卷
三、漫 畫 ろ ば 一卷
四、情 操 岐 路 三卷
六月 一、教 材 卵から雛へ 一卷
二、千代紙映畫 こがねの花 一卷
三、教 材 雪中冨士登山 一卷
四、喜 劇 妖怪退治 二卷
七月 一、教 材 われらの水 三卷
二、漫 畫 吃驚仰天眞珠大王 一卷
三、劇 ちんどん屋の子 二卷
十月 一、喜 劇 突貫がらくた列車 二卷
二、教訓劇 輝く人生 四卷
十一月 一、漫 畫 タヌ吉のお話 一卷
二、喜 劇 白馬物語 二卷
三、教訓劇 此の子を見よ 四卷
以 上
本校の映畫施設 〔略〕
昭和六年十二月以降の映畫種目は左の如くである。
昭和六年十二月
一、太宰府まうで 一卷
二、空の桃太郎 一卷
三、科學畫報 一卷
四、少年馬子 三卷
昭和七年一月
一、北海道の話 一卷
二、電 燈 二卷
三、愛の小徑 四卷
同 年二月
一、滿州事變映畫 二卷
二、輝く銀界 一卷
三、忠吉は歸った 一卷
四、危險信號 四卷
同 年四月
一、ブラジルのコーヒー栽培 一卷
二、春 一卷
三、將軍馬車 四卷
同 年五月
一、櫻咲く日本 一卷
二、海の桃太郎 一卷
三、本壘打 四卷
同 年六月
一、磐梯山と猪苗代湖 一卷
二、豚平と猿吉 一卷
三、海の宮殿 四卷
同 年七月
一、黒部峽谷 一卷
二、蛇の生活 一卷
三、粘土のいたづら 一卷
四、健康の世界へ 一卷
五、海濱の一日 二卷
同 年十月
一、燈臺の話 一卷
二、あひるの子 一卷
三、僕は少年航空兵 五卷
同 年十一月
一、村の恩人 六卷
二、文福茶釜 一卷
三、乘鞍嶽
四、奈良の美 一卷
五、體育デー 一卷
一、南先生 四卷
二、京城だより 一卷
三、電球の出來るまで 一卷
昭和八年一月
一、空の圓タク 一卷
二、レコードの出來るまで 一卷
三、少年軍 五卷
以 上
(『氷川学報』 昭八)
昭和八年四月以降の映畫種目は左の如くである。
昭和八年四月 一軍用犬(一卷)二、雲雀の宿替(一卷)三、魔法の時計(四卷)
同 年五月 一南洋群島(一卷)二、紙芝居いたづら狸の卷(一卷)三、かへる(一卷)四、ポケット(三卷)
同 年六月 一、初夏の白馬嶽(一卷)二、猿が島(二卷)三、北氷洋征服(三卷)
同 年九月 一、われらの住む大地(一卷)二、ジラフの首はなぜ長い(一卷)三、峠(四卷)
同 年十月 一、武藏野から大東京へ(一卷)二、のらくろ二等兵(一卷)三、父と子(四卷)
同 年十一月 一、雪國の旅(二卷)二、行路(四卷)
同 年十二月 一、弱い者の戰術(一卷)二、インク壺から火事(一卷)三、長門の叔父さん(二卷)
四、夕やけ小やけ(二卷)
(『氷川学報』 昭九)
本年度本校で實施した日日新聞社フイルムライブラリーの種目は次の通りである。
四月 時事教材映畫第一輯、村の子供達、のらくろ伍長
五月 猿の三吉突撃隊、ゴトク倶樂部、北海道地方
六月 山と海の微笑み、鼠と獅子、少年諸君
七月 時事教材映畫第二輯、少年犬騒動、海の生命線
九月 中部地方、サーカスごつこ、義人呉鳳
十月 趣味の科學、海の冐險、曾我兄弟
十一月 傳書鳩、特急艦隊、地上の歡喜
一月 鮪漁、月の宮の王女、和氣清麻呂、美はしの吉岡先生
二月 さくらの春、ミー坊と狼、サーカスデー
尚十六ミリ映畫の種目は次の通りである。
五月 春はまた丘へ
六月 二宮金次郎、此の映畫は三年修身教材を映畫化したもので、原田訓導が研究教授を行つた。
七月 南先生
十月 蛔蟲と人生、是は蛔蟲の害を現はしたもので、榮養週間に映寫して、兒童衞生思想の涵養に稗益した。
十二月 大忠臣藏、十四日の義士會に觀覽せしめた。義士の忠烈には一同深く感銘する所があった。
(『氷川学報』昭一〇)
本年度は本校映畫部の活躍も特に目覺しく、映寫に撮影に研究授業に最大能力をあげ、特に本區映畫教育研究部備へつけの教材映畫も二十本にも及び、あらゆる機會に充分利用せられ、その兒童の學習上に及した効果は非常に多かつた事と思う。今本年度に使用した重な映畫を擧げれば次の通りである。
◎講堂映寫
四 月 シネグラフ十二輯、白鼠物語、魂を投げる
五 月 文化の母、のらくろ二等兵、海底探訪、乃木將軍、楠公父子
六 月 シネグラフ十五輯、チウ助の報恩、長良川の鵜飼、級長の心配
七 月 一寸法師、東郷元帥、南極猛鯨狩
十 月 學校齒科衞生、少年航空兵、支那事變ニユース
十一月 日支事變第一第二輯、だんごの行方、戰線に吠ゆ
十二月 爆弾二將校、事變ニユース、血染のスケツチ
一 月 支那事變第五輯、マー坊の少年航空兵、北支那の旅、魔の銀嶺
・映畫利用研究教授
地理「中部地方」 五年 木村訓導
理科「冬の芽」 四年 唐澤訓導
修身「忠君愛國」 三年 原田訓導
・授業に使用せる映畫
理科映畫 十五本 地理映畫 十本
讀方映畫 八本 修身映畫 五本
・記錄映畫撮影(九ミリ半)
南京陥落祝賀旗行列 三〇呎
神殿建設工程 七〇呎
・本區聯盟所有映畫
日本地理大系 關東、奥羽、中部、近畿、中國、四國
理科映畫 蝶の生立、稻、蛙と蛇、蟬の一生、石油の話、製鐡の話、血液の循環、秋、冬、種子の撒布、
冬の芽
(『氷川学報』昭一三)
【付記】昭和の時代に入り、映画を利用した教育が盛んになってきた。その後戦時体制を強めるなかで、児童の情意を育てることを目的として、映画教育が重視された。区内では、氷川尋常小学校の昭和八年より十三年までの記録が残されている。