港南中学校の創立

  芝浦地区に最初の中学
   ――昭和三十八年度――
 昭和三十八年四月一日に正式に設置されたわが港南中学校は、たった一〇名の先生と、一年生一〇六名(三組)、二年生六二名(二組)、三年生四一名(一組)計二〇九名(六組)で発足した。
 当日は、校舎は完成していたが、まだ体育館やプールはなく、校庭もグラウンドも未整備のままで、学校のまわりも、ぼつぼつビルの建設がはじまりかけている状態で、買い物にもことかく不便さで、「東京のチベット」などと悪口を言われたりした。先生方も、昼食の用意に品川駅の駅弁を買ってきて、昼食はまるで駅弁コンクールのようだった。
 四月八日、技術科教室で、港区教育委員会委員長五味原先生はじめ多数の来賓出席で入学式を行なった。さすがの広い技術科室も、全校の職員・生徒・保護者を入れて超満員の状態だった。二年三年は芝浜中学校から別れて来た生徒達、一年生は芝浦小その他の卒業生、新設の中学校に、不安と期待の複雑な気持を抱いて集まった。
 
    誓のことば    東京都港区立港南中学校生徒代表
                           第三学年    鈴 木  満
 本日私たちは、この立派な港南中学校に入学したことを心からうれしく思います。
 校舎のすばらしいことは申すまでもありませんが、木の香ただよう新しい教室、新しい机、新しい設備のかずかずは、私たちの気持まで一新させてくれます。
 私たちはこれから、熱心な先生方のご指導のもとに、楽しく、明かるく、仲良く、真面目に学習にはげみ港南中学校の立派ないしずえを築き上げることを誓います。
  昭和三十八年四月八日

(『港南』創立五周年記念 昭四三)