(二) 地形の変遷

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 前項で述べ、あるいは図2・3・4に示した港区の地形や、それを構成する地層がどのように形成されたかを、この項では時代を追って述べる。そのような変遷をもたらした原因にもふれるが、原因には東京一円に共通するものもあり、関東全域の研究から知りえたものもあり、さらに、海面の変動や気候変化のように全地球的なものもあるから、港区からははなれた地域の現象でも適宜記すことにしよう。
 以下の記述では、時代を分けて、(0)東京礫層の堆積まで、(1)上部東京層の堆積――台地面の形成時代、(2)段丘上面の形成時代、(3)谷の形成時代、(4)沖積層の堆積――低地の形成時代、(5)歴史時代とする。この区分は、港区の主要な地形や地層を用いておこなったもので、それらならびに関連する事項は地質年代区分などとともに図5に総合編年表という形でまとめてある。また、(0)をのぞき、(1)~(5)それぞれの時代のうちのある時期の地形を、港区とその周辺、東京とその周辺、関東について図6に表わした。以下の記述には、これらの図を参照していただきたい。

図5 港区の地層と地形を主題とする総合編年
この図を作るのにもっとも参考にした文献は、
町田洋『火山灰は語る』(蒼樹書房 1977刊)および
貝塚爽平『東京の自然史』(紀伊国屋新書 1976刊)である。


図6 港区と東京と関東の地形の変遷
右2列の断面にみえる黒い層は関東ローム層,点は武蔵野礫層と立川礫層,
縦線は上部東京層と沖積層(主に海成層)
左の2列は,貝塚爽平『日本の地形』(岩波新書 1977刊)によった。