港区自然体験交流学習(平2・3)

  平成二年度東京都港区自然体験学習参加者募集要項
一、目的   青少年の成長に重要な役割を果す自然や遊び場の減少など、近年青少年を取り巻く環境は必ず
      しも良好なものとはなっていない。
      こうしたことから、青少年に豊かな自然に接する機会を与え情操を育むとともに、参加者同士の
      交流や自然の中での体験を通じて社会性や自主性を養い、豊かな人間性を醸成する。
二、共催   東京都港区教育委員会
       東京都港区立中学校PTA連合会
三、受入機関 北海道上川郡風連町教育委員会
四、実施期間 事前研修 平成二年七月二十日(金)、二十六日(木)
       現地学習 平成二年八月一日(水)~五日(日)
五、学習地  北海道上川郡風連町
六、日程/内容 別紙日程表の通り
七、費用   個人負担 八、〇〇〇円(食費、傷害保険、雑費等)
       ◇その他派遣に要する経費は東京都港区教育委員会が負担する。
八、募集対象および人員
       対象  原則として港区立中学校二年生
           事前研修を含め全日程参加できる者
       人員  四〇名(男女 各二〇名)
九、募集および参加者の決定方法
      (1) 各学校を通じて対象者への周知をする。
      (2) 希望者は所定の用紙により各学校あて申し込む。
      (3) 各学校は選考の上PTA連合会あて推薦する。
      (4) 推薦された応募者は教育委員会及びPTA連合会による書類審査を経て参加者として決定する。
一〇、募集/推薦期間等
       募集期間    平成二年六月十八日(月)~七月三日(火)
       推薦期限    平成二年七月三日(火)
       参加者最終決定 平成二年七月六日(金)
一一、提出書類 別紙のとおり
一二、提出/問い合わせ先
        港区教育委員会 社会教育課社会教育係
         〓 五七八―二一一一 内線二七三一・二七三二
 
港区自然体験学習派遣団報告(一)
 港区自然体験学習は、本年度からの新規事業です。去る八月一日~五日、四泊五日の日程で、北海道上川郡風連町にて現地学習を実施しました。
 自然体験学習派遣団は、四分一港区立中学校PTA連合会相談役を団長に、区立中学校二年生(原則)四十名、区立中学校PTA連合会々員五名、区立中学校教諭二名、野外活動指導員二名、教育委員会職員四名の合計五十四名で結成され、八月一日に羽田を発ち空路北海道旭川へ向かいました。学習地は旭川から北へ約五十五キロ、上川郡風連町です。
 風連町は、稲作の北限と言われ、道北の大自然に囲まれたとても美しい町です。
 一日午後二時過ぎに風連町に到着し、到着セレモニー、交歓会を行ない、学習プログラムのスタートを切りました。
 初め緊張ぎみだった参加生徒も、交歓会の中頃から打ちとけ、現地中学生と一緒に歌、ゲーム等を行ない楽しい時間を過ごしました。
 今回の学習では、大雪山系の黒岳登山・民泊による農作業体験、自作のイカダによる天塩川下り、キャンプファイヤー、陶芸等日頃都会ではできない自然体験を実施しました。当日は、幸いも天候に恵まれ、参加生徒達は山頂で食べるおにぎりのおいしさ、川の水の冷たさ、キャンプファイヤーの炎のあたたかさ、慣れぬ民泊家庭で受けた人のやさしさ等実に様々な体験をしました。
 今回の体験学習は、連日の暑さと日程面での厳しさもありましたが、五日午後四時に区役所前で解散式を無事行なう事ができました。
 参加生徒達は、北海道での貴重な体験の中から、それぞれが何かを得て家路に着いた事と思います。

(港区教育委員会報『ひろば』平二・九)


