軍用地

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 このほかに区内の特色としてあげているのは、軍用地に多く占められていることである。
 
  第一師団司令部 赤坂区南町一丁目にあり、明治四年東京鎮台を麹町区有楽町旧兵部省内に置いたのを本師団の起源とする。二十一年五月これを廃して第一師団司令部を設け、二十三年赤坂離宮内に転じ、翌年三月現地に移る。
 その他、一つ一つについて述べてはいないが、区内軍関係は次のとおりであるとしている。
 
  近衛歩兵第二旅団司令部赤坂区一ッ木町近衛歩兵第三聯隊赤坂区台町
  近衛歩兵第四聯隊赤坂区台町歩兵第一旅団司令部赤坂区霞岡町
  歩兵第二旅団司令部赤坂区青山南町歩兵第一聯隊赤坂区桧町
  歩兵第三聯隊麻布区竜土町

 大正初年において、港区内のうち旧麻布・赤坂の両区は、特に皇室関係や軍用地あるいは外国公館によって相当広範な地域を占められていたことがわかる。しかし、当時の「聯隊」とよばれた兵営は、区民というより、一般市民からかなり親近感をもたれており、「兵隊さん」という呼び方が示すよりに、兵士の外出風景は、その土地の名物かのような感があったことを忘れてはなるまい。
 以上にみてきたように、芝区は何といっても商工業の街であり、麻布区と赤坂区は、「聯隊の町」とか、「お邸(やしき)町」と多くの市民から呼ばれた山の手の風格ある町といってよかった。