(六) 港区内の現存植物

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 特殊な都市環境下に置かれ、たえず破壊の現実にさらされている港区内の植物であっても、一見すると古くから変化していないかのように見えるが、実際には非常な勢いで消長を繰りかえしている、ということが、少し気をつけて観察し、調査してみるとすぐわかるものである。
【区内の自生植物】 ここ数年の間に調査した港区内に自生する植物は、約一五〇〇種を超えるが、このうち約三〇〇種あまりが明治時代以降に諸外国から侵入してきた帰化植物で、しかも年ごとに新しいものが発見されるので、港区内の被植率は恐らく半ばを超えてしまっているのではないかと思われる。しかも埋立地ではほとんどがこれら帰化植物におおわれており、本来の自生植物は種類でこそ多いものの、被植率では平均わずかに三割前後にしかすぎないすさまじさである。
 また、記録に残されていない明治初期以前にも、相当数の種類の植物が諸外国から渡来し、自生化していることも十分考えられることであるが、これらの大部分は古来からの自生植物と区別しにくい形状で生育しているので、はっきり判っているもの以外は、帰化植物らしいと思えても、一応は自生植物として扱っておいたほうが妥当だと考える。