一、女子青年學校と改稱の義
本校は今般發布せられた勅令及文部省令に依つて青年學校規程が制定せられたのである。
此の青年學校制度の新設は、時代趨勢に鑑み從前の實業補習學校及青年訓練所を統合し之を單一の青年教育機關と爲し、其の施設經營の努力を一に集中して我國青年教育の進展を期せんとする趣旨に依るものである。
我が女子青年學校は茲に從來の實業學校を改稱し、特に女子青年のみを收容し、小學校卒業後直に社會の實務に從事せんとする女子青年及すでに從事せる女子青年に對し普く教育の機會を與へんと考へる次第である。
其の教育の本旨は、從前の實業補習教育の特質とを融合し以つて、心身の鍛練及び婦徳の涵養と共に職業及實際生活に須要なる知識技能の修得とを主眼となし教授訓練し以て健全なる國民善良なる公民たるの素地を育成するを目的とするのである。
二、本校の内容(組織)
(1) 普通科 修業年限二年とし尋常卒業程度を入學資格あるものとす。
科 目 | 課 程 | 時 數 | ||
一 年 | 二 年 | 計 | ||
修身公民 | 國民道徳の要目、公民心得、作法 | 四〇 | 四〇 | 八〇 |
普通學科 | 國語、國史、地理、數學、理科、音樂、日常生活に須要なる事項 | 一六〇 | 一六〇 | 三二〇 |
職 業 | 商業の大要 | 一二〇 | 一二〇 | 二四〇 |
家事及裁縫 | 家事及裁縫の大要 | |||
體 操 | 體操、遊戲及竸技 | 四〇 | 四〇 | 八〇 |
計 | 三六〇 | 三六〇 | 七二〇 |
(2) 本 科 修業年限二年とし高等卒業程度及以上を入學資格あるものとす。
科 目 | 課 程 | 時 數 | ||
一 年 | 二 年 | 計 | ||
修身公民 | 國民道徳の要旨、公民心得、作法 | 四〇 | 四〇 | 八〇 |
普通科 | 國語、國史、地理、數學、理科、音樂、日常生活に須要なる事項 | 一六〇 | 一六〇 | 三二〇 |
職 業 | 商業に關する須要なる事項 | 二四〇 | 二四〇 | 四八〇 |
家事及裁縫 | 家事及裁縫上須要なる事項 | |||
體 操 | 體操、遊戲及竸技 | 四〇 | 四〇 | 八〇 |
計 | 四八〇 | 四八〇 | 九六〇 |
(3) 專修科 修業年限一ヶ年
科 目 | 課 程 | 時 數 |
修身公民 | 國民道徳の要旨、公民心得作法 | 四〇 |
專 修 科 | 珠算、書道、英語、裁縫、手藝 | 三二〇 |
計 | 三六〇 |
專修科の内容
珠算初等科………………初歩の者
珠算中等科………………熟練者
裁縫書道科………………裁縫手藝書道を主とする
以上の如く三科に分ち本科普通科に籍を置き右の何れかを兼修することを得
(『中之町学報』昭一〇)