世帯の構成

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【世帯の構成】 宮益町を例にとり世帯の構成を表28によってみると、夫婦のみ、あるいは親と未婚の子どもから成る核家族世帯(表中1・4・6・7欄)が五四・七%と過半数を占めていること、単独世帯が一一・六%も存在したことが目につく。都市内部で拡大家族や複合家族の比重が小さく、核家族世帯が支配的であったのは一般的だったようで、道玄坂町(核家族世帯六六・七%)、東福寺門前(同七六・二%)でも同様だった。
 階層別にみると、核家族世帯の比率は、家持層(三一・六%)より店借層(六〇・三%)で高く、反対に戸主の親や兄弟姉妹などを含む拡大家族や複合家族からなる世帯は、家持層(六五・八%)のほうが店借層(二六・二%)より高かった。世帯構成においてこのように家持層と店借層との差は明らかであるが、このことは多世代世帯の比率にも現われている。単独世帯の八五%、一世代世帯の九四%が店借層であったのにたいし、三世代世帯の四六%は家持層に属している。すなわち、三世代世帯比率は店借層では一一%でしかなかったが、家持層では三二%も占めていた。
 

表28 宮益町の世帯構成

家   族   構   成家持家守地借店借不明合計
普通世帯総数
 A 親族世帯
  Ⅰ 1世代世帯
   1.夫婦のみの世帯
   2.夫婦とその兄妹よりなる世帯
   3.その他の1世代世帯
  Ⅱ 2世代世帯
   4.夫婦と子供よりなる世帯
   5.夫婦と子供と夫婦の兄妹よりなる世帯
   6.男親と子供よりなる世帯
   7.女親と子供よりなる世帯
   8.両親と子供のない夫婦よりなる世帯
   9.片親と子供のない夫婦よりなる世帯
   10.その他の2世代世帯
  Ⅲ 3世代世帯
   11.両親と子供のある夫婦よりなる世帯
   12.片親と子供のある夫婦よりなる世帯
   13.その他の3世代世帯
  Ⅳ その他の親族世帯
 B 非親族世帯
 C 単独世帯
核家族よりなる世帯 1+4+6+7
38
37




25
7
1
3
2


12
12
1
3
8


1
12
4
2




2
2












2
2
3
3
1
1


2
2













3
126
109
17
14

3
78
50
3
5
7

1
12
14

2
12


17
76
1
1




1



1










1
172
152
18
15
0
3
108
61
4
8
10
0
1
24
26
1
5
20
0
0
20
94

(注) 南和男『幕末江戸社会の研究』より引用。


 
 店借層に、小規模で、単純な構成の核家族世帯が多かったのは、もっぱら経済的な地位が低いこと、住宅事情が悪いこと、転入・転出による流動性の高いことと関連があろう。