 
港区自然体験交流学習実施報告(二)
 港区自然体験交流学習は、本年度より受入学習が加わり相互交流となりました。去る八月一日~五日(派遣)。八月八日~十二日(受入)各々四泊五日の日程で、北海道と東京を学習地として実施しました。
 (派遣学習)
 自然体験交流学習派遣団は、南条港区立中学校PTA連合会会長を団長に、引率者一四名、区立中学校一・二年生四四名の計五八名で結成され、八月一日に羽田を発ち空路北海道旭川へ向いました。学習地は上川郡風連町。旭川から北へ約五五キロ、道北の大自然に囲まれた天塩川沿いの美しい町で、稲作の北限の地といわれているところです。
 港区を出発してから学習地までの所要時間は約五時間。これから始まる現地での学習への期待に胸をふくらませていた参加生徒達にとって、あっという間の時間でした。
 一日午後二時過ぎに風連町に到着し、到着セレモニー・交歓会を行ない、学習プログラムのスタートを切りました。
 初対面の参加生徒同志も初めこそ緊張ぎみでしたが、最初の共同作業イカダの班旗づくりをする頃から、打ちとけて話しをしていました。
 今回の学習では、自作のイカダによる天塩川下り・キャンプファイヤー・ハイキング等日頃都会ではできない自然体験。そして地元家庭への二日間の民泊。自然そして地元の人達との貴重な体験をしました。
 今年の北海道は昨年とは異なり多少肌寒かったものの、その他は天候にも恵まれ、五日間のプログラムを無事終了しました。
  すっかり仲良くなった港区と風連町の中学生は、東京での再会を約束し、笑顔を残して風連町を後にしました。
 (受入学習)
 風連町の生徒の受入にあたっては、吉田前港区立中学校PTA連合会長を団長に七人で受入学習団を構成しました。
 派遣学習とちょうど一週間ずれた日程で、北海道で別れてから三日目、八月八日に風連町の一行二五人(引率三人、中学生二二人)が港区に到着しました。
 庁舎で教育長からの歓迎の挨拶を受け、セレモニー会場の港南中へ。先日別れたばかりの友人達との再会です。民泊を受入れる家庭の生徒も交え、レクリエーションで仲間の輪を広げました。
 翌日は都内見学のあと、区役所の一一階レストランで、民泊家庭への引渡しと交流パーティー。初めての民泊受入でしたが、区立中学校PTAの二一家庭に快く引受けていただけました。民泊家庭の人達に連れられてこれから二泊の東京の家庭生活の始まりです。
 それぞれの家庭での都会生活を体験した後、十一日は区内ウォークラリーと葛西臨海水族園の見学です。日曜日の炎天下にもかかわらず、PTAの方々が街角での誘導や引率、青山福祉会館での手づくりカレーと、大活躍をしてくれました。子どもたちは慣れない都会の暑さのなかで、多少バテ気味ながら元気に葛西に向っていきました。
 十二日はもうお別れの日です。民泊家庭の親子やPTAの役員の方々などで、区役所九階の会議室も満員になり盛大な見送りとなりました。北海道で五日、東京での五日でさらに交流を深め、涙ながらのお別れでした。
 この自然体験交流事業を始めて二年目で早くも相互交流が実現したのは、風連町の教育委員会をはじめ港区の中学校PTAの絶大な協力に負うところが大であります。
 異った環境で育った中学生が、それぞれの地での生活を体験し交流を深めたことは、今後の成長のうえで少なからぬ影響を及ぼすものと思われます。この事業が定着し、発展していくように工夫を重ね、関係諸団体と協力し、より良い効果を上げるように努力していかなくてはなりません。

(港区教育委員会報『ひろば』平三・九)


 
【付記】区立中学校生徒を対象に、自然の中での体験と地元中学生との交流を通じて、社会性や自主性を養い豊かな人間性を醸成することを目的として、教育委員会と中学校PTA連合会の共催で平成二年度から実施した事業で、第一回から北海道風連町との交流が現在も続いている。なお、平成三年度からは、相互受入交流を実施するようになった。