階層別にみると、核家族世帯の比率は、家持層(三一・六%)より店借層(六〇・三%)で高く、反対に戸主の親や兄弟姉妹などを含む拡大家族や複合家族からなる世帯は、家持層(六五・八%)のほうが店借層(二六・二%)より高かった。世帯構成においてこのように家持層と店借層との差は明らかであるが、このことは多世代世帯の比率にも現われている。単独世帯の八五%、一世代世帯の九四%が店借層であったのにたいし、三世代世帯の四六%は家持層に属している。すなわち、三世代世帯比率は店借層では一一%でしかなかったが、家持層では三二%も占めていた。
表28 宮益町の世帯構成
家 族 構 成 | 家持 | 家守 | 地借 | 店借 | 不明 | 合計 |
普通世帯総数 A 親族世帯 Ⅰ 1世代世帯 1.夫婦のみの世帯 2.夫婦とその兄妹よりなる世帯 3.その他の1世代世帯 Ⅱ 2世代世帯 4.夫婦と子供よりなる世帯 5.夫婦と子供と夫婦の兄妹よりなる世帯 6.男親と子供よりなる世帯 7.女親と子供よりなる世帯 8.両親と子供のない夫婦よりなる世帯 9.片親と子供のない夫婦よりなる世帯 10.その他の2世代世帯 Ⅲ 3世代世帯 11.両親と子供のある夫婦よりなる世帯 12.片親と子供のある夫婦よりなる世帯 13.その他の3世代世帯 Ⅳ その他の親族世帯 B 非親族世帯 C 単独世帯 核家族よりなる世帯 1+4+6+7 | 38 37 25 7 1 3 2 12 12 1 3 8 1 12 | 4 2 2 2 2 2 | 3 3 1 1 2 2 3 | 126 109 17 14 3 78 50 3 5 7 1 12 14 2 12 17 76 | 1 1 1 1 1 | 172 152 18 15 0 3 108 61 4 8 10 0 1 24 26 1 5 20 0 0 20 94 |
(注) 南和男『幕末江戸社会の研究』より引用。
店借層に、小規模で、単純な構成の核家族世帯が多かったのは、もっぱら経済的な地位が低いこと、住宅事情が悪いこと、転入・転出による流動性の高いことと関連があろう。