今日の學校教育は極めて複雜多岐に亘つてゐますので、それに伴つて職員の勤務も頗る繁忙を極めてゐます。この繁多な生活の中にも日々夫々の立場に於て放課後或は休日を利用して研究修養が積まれてゐるのであります。
次に昭和九年九月以降十三年五月に至るまでの文書として纏つた研究事項、學事視察の地方及研究表彰を次に錄しその活用に便すると共に、將來の研鑽に資することにしました。
(一) 研究事項(昭和九年九月以降)
互井 開一 圖書展覽會、圖書指導細目
泉 展子 書方展覽會、書方新手本指導要點
小穴 武男 赤坂區史蹟調査、勝海舟傳參考文獻要覽、鎌倉見學栞、高尾多摩陵參拝見學栞、學校設備要覽、
施設要覽、事務要覽、學年曆、日々行事便覽
田邊 秀雄 直觀科用紙
荒木 喜平 養護學級要覽、榮養講話資料
原田隆三郎 教授資料產業圖及指導要項、地理教科書挿圖解說、地理繪葉書蒐集、關西地方見學資料、參宮旅行と地理指導
能城 ヤヱ 作法指導細目
唐澤 眞一 史蹟冩眞、記錄映畫作製
吉田けさよ 綴方優秀作品集及調査錄(十一年度、十二年度)
小見 金藏 直觀科の基本問題、直觀科用紙、校外教授細目、史蹟冩眞
木村 行親 新讀本文字語句の讀み調査、讀本卷五教授細目、學籍簿記入事項の研究
白鳥 元信 國史と郷土關係資料一覽、尋常小學國史讀史指導法、海舟先生年譜、參宮旅行沿道の文學、一茶の生涯、
近江神宮に關する資料、孝明天皇に關する資料
小泉 五郎 屋上展望圖、學校中心模型地圖
明地 三郎 新讀本文字語句の讀み調査、學籍簿改正要點と記入法の研究
大和 安雄 史蹟冩眞
高橋 十郎 「私のからだ」調査、劍道指導細目、劍道流派及劍道家名鑑、小學校に於ける劍道、相撲指導要項
新井道太郎 海舟先生と氷川小學校、勝安房傳記資料、學校經營槪要 太陽燈照射に就いて、海舟邸圖、通學區域内沿革圖、
服務勤務要覽
全 員 郷土教育資料
(二) 學事視察(昭和九年九月以降)
互井 開一 信越、佐渡地方
小穴 武男 山陰地方、北陸地方
米澤 栗 信越、佐渡地方
荒木 喜平 養護施設
原田隆三郎 山陰、北陸地方
小見 金藏 伊勢、橿原、湊川、桃山祈願巡拜
白鳥 元信 中國、四國地方、楠公史蹟巡拜
志村 平八 山陰、四國地方
大和 安雄 關西地方
高橋 十郎 埼玉縣地方
(三) 研究表彰(昭和九年九月以降)
小穴 武男 職務精勵、成績優良 (東京市長)
高橋 十郎 新要目に依る體操改善 (本市教育會)
小穴 武男 教育環境としての東京風物の研究 (東京府)
原田隆三郎 地理教材資料の研究 (本市教員會)
研究授業
一二・ 六・ 四 國史 五ノ二 白鳥訓導｛講習生指導授業、
六ノ一 小穴訓導 他區ヨリ七〇名參觀｝
一二・一〇・ 四 國史 五ノ二 白鳥訓導｛講習生指導授業、
六ノ一 小穴訓導 他區ヨリ五〇名參觀｝
一二・一〇・二〇 地理 五ノ一 木村訓導(映畫利用)
一二・一〇・二七 讀方 一ノ三 小林訓導
一二・一一・二四 讀方 四ノ二 吉田訓導
一二・一二・ 九 讀方 四ノ二 吉田訓導
保科視學員指導 區内研究部員參觀
一二・一二・一五 理科 四ノ一 唐澤訓導(映畫利用)
一三・ 二・ 二 修身 三ノ一 原田訓導(映畫利用)
一三・ 三・一九 直觀 一ノ三 小林訓導｛區内研究部
二ノ三 田邊訓導 員參觀｝
研究發表會
昭和十三年二月二十六日赤坂區教育研究會の研究發表會が中之町小學校講堂に於て午後一時より開會せられた。當日の發表者六名のうち本校からは小見訓導、白鳥訓導の二名が發表した。
小見訓導は先づ直觀科教育の現況を述べ、本科の本質の考察、教材の選擇指導の方法につき詳細に平素の豐富なる經驗と理論より未發育の該科に理論的基礎と指針とを與へられた。
尚白鳥訓導の國史の讀史的指導法は國史教科書を如何に見、如何に味はひつゝ何を學ぶべきかを、現代の思潮を中心として國史教育の眞諦を明かにしたもので、頗る好評を博した。
(『氷川学報』第八号 昭十三)