5 学校における取組

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(1)学校いじめ防止基本方針の策定
 学校は、法第13条に基づき、国の基本方針及び区の基本方針を参酌し、当該学校の実情に応じ、「学校いじめ防止基本方針」(以下「学校の基本方針」という。)を定めます。
 学校の基本方針には、いじめの未然防止のための取組、早期発見・即時対応のあり方、教育相談体制、生活指導体制、校内研修、保護者や地域等との連携などの事項を定めるなど、いじめの防止等全体に係る内容とします。
 また、策定した学校の基本方針については、学校のホームページ等で公開するとともに、定期的な取組状況の点検と必要に応じた見直しを行います。
 
(2)いじめの防止等の対策のための組織の設置
 学校は、法第22条に基づき、当該学校におけるいじめの防止等に関する措置を実効的に行うため、当該学校の複数の教職員、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者その他の関係者により構成される「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」(以下「学校いじめ対策委員会」という。)を設置します。
 また、学校がいじめの事実確認を行う場合は、本組織を主体とし、必要な構成員を加え実施することができます。
 なお、日頃からいじめの問題等、生活指導上の課題に対応するための組織として位置付けている「生活指導部会」等、既存の組織を活用することができます。
 
(3)学校いじめ対策委員会の役割
 学校いじめ対策委員会の役割は、以下の4点のとおりです。
①学校基本方針に基づく取組の実施や具体的な年間計画の作成・実行・検証・改善(PDCAサイクル)の際に中核となる役割
②いじめの相談・通報の窓口としての役割
③いじめの疑いに関する情報や児童生徒の問題行動などに係る情報の収集と記録、共有を行う役割
④いじめの疑いに係る情報があった場合には、情報の迅速な共有、関係のある児童生徒への事実関係の聴取、指導や支援の体制・対応方針の決定、保護者との連携等の対応を組織的に実施する役割
 などが挙げられます。
 
(4)学校におけるいじめの防止に関する取組
 学校におけるいじめの防止に関する取組は、以下の4点の柱に基づいて行うものとします。
①未然防止
 ・「いじめは絶対に許されない」「いじめに対して傍観者にならない」という雰囲気の学校全体への醸成
 ・道徳教育及び人権教育の充実、読書活動・体験活動などの推進等による、いじめに向かわない態度・能力の育成
 ・学級活動や児童会(生徒会)活動などで、児童生徒自らがいじめに関する課題に対し、主体的に考える機会の設定
 ・校内研修の充実等を通じた教職員の資質の向上
 ・児童・生徒及び保護者を対象としたいじめ(ネット上のいじめも含む。)防止のための啓発活動の推進
 ・家庭訪問、電話連絡、学校だよりなどを通じた家庭との緊密な連携・協力
②早期発見
 ・定期的なアンケート調査、教育相談の実施等による早期のいじめの実態把握及び児童生徒がいじめを訴えやすい体制の整備
 ・保健室、相談室等の利用及び電話相談窓口の周知等による相談体制の整備
 ・教職員全体によるいじめに関する情報の共有
③早期対応
 ・いじめを発見した場合に特定の教職員が一人で抱え込まない速やかな組織的な対応
 ・いじめられた児童生徒及びいじめを知らせてきた児童生徒の安全の確保
 ・いじめられた児童生徒が落ち着いて教育を受けられる環境の確保
 ・学校いじめ対策委員会等を活用し、いじめの事実確認と原因究明
 ・教育的配慮の下、毅然とした態度によるいじめた児童生徒への指導
 ・いじめを見ていた児童生徒が自分の問題として捉えられるようにする指導
 ・いじめられた児童生徒の保護者に対する、心理的ストレスの軽減につなげるための支援
 ・いじめた児童生徒の保護者に対する、家庭での指導に関する助言
 ・保護者会の開催などによる保護者との情報共有
 ・関係機関、専門家等との相談・連携
 ・いじめが犯罪行為として取り扱われる懸念がある事案についての警察との相談
④重大事態への対応
 ・いじめられた児童生徒の生命及び安全の確保
 ・いじめられた児童生徒が落ち着いて教育を受けられる環境の確保
 ・関係機関、専門家等との相談・連携
 ・いじめが犯罪行為として取り扱われるべきと認められる事案についての警察との連携
 ・重大事態に係る事実関係を明確にするための調査の実施又は区が行う調査への協力
 ・重大事態発生についての教育委員会への報告
 などが挙げられます。
 
(5)いじめの「解消」の判断
 いじめが「解消している」状態とは、少なくとも次の2つの要件が満たされている必要があります。ただし、これらの要件が満たされている場合であっても、必要に応じ、他の事情も勘案して判断するものとします。
①いじめに係る行為が止んでいること
被害者に対する心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)が止んでいる状態が相当の期間継続していること。この相当の期間とは、少なくとも3か月を目安とします。ただし、いじめの被害の重大性からさらに長期の期間が必要であると判断される場合は、この目安にかかわらず、教育委員会又は学校の判断により、より長期の期間を設定します。
②被害者が心身の苦痛を感じていないこと
いじめが解消しているかどうかを判断する時点において、被害者がいじめの行為により心身の苦痛を感じていないと認められること。被害者本人及びその保護者に対し、心身の苦痛を感じていないかどうかを面談等により確認します。
学校は、いじめが解消に至っていない段階では、被害者の立場に立って、心に寄り添い、守り通し、その安全・安心を確保する責任を有します。「解消している状態」に至った場合でも、いじめが再発する可能性が十分にあり得ることを踏まえ、学校の教職員は、当該いじめの被害児童生徒及び加害児童生徒については、日常的に注意深く観察する必要があります。
 
(6)学校として特に配慮が必要な児童生徒への対応
①発達障害を含む、障害のある児童生徒がかかわるいじめについては、教職員が個々の児童生徒の障害の特性への理解を深めるとともに、個別の教育支援計画や個別の指導計画を活用した情報共有を行いつつ、当該児童生徒のニーズや特性を踏まえた適切な指導及び必要な支援を行います。
②海外から帰国した児童生徒や外国人の児童生徒、国際結婚の保護者を持つなどの外国につながる児童生徒は、言語や文化の違いから、学校での学びにおいて困難を抱える場合も多いことに留意し、それらの違いからいじめが発生することがないよう、教職員、児童生徒、保護者等の外国人児童生徒等に対する理解を促進するとともに、学校全体で注意深く見守り、必要な支援を行います。
③性同一性障害や性的指向・性自認に係る児童生徒に対するいじめを防止するため、性同一性障害や性的指向・性自認について、教職員への正しい理解の促進や、学校として必要な対応について周知します。
④東日本大震災等により被災した児童生徒や原子力発電所事故により避難している児童生徒については、被災児童生徒が受けた心身への多大な影響や慣れない環境への不安感等を教職員が十分に理解し、当該児童生徒に対する心のケアを適切に行い、細心の注意を払いながら、当該児童生徒に対するいじめの未然防止・早期発見に取り組みます。
⑤東日本大震災等により被災した児童生徒や原子力発電所事故により避難している児童生徒を含め、学校として特に配慮が必要な児童生徒については、日常的に、当該児童生徒の特性を踏まえた適切な支援を行うとともに、保護者との連携、周囲の児童生徒に対する必要な指導を組織的に行います。
 
(7)学校評議員制度の活用
 保護者や地域住民、学識経験者が学校運営に参画する「学校評議員制度」を活用し、いじめの問題など、学校が抱える課題を共有し、地域ぐるみで解決する仕組みづくりを推進します。