こうした状況に対応するため、国は平成23年10月、中央教育審議会の初等中等教育分科会において、小中学校間の連携・接続について審議を始めるとともに、平成27年6月に学校教育法の一部を改正し、第一条に義務教育学校が位置付けられました。
港区教育委員会では、こうした国の動向に先駆けて、各園・小中学校の伝統、校風を尊重しつつ、授業の質の向上や地域に根ざした教育を推進するため、平成22年度の小中一貫教育校お台場学園の開校を契機に、幼・小中一貫教育の構想を練り始めました。
構想を具現化するために、まず、中学校通学区域を単位とした幼稚園・小学校・中学校が1つのグループとなり、研究組織(アカデミー)を立ち上げました。このアカデミーでは、それぞれの学校や幼稚園の伝統や特色ある教育活動を基盤に、各施設間の距離等、施設形態を考慮し、アカデミー内の子どもたちをどのように育てるかを大きな研究の柱としています。
具体的には、平成24年度から3年間かけて、港区教育委員会が主催する校長・園長による研究機関である教育経営協議会をはじめ、副校園長研修会、幼・小中一貫教育コーディネーター連絡会等、様々な職層や職務に関する研修会・主任会においてアカデミーに分かれ研究を進めました。この中で特に、教務主任会におけるアカデミーごとの研究保育・授業では、異校種の保育や授業を実際に参観し、研究協議を重ねることで、異校種の教育について教員間の共通理解が図られたほか、地域ごとの子どもの課題を抽出することで、各アカデミーの目指す子ども像が明確化されました。港区では、これらの研究成果をもとに、平成27年4月、区内2校目となる小中一貫教育校白金の丘学園の開校に合わせ、区内全域で幼・小中一貫教育を本格導入しました。
本カリキュラムは、幼・小中一貫教育をさらに推進する上で、幼稚園・小学校・中学校の教員が互いの校種の指導計画や指導内容を理解し、各教員が授業改善に役立てることを目的とした基本資料です。
今後も、幼児期の教育3年間から、小中学校の義務教育9年間を連続したものと捉え、12年間を見通した指導方針のもと、教員一人ひとりがこの「MINATOカリキュラム」を手にとって積極的に活用し、地域性や子どもたちの実態を踏まえた特色あるカリキュラム開発に努めていただきたいと思います。
結びに、港区の幼・小中一貫教育をきっかけとして、港区の全教員が力を結集し、子どもたち一人ひとりの力を伸ばす教育活動の充実が図られますようお願いいたします。
港区教育委員会教育長 小池 眞喜夫