区立各中学校第二学年の生徒七十五名を二教室に収容しセンター長ほか六名の指導員によって五月十九日の開室から二月二十三日の閉室まで二十九回に及ぶ指導を年間計画に基づいて実施した。
指導は分野別に行ない、第一分野(物理・化学・地学・天文)は四十七名、第二分野(動物・植物)は二十八名で、基礎的実験観察、実験観察の生活化、自由研究を力点として指導した。
●年間指導一覧
年 月 | 指導内容 ◎校外指導 ○講師指導 | ||
一 | 五・一九 | 開室式 | |
第一分野 | 第二分野 | ||
二 | 五・二六 | 種々の測定および誤差計算 | 植物の色素の抽出 |
三 | 六・ 九 | ガラス管細工および組立 | 同 上 |
四 | 六・一六 | 指示薬・水質検査 | せきずい反射実験・血液観察 |
五 | 六・二二 | ○スンプの製作・顕微鏡使用 | |
六 | 六・三〇 | 各種比重の測定 | 動植物の再生実験 |
七 | 七・一四 | たんぱく質・糖・でんぷんの性質 | 天気図の書き方見方 |
八 | 八・ 一 | ◎自然教育園見学(目黒) | |
九 | 八・一三 | ◎五島プラネタリウム見学 | |
一〇 | 九・ 八 | 各種比熱の測定 | 天気図の書き方見方 |
一一 | 九・一五 | 物質の溶解度の測定 | 顕微鏡の取扱い、プレパラート製作 |
一二 | 九・二二 | ◎くもの種類・生態習性について | |
一三 | 九・二九 | 空気の重さの測定 | 体細胞の分裂観察 |
一四 | 一〇・ 六 | 水・食塩水の電気分解 | 減数分裂と染色体 |
一五 | 一〇・一三 | 表面張力の測定 | 植物の成長運動 |
一六 | 一〇・二〇 | 断熱膨張と自然現象 | 光合成・気泡計算法 |
一七 | 一〇・二七 | 定量的中和実験 | うさぎの解剖 |
一八 | 一一・一〇 | ◎星座と航海・観測器具について | |
一九 | 一一・一七 | ファラデーろうそくの科学討論と解説 | 神経・筋肉の観察 |
二〇 | 一一・二四 | 原形質流動と滲透圧 | |
二一 | 一二・ 一 | 研究発表 | |
二二 | 一二・一五 | 摩擦係数の測定 | 植物の茎・葉の構造 |
二三 | 一・一二 | オームの法則の実験 | 培養基の作り方 |
二四 | 一・一九 | ボルタの電池の原理 | カビの培養 |
二五 | 一・二六 | 加速度の測定 | 微生物の観察 |
二六 | 二・ 二 | 気体の製法と性質 | 微生物の無気呼吸 |
二七 | 二・ 九 | 同 上 | 消化の実験 |
二八 | 二・一六 | いおうの同素体 | 開管・閉管の実験 |
二九 | 二・二三 | 閉室式 |
●生徒の自由研究
自由研究の成果は科学教育センター指導の重要な評価となるのであるが、各中学校のセンター係の教諭とセンター指導員との協力のもとに指導の実をあげている。
自 由 研 究 題 目 | 学校名 |
・でんぷんの溶液と呈色反応 | 北芝中 |
・タップミノウの食塩に対する強さと体色の変化・酸素と発芽のはやさ | 愛宕中 |
・古川の水 ・魚の色彩感覚 | 芝浜中 |
・寒剤 | 高松中 |
・水の状態の変化 ・だ液こうその働く条件 | 朝日中 |
・ビタミンCの検出 | 城南中 |
・植物の発芽と環境との関係 | 赤坂中 |
② 研修部門 年間研修一覧
研 修 内 容 | 講 師 | |
一 | 新しい実験器具の取扱い | 内田洋行 藤本樹夫 |
二 | 飼育栽培の遺伝研究(現地研修) | 三島国立遺伝研究所 竹中要 |
三 | 近代気象学と防災教育 | 運輸教官 渡辺次雄 |
四 | 顕微鏡写真(実技研修) | 学校図書 岡義男 |
五 | 分析研究の方法 | 都立大 佐竹一夫 |
六 | 人体解剖と法医学(現地研修) | 都監察院 越永重四郎 |
(『港区指導室要覧』昭三八)
【付記】昭和二十八年に「理科教育振興法」が制定された。児童生徒の科学的な能力と工夫創造の能力の育成ということで、各都道府県に科学教育センター設置の国庫補助金が交付された。港区教育委員会は、昭和三十三年度に「港区科学教育センター」を小学校と中学校に設置し、土曜日の午後、小・中学校のセンター校で児童生徒を対象とした科学教室を開催した。さらに、指導力向上のための教員を対象とした実技研修会も実施していた。昭和四十九年度以降この活動は停止した。