明治十年代末期から二十年代前半にかけて、周知のように鉄道業と紡績業を中心に資本制生産の展開があり、いわゆる「企業勃興」のかたちで産業発展が推進された。この間において本区内にも、国友工場・富岡機械製作所・真島機械工場・東京製綱・東京機械製造・品川電燈・池貝工場などの諸工場が開設されている。とくに、明治の後半期において、芝浦を中心とする芝区の臨海地域に工場が増加し、集団化する傾向を示すが、その工場地帯形成の芽がここに出たといえる。区内に近代的工場が根をおろす過程をみてみよう。
(1) 企業の勃興と芝浦工業地帯の形成