(1) 町奉行

196 ~ 197 / 1465ページ
【評定所】 町奉行は江戸町方の市政全般を担当するほか寺社奉行、勘定奉行とともに評定所を構成した。評定所はときに大目付、目付なども加わり幕府最高の審議・裁判機関として老中の諮問にこたえる機構であった。したがって、町奉行の担う役割は大きなものであり、初期には万石以上の者が任ぜられたが、後には旗本の任命となった。【与力・同心】町奉行には部下として与力・同心が所属していた。時代により増減があるが、人員は南北両町奉行所にそれぞれ与力二五騎、同心六〇~一四〇人ほどであった。与力と同心が諸掛りに分かれて事務をとったが、年を経るに従って事務多端となり、多くの分掌が生まれていった。与力が中心となるものには次のようなものがある(野村兼太郎『江戸』)。
 
【諸掛り】 年番方。吟味方。本所方。養生所見廻。牢屋見廻。赦帳撰要方人別調掛。高積見廻。町火消人足改。町会所見廻。古銅吹所見廻。例繰方。風烈見廻。定橋掛。人足寄場掛。
 
その他、幕末になると庶務多端となり、
 
 市中取締諸色調掛。猿屋町会所見廻。諸問屋組合再興掛。非常取締掛。外国掛。開港掛。御国益御仕法掛。諸色潤沢掛。諸色値下掛。箱舘産物会所見廻。外国人居留地掛。町兵掛。硝石会所見廻
 
などいろいろな専務ができている。
 同心の職務については、次のようなものがあった。
 
 用部屋手附。隠密廻。定町見廻。臨時廻。下馬廻。門前廻。御出座御帳掛。定触役。引纒役。定中役。両御組姓名掛。