<第1章>団塊世代の生涯学習活動に対するニーズ~「港区団塊の世代等意識調査報告書」から~

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 団塊世代は、人口規模として大きなボリュームを持ち、比較的経済面に恵まれ、豊富な消費経験を有する層です。また、今後団塊世代が年齢を重ねるにつれ、その時間的余裕も拡大に向かうことになります。これらの人々が豊かな自由時間を送る時代になれば、様々な社会的メリットが期待されます。
 特に、かつての高齢者イメージと異なる団塊世代は、人々の生涯学習活動を推進、サポートする人材としての潜在能力が高く、生涯学習の新たなステージの扉を開ける役割を担うことが大いに期待されます。
 
 生涯学習活動に関わる団塊世代の特徴は、従来の高齢者層と比較し以下の特徴があげられます。
 
1 多様な価値観、ライフスタイルを持つ層で、戦後の本格的な大衆レジャーをリードし、推し進めてきた層です。余暇の過ごし方に積極的姿勢を持ち、その余暇経験(メニュー)も豊富な層です。
 
2 自らの能力開発、学習といった自分磨きに対する意欲が高い層です。さらに培った能力や知識を何らかの形で役立てたいという意欲を持つ層です。
 
3 就学、就職、結婚等に際し、その居住地を大きく移動しており、退職後の余暇空間の基本として居住地での日常を重視している層です。自宅周りや地域での楽しみを重視し、地域社会へ強い関心を持っています。また個々人の有用性を広く社会へ求めており、何らかの活動を通じ地域や社会とのつながりを望んでいる層です。
 
4 インターネットやパソコン通信といった情報手段に対する習熟度が高く、それに関わる学習や効率的な情報収集に長けた層です。
 
5 他の世代に比べ強く関心を示す領域は「健康」「自然」「地域」です。
 
 団塊世代のこれらの潜在的能力を引き出す適切な対応が可能となれば、社会での有用性を求める団塊世代は、その呼びかけに敏感に反応し、生涯学習推進の有効な資源として機能することが期待できます。団塊世代を地域人材のモデルに、生涯学習推進の将来に明るいシナリオを描くことも可能となります。
 
 本章では、港区の団塊世代の生涯学習活動に関する現状やニーズを把握するため、「港区団塊の世代等意識調査報告書」(以下、「団塊の世代報告書」※注1)をもとに、見ていくこととします。
 
(注1)「港区団塊の世代等意識調査報告書」(平成19年3月港区保健福祉支援部高齢者支援課発行)