進路指導の改善

     港区立中学校進路指導問題対策協議会設置要項
  (設置目的)
第一条 港区立中学校における進路指導の在り方と、適切な進路指導資料の収集や作成についての研究・協議
   を行い、改善策をまとめるため、港区立中学校進路指導問題対策協議会(以下「協議会」という。)を設
   置する。
  (協議事項)
第二条 協議会は、次の内容についての具体的事項を研究・協議する。
   (1) 港区立中学校における進路指導の在り方に関すること
   (2) 港区立中学校における進路指導資料及びその取り扱いに関すること
   (3) その他必要事項
  (構成及び運営)
第三条 協議会は、別表に掲げる委員をもって構成する。
   二 協議会には、委員長及び副委員長を置く。
   三 委員長は、港区教育委員会事務局次長の職にある者をもって、これに充てる。
   四 副委員長は、校長の代表の者をもって充てる。
   五 委員長は、協議会を招集し、会議を主宰する。
   六 副委員長は委員長を補佐し、委員長に事故あるときはその職務を代理する。
  (意見の聴取)
第四条 協議会は、研究・協議に際し必要がある場合は、委員以外の者の出席を求め、意見を聴くことができる。
  (作業部会の設置)
第五条 協議会は、研究・協議にかかわる資料の収集や、進路指導資料の作成等を担当する作業部会を置くことができる。
  (委任)
第六条 この協議会について、必要な事項は委員長が別に定める。
  (庶務)
第七条 協議会の庶務は、指導室が処理する。
   付則
 この要項は、平成五年四月一日から施行する。
      ――――――――――――――――――――
   港区立中学校進路指導問題対策協議会の中間報告(その二)について
              港区立中学校進路指導問題対策協議会
                     委員長 上 田 暁 郎
一 進路指導問題をめぐる状況について
 先般「港区立中学校進路指導問題対策協議会の中間報告(その一)(以下、「中間報告(その一)」と略する。)を出して以来一ヵ月近くを経過した。この間、本協議会も二回の作業部会と第三回目の協議会を開催して、検討と協議を進めてきたところである。
 東京都の動きとしては、東京都公立中学校進路指導問題検討委員会の最終報告が平成五年六月七日付で発表され、区内の学校にも送付されたところである。この最終報告は、同委員会の中間報告を踏まえた形での報告であるが、この中には、いくつかの新しい事項も付け加えられている。
 その一つが、都立高等学校等の入学者選抜における選考基準の公表を求めるということである。公表の時期、公表の程度等、未だ明らかにされない部分も多いが、都立高等学校等の選考基準が明らかにされることは、情報の少ない中にあっては歓迎すべきことである。
 この他にも、公立学校と私立学校の協力を図るなどを付け加えたことにより、進路指導の見通しにいくらかの示唆が与えられた。さらに、今後の適正な進路指導が行われるためにも教員研修の充実を図ることが強調されている。
 また、私立高等学校では、従来の「単願・併願確約をする事前相談制度」に代えて。「推薦制度」の導入、「事前相談」を「入試相談」と改めるなど選抜方法の多様化、選抜尺度の多元化を図ろうとしている。
 このように入試方法の改善がなされ、制度的にも意識的にも高校入試の在り方が大きく変換されなければならない時期であるが、学校や生徒、保護者の間にも従来の入試方式が長い間定着していたことから進学指導の転換には不安と戸惑いが見られるところである。
 
二 進学指導の目安となる資料づくりについて
 「中間報告(その一)」でも述べたように、従来の業者テストの偏差値に頼らない進学指導を実践するための資料づくりを検討した。
 このために、作業部会を設置し一回の作業部会を開いて、研究協議を行って、次のような結果を得た。
〔都立高等学校の資料について〕
 ○ 問題点はいろいろあるが、各中学校としての独自の資料を持つこと、資料を集積していくことなどの必
  要があるので、目安となる資料を作成することは必要である。
 ○ 定期テスト(二学期)の偏差値の平均と都入試得点との相関がかなり高いので、さらに工夫して換算式を
  作れば、狭い幅で得点は予想できそうである。ただし、数年間分を何校かで検証して見ること、また、小
  規模校では可能かを検討することが必要である。
 ○ さらに、狭い幅での得点予想の方法を検討するとともに、別の作業部会を設置するなどにより、合格基
  準の目安となる資料の作成が必要である。
 〔私立高等学校の資料について〕
 ○ まだ、私立高等学校側の選抜方法、基準等がわからないので、現段階では対応が難しい。
 ○ 今まで受験者のいない私立高等学校に対しての対応が難しい。
 ○ 何らかの方法を考える必要はあろう。
 
三 港区内での統一テストの実施について
 統一テストを実施するかどうかについては、作業部会では賛否両論あり、結論は出なかったが、本協議会としては、現在のところ統一テストの実施には消極的な意向が強い。
 理由としては。中学校が、序列化されてしまうのではないか。問題作成、結果の集計、資料作成等にかなりの時間と労力を必要とすること。等による。
 おりしも、文部省が統一テスト(公的テスト)に対しても、強い規制を打ち出してきたところでもある。
 今後とも、国や東京都の動向等を十分に踏まえながら、検討を重ねていくことが大切である。

(『港区中学校進路指導問題対策委員会設置要項とその報告』平五)


 
【付記】平成五年二月、文部省は高等学校教育改革の推進に関する会議報告に基づき「高等学校の入試選抜について」を各都道府県教育委員会に通知した。この中で中学校が業者テストに関与することがあってはならないことが示された。これを受け、東京都教育委員会が設置した「東京都公立中学校進路指導問題検討委員会」は、平成五年四月に、公立中学校は、(1)業者テストの実施に一切関与しない (2)高等学校に偏差値を提供しないことなどを提言した。これらを受け、港区教育委員会に於ても進路指導の改善をめざし港区立中学校進路指導問題対策協議会を設置した。