本港区には,良好な住宅地やビル化が進み定住人口が減少している業務地など,居住状況には様々な地域差が見られる。これらの中で,乳幼児期,青少年期,成人期,熟年期,高齢期など,各種年齢層によってその生活様式は異なり要望するスポーツの種目も多様多岐である。
区民各層にわたる生涯スポーツの観点から,日常の生活圏内で気軽にかつ個人のライフ・スタイルやその健康,体力等に応じたスポーツ活動が求められている。また,人々が集い出会う空間,コミュニティ活動や文化活動の拠点となる施設の必要性等,さらに地域スポーツ振興のための指導者養成・育成の講習会を開催するなど,一人でも多くの区民にスポーツの楽しさ爽やかさを体験する機会や場が満たされることが必要である。かつそれを継続していけるような諸条件を満たすスポーツ活動の施策等の整備を行うなど,日常的に実践できるスポーツ活動を推進する各種社会体育事業の施策を強化する必要がある。
そこで,本港区におけるスポーツ活動の振興を推進する施策を考えるにあたって,現在港区が実施している事業及び区内のスポーツ団体の活動現況をとらえてみたい。
ア 教育委員会実施事業
本港区が実施しているスポーツ事業は,日頃スポーツに親しむ機会の少ない初心者を対象とした事業として,初心者スポーツ教室や誰でも気軽にできる軽スポーツ・野外活動などのファミリー対象の事業がある。また,健康の増進や運動不足の解消等を目的とした年齢や性別を分けたこどもスポーツ教室,婦人スポーツ教室,さらに中高年スポーツ教室などの事業や日頃の練習の成果を発表する各種スポーツ大会,武道関係を中心とする定期練習会,その他,地域でのスポーツ教室や障害者スポーツの集いなどのスポーツ振興事業等がある。またこれらの事業を推進していくために指導者育成事業も進められている。(別紙 資料1)
社会体育事業におけるスポーツ活動は,このように現在数多くの種目がとり入れられて実施されてはいるが,今後,さらに区民の要望は多種目に分かれ,その需要はますます多くなると予測されることから,変化に対応した取り組みが求められている。
イ 財団法人 港区体育協会
本協会は,港区内における体育運動を振興し,区民の心身の健全な発達と明るく豊かな生活の実現に寄与することを目的としている。その目的を達成するために各種大会加盟団体との共催事業等,さまざまな事業を積極的に展開している。(別紙 資料2)
体育協会に加盟している各種目別競技団体は,29団体でおおよそ17,000人が登録し,それぞれの競技団体別の体育大会,講習会,スポーツ教室,スポーツテスト,レクリエーション運動,野外活動その他体育運動に関する各種事業を推進している。
ウ 社会体育団体
本団体は,港区社会体育団体登録要項に基づき,区内在住・在勤者を構成員とする「地域生活に根ざした自主的なスポーツ活動を行う」団体である。ここではバレーボール・バトミントン・体操など,種目別で51団体が育成され,スポーツ団体として活発に活動している。(別紙 資料3)
さらにこれらのうちの24団体は,自主クラブ同士の発展・向上を図るために自主クラブ連絡協議会を組織し,区教育委員会との共催事業をはじめ独自の事業を推進している。
エ 港区体育指導委員
スポーツ振興法第19条に定められている体育指導委員は,教育委員会が任命する非常勤職員で,スポーツ振興のために住民に対して,スポーツ実技の指導,その他スポーツに関する指導,助言を行うものと規定されている。港区教育委員会では,30名の体育指導委員を任命しており,その職務を円滑に遂行するため,体育指導委員協議会を組織している。
体育指導委員は,社会体育事業を主管してその活動を展開しているが,時代の要請である「生涯スポーツの振興」の担い手としての活躍が期待されている。今後,地域に根ざすスポーツ活動をより一層推進するためには,体育指導委員の増員や誰にでも親しめるニュースポーツ種目の開発・普及が求められている。