(2)少子・高齢社会に対応した生涯学習事業

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 港区は、25歳未満の人口と35~44歳までの人口が著しく減少し、これとは対照的に65歳以上の人口が増加しており、少子化、高齢化が色濃くあらわれた人口構成になっている。
 社会教育委員の会議では、港区のこのような状況を踏まえ、少子・高齢社会に対応した生涯学習事業についての検討を重ねてきた。
 まず第一には、家庭教育支援事業の充実である。
 家庭教育の重要性は以前からいわれ続け、さらに最近の社会状況を鑑み、中央教育審議会第1次答申「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」(平成8年9月)においても、家庭教育の充実について述べられているところである。
 港区においても、子どもの教育や人格形成に対し、最終的な責任を負うのは家庭であり、親であるという認識にもとづき、家庭教育学級はじめ、様々な事業を実施している。
 今後はこれらの事業を充実していくとともに、事業参加者の子どもを預かるといった保育体制の充実をはじめ、学習者が学習しやすい環境を整備することが必要である。
 また共働き家庭が増加していることを踏まえ、マルチメディア等を活用して学習活動や子育てについての悩みを相談できる環境の整備も必要である。
 さらに核家族化が進むなか、子育てについての相談機能を充実していくとともに、子育てについての様々な悩み等を相互に情報交換したり、考えていくために地域の子育てのネットワーク化を図ることができる事業展開を考えていくことも必要である。
 第二には、青少年の活動の場と機会の拡充である。
 青少年が様々な人々と出あい、交流、体験を通して、豊かな人間性を養うことは大切なことである。このような視点にもとづき、港区では児童館、公園、児童遊園等の整備をし、また各部署や地域団体などで様々な事業を行っている。
 今後はこれらの事業を充実していくとともに、とりわけ、思春期の心の居場所確保の観点から、青少年の自主的・創造的活動を促進し、いじめに悩む子どもや、不登校の青少年も含め、気軽に集える「場所」を確保していくことが大切である。
 第三には、高齢者の学習機会の充実である。
 港区では高齢者がいきいきとした生活ができるように、高齢者の健康教育や生きがいづくり、社会参加の促進などを目的とした事業を積極的に展開している。
 今後はこれらの事業を充実していくとともに、高齢期にむけての、いわゆる準備教育や福祉と教育のネットワーク化を図るなど、充実した学習機会が提供できるような工夫が必要である。
 また少子・高齢社会ということを踏まえて、以下のような場と機会を設けるなどの事業設定が必要である。
 まず1点目は、世代間交流の場の積極的な推進である。
 今日の核家族化の進行により、特に青少年が高齢者と出会い、ふれあうという機会が減ってきている。このような現状において、高齢者と青少年とが相互理解するためにも、交流の場を積極的に設けていくことが望ましい。
 2点目は、高齢者が助言者となる機会の確保である。
 高齢者には長年培った知識や技術があり、これらを人に伝えていくことは大変有意義なことである。また“教えることは学ぶことである”という観点にたち、青少年との交流を通して、生活体験や知識・技術を教える機会を設けることは、高齢者に生きがいをもたらすと考える。
 3点目には、子どものボランティア活動と高齢者の活動との連携事業である。
 これは、子どもが高齢者に対するボランティア活動を通して体験的な学習を行うというものである。最近、ボランティア活動をプログラムのひとつとして取り上げている学校も多い。このことについても検討していきたい。