芝小学校学級通信

1 通信表を見たら
 「通信表は家庭通信の一つ」そういうつもりで通信表を見てください。通信表にかかれていることは、一学期のまとめの表現であって、問題はそれまでの経過がどうだったかということ、つまり、こうした結果がでたわけ原因とこれからどうするかを、児童自身が考えて実行することに意味があるんだということです。そのための助力のしかたを児童のために父母の方が考えてほしいということです。
 
2 こどもに休養と・治療を
 「夏休みはなぜあるか」「暑いからです」だから休みというんです。九月に夏ヤセはしまらない。さあ、やるぞと言えるためにも、完全な健康体で来させてください。治療できなかったところは、この休みに完治できるように・・そのためにご配慮ください。休んでといってもダラダラでなく、きちんとしたリズムで生活させることが大切。
 
3 家族の会をひらいて…
 休み中の家族の一員としての役わりをたしかめてみるのもよし、仕事の内容、学習の計画などについて家族の意見を聞くのも結構。旅行の計画をねるのに参加するのもまたよいものでしょう。とにかく、話しあうふんい気が必要です。
 
4 楽しい思い出をつくる
 はなやかなことをおわず、ささやかなみんなの楽しみが、あとでよい思い出・充実感をもたらすものです。こどもに良いテーマを見つけさせ、継続して完成させることができたらと思います。間にあわせの絵・感動のない作品をいくつもつくるより、たった一つでも、充実した思い出になるようであってほしいと思います。
 
5 学習の習慣を
 「勉強しなさい」のことばは三度まで。それでできない時は、前からの学習が習慣となっていないのです。相談しよく納得した上で破ったやくそくについて考える態度をつくることが何よりも大切と考えて、家族会でみんなの意見、自分の意見を聞いたり、話したりすることです。文句でなく意見をださせること。
 
6 お手伝いも学習
 最近はお手伝いといってもこどもにさせることは何もないと言うおかあさんもいます。
  そうじやふとんのあげおろしといったことばかりでなく、夕食の作り方のじゅんじょ手順をじゃまにしないで教えながら手伝わせることはできないでしょうか。あるいは、買い物をしながら品物のねだん、種類をよくしらべてくるといったこと、家計の内わけを話したり ノートにつけさせるということも、おかあさんとこどもで二重帳ぼでつけさせることなどでやらせてみると、意外な勉強をするものです。
 
7 安全への注意。
 言うまでもありません。車(交通)人(ゆうかい・)水(おぼれる)火(花火・火やく)など非行化への心配まで、身体的、肉体的な安全に注意してください。
 
8 休みへの反省を…
 宿題ができないからと親が手伝ってまるまる親の宿題になるのは禁物。なんのための夏休みかということです。自分の課題である以上しりぬぐいは自分にさせるべきです。「あんた勉強できてんの・・」という通り一ぺんの注意だけでない反省をいまから去年とくらべて、今年はという意味でしてください。この夏にもし本当にできなかったら、自分はどうしたらよいか、クラスのみんなの前で担任の前で話せるように仕向けてほしいのです。

(芝小学校資料『山びこ』一〇一号 昭四二)


 
【付記】学級担任が『学級通信』として毎週発刊した四・五・六年の三年間の記録である。常に児童の一週間の学校生活を担任と同級生の目に移ったものを書いた。特に父母・保護者への理解を深め、その協力を得る等、教育効果を高める大きな力となった。