港区社会教育委員会の会議
港区の社会教育行政を推進する指針とするため下記のとおり諮問する。
平成二年一月二十二日
東京都港区教育委員会
委員長 吉 田 健 一
記
一 諮問事項 港区における生涯学習施設のあり方
(区民の生涯学習活動を推進するための施設の基本的考え方及び具体的方策とその内容)
二 答申時期 平成三年六月
三 諮問理由 近年、社会の変化に対応し、学習環境が急速に変化しつつあるなかで、区民の生涯学習への
関心が高まり、高度化・多様化する学習需要に対応するための施設の充実が求められています。
その背景として、所得水準の向上・自由時間の増大・高齢化の進展等に伴う区民の学習意欲の
高まり、科学技術の高度化、情報化、国際化などに対する新たな学習への対応があげられます。
加えて、各種の社会教育施設での学習内容や学習形態が多様化・高度化してきており、生涯学
習にふさわしい本格的な学習基盤を形成し、地域特性を生かした魅力ある活力ある地域づくり
を進めることが重要となってきています。このような観点から、本区における地域の特性や区
民の学習要望の実態を考慮しつつ、今後の区民の学習活動の積極的な推進を図るため、活動の
拠点であり、社会教育振興の基盤としての生涯学習施設について、長期的展望にたった施設の
基本的な考え方、その具体的方策、内容につき諮問いたします。
「港区における生涯学習施設のありかた」の答申について
平成二年一月二十二日付元港教社第二五七号により諮問をうけたこのことについて、調査検討の結果、別添のとおり結論を得たので、ここに答申します。
平成三年六月二十一日
東京都港区教育委員会
委員長 上 田 健 一殿
東京都港区社会教育委員会の会議
議 長 小野 三嗣
副議長 齋藤 勇一
委 員 山村 平
ほか七名
目 次
はじめに〔略〕
Ⅰ、「生涯学習社会」の実現に向けて〔略〕
Ⅱ、既存学習施設の現状と問題点〔略〕
Ⅲ、学習施設の整備に向けての基本視座〔略〕
Ⅳ、提言〔別掲〕
おわりに〔略〕
〔別掲〕
Ⅳ 提言
―港区「生涯学習センター」(仮称)の設置について―
これまで生涯学習施設の量的な拡大や施設内容の質的充実、またその運営方法の改善について検討してきた。しかし、生涯学習という大きな課題をシステムとして有効に機能させるためには、既存施設の整備だけでは十分な効果は期待できない。
そこで本会議は「生涯学習センター」(仮称)の設置を提言する。
1 目 的
国際的に見ても、また日本国内においても、東京はさまざまな情報ネットワークの中心性の著しく高い都市であるが、こうした東京においても港区は特に国際色ゆたかな都心区である。本区はこうした恵まれた立地により、国内はもとより諸外国からの様々な情報を容易に手にすることができる。しかしその反面、溢れる情報の整理と、この取捨選択の結果をいかに有効に利用していくかは、決して容易なことではない。そこで、
① 種々の情報を生涯学習という観点から目的別に整理し、利用しやすい形で提供すること。
② 各種の学習プログラムやその展開方法を開発すること。
③ 質の高い学習の場を提供すること。
を目的に、「生涯学習センター」(仮称)を設置する。
2 センターの機能
(1) 生涯学習情報センターの機能
生涯学習情報としては、ア、生涯学習関連施設の分布、利用状況 イ、各種講座の設置状況 ウ、各種団体の情報や外部へのメッセージ エ、学習指導者の情報 オ、他の自治体の学習施設および利用情報など可能な限りの情報を備えることが望ましい。
こうした各種学習情報を利用しやすい方法に工夫し、学習情報を求めるすべての人々に提供する。その際には、各関係施設をオンライン化し、それぞれをセンターのサテライトと位置づけ、さらにどこからでも端末によってセンターの情報に接することができるようにすることが必要である。このことによって、施設利用の一元化は可能となる。
(2) 自主的活動の場の提供
既存の施設では十分ではない、質の高い活動の場を提供する。
(3) 学習プログラムの開発
生涯学習情報の提供と併せ、本区の特性に適した創造的な学習プログラムを開発し提供する。
これらを広く他地域にも発信し、最都心区としての港区が、生涯学習情報の先駆的な存在となることが期待される。また、専門の職員を配置し、生涯学習に関する相談や助言を行うことができるようにすることが望ましい。
(4) 指導者、ボランティアの養成と活用
生涯学習活動を積極的に推進していくためには、良き指導者やボランティアの存在は不可欠である。そこで、地域の人材を発見しさらにエキスパートとしての技量を身につけてもらい、これを地域に還元することができれば、街の活性化や人と人とのつながりを深めることにも役立つものと考える。
3 センターの運営
センターの運営、運営をどのような形で行うかは重要なことである。区の直営あるいは公社、第三セクターの活用などさまざまな形態が考えられるが、いずれにしても学習センターの機能を有効に発揮できるように、かつ区民の意向がその運営に生かせるように、最もふさわしい管理形態は何かを検討すべきである。とくにセンターの管理運営に当たる専門的な職員を配置することは、極めて重要な問題である。職員がセンターの目的に意欲的に取り組み、かつ責任を果すことが可能となるような組織体系が望まれる。
4 センターの立地、内容
センターは、区の中心に位置し、最も便の良いところに建設されることが望ましい。新たに適地を求めることが困難であれば、既存の区有地の活用を図ることも一つの方法であろう。
センターの内容としては、おおむね次のようなものが必要であると考える。
(1)オンラインセンター室 (2)交流ロビー (3)大・小ホール (4)学習室 (5)会議室 (6)AVルーム
(7)少人数で利用できるセミナー室 (8)学習相談コーナー (9)くつろぎの間(和室) (10)資料カウンター
(11)展示コーナー (12)託児室 (13)喫茶・軽食コーナー (14)喫煙コーナー 等
(港区教育委員会資料 平三)