【区内の卸売市場】 明治維新により幕藩体制下での特権を廃止するという政策によって、御用市場としての特権が失われ問屋、仲買および組合が一度解散され、また諸制度の改革と経済事情のため、府下の諸市場は一時衰微におちいった。しかし、明治五年ごろから東京府では市場の保護と統制をはかる政策がとられ、明治十年六月には「魚鳥並青物市場及問屋仲買営業規則」を布告、ついで同十二年六月「営業税賦課規則」が出され、魚市場・青物市場の開設について取締まりが明示された。これにより各市場の問屋・仲買は相互の利益を助ける組合を結成、規則を定め、府の許可と鑑札の交付をうけた。
この市場保護育成策によって開設を許可された港区地域に関係のあるものは、芝金杉の魚鳥市場および青山南町四丁目・本芝四丁目の両青物市場であり、いずれも江戸期以来の歴史的市場であった。