6 重大事態への対応

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 いじめにより児童生徒の生命や財産が脅かされる等の重大事態の発生は、何としても防がなければなりません。重大事態は、事実関係が確定した段階で重大事態としての対応を開始するのではなく、「疑い」が生じた段階で調査を開始しなければなりません。被害児童生徒や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申立があったときは、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たります。教育委員会は、いじめを受けた児童生徒とその家族に寄り添うとともに、重大事態の原因等の究明及び解決に向けて全力で取り組みます。
 
(1)重大事態の報告
 学校は、次に掲げる重大事態が発生したと判断した場合には、速やかに教育委員会に報告します。報告を受けた教育委員会は、重大事態の発生を区長に報告します。
①いじめにより当該学校に在籍する児童生徒の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認めるとき。
②いじめにより当該学校に在籍する児童生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
 
(2)調査の趣旨及び調査主体
 重大事態の調査は、重大事態に対処するとともに、同種の事態の発生の防止に資するために行います。
 調査主体は、教育委員会が主体となる場合と学校が主体となる場合があり、教育委員会が調査主体を判断します。なお、学校が調査主体となる場合であっても、法第28条第3項に基づき、教育委員会は調査を実施する学校に対して必要な指導及び人的措置も含めた適切な支援を行います。
 調査を開始する前に、被害者・保護者に対し、以下の6点について丁寧に説明します。
①調査の目的・目標
②調査主体(組織の構成、人選)
③調査時期・期間(スケジュール、定期報告)
④調査事項・調査対象
⑤調査方法
⑥調査結果の提供
 被害者等の意向を踏まえた調査とします。その際、特に、⑥の調査結果の提供の方法については、どのような情報を、どのような形式で被害者・保護者に提供するのかを説明します。ただし、個人情報については、港区個人情報保護条例等により、提供できない場合があることなどについても説明していきます。
 
(3)調査の実施
 学校又は教育委員会に設ける調査組織において、質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行います。
 
(4)調査結果の提供及び報告
 学校又は教育委員会は、いじめを受けた児童生徒やその保護者に対して、調査によって明らかになった事実関係について、いじめを受けた児童生徒やその保護者及び区長に以下の4点について報告します。
①教育委員会において議題とし、総合教育会議において議題として取り扱うこともあわせて検討する。
②被害児童生徒・保護者は、調査結果に係る所見をまとめた文書を、地方公共団体の長に対する報告に添えることができる。
③調査結果を公表する場合、公表の仕方及び公表内容を被害児童生徒・保護者と確認する。
④教育委員会及び学校は、被害児童生徒・保護者に説明した方針に沿って、加害児童生徒及びその保護者に対していじめの事実関係について説明を行う。
 なお、学校が調査主体となった場合は、区長への報告は教育委員会を通じて行います。
 これらの情報の提供に当たっては、学校又は教育委員会は、他の児童生徒のプライバシーに配慮するなど、関係者の個人情報に十分配慮し、適切に提供します。
 
(5)調査結果の説明、公表及び個人情報の保護
 調査結果における情報について、個別の情報が個人情報に該当するか否かは、港区個人情報保護条例等に照らして適切に判断します。教育委員会及び学校として、港区個人情報保護条例等に照らして不開示とする部分を除いた部分を適切に整理して開示します。
 
(6)調査結果を踏まえた対応
 調査結果において、いじめが認定された場合、加害者に対して、個別に指導を行い、いじめの非に気付かせ、被害児童生徒への謝罪の気持ちを醸成させます。加害児童生徒に対する指導等を行う場合は、その保護者に協力を依頼しながら行います。また、教育委員会及び学校におけるいじめ事案への対応において、法律や基本方針等に照らして、重大な過失等が指摘されている場合、教育委員会は、教職員に対する聴き取りを行った上で客観的に事実関係を把握し、教職員の懲戒処分等にかかる報告を東京都教育委員会に行います。
 
(7)港区いじめ問題調査委員会による再調査
 再調査を行う必要があると考えられる場合については、次の4点です。
①調査時には知り得なかった新しい重要な事実が判明した又は新しい重要な事実が判明したものの十分な調査が尽くされていない。
②事前に被害者・保護者と確認した調査事項について十分な調査が尽くされていない。
③学校の設置者及び学校の対応について十分な調査が尽くされていない。
④調査委員の人選の公平性・中立性について疑義がある。
 ただし、上記①~④の場合であっても、港区いじめ問題調査委員会による再調査ではなく、港区教育委員会いじめ問題調査委員会において、追加調査や構成員を変更した上での調査を行うこともあります。