銀行と会社

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 大正三年の『東京概観』によると、東京市内における主な銀行・会社として、区内所在としてあげられているものは、ほとんどないといってよい状態で、日本橋区・京橋区・麹町区に集中してのべられている。
 区内においては商店街に従来どおりの店を構える伝統ある商家はあっても、会社の本店や銀行などは、まだ、未発達の有様であったことを示している。
 おそらく、芝区内においても、会社企業はまだ盛んでなかったといえるだろう。わずかに芝口二丁目に日清豆粕製造株式会社(資本金三〇〇万円以上)があるのみで、ほかに新高製糖株式会社東京事務所(本社資本金五〇〇万円以上)が芝区琴平町にあることが記載されているにすぎない。
 銀行とて同様で、東海商業銀行(資本金五〇〇万円以上)が、芝区新堀町に記載されているだけである。ほかに購買組合共同会が芝区南佐久間町に、青山信用組合が赤坂区青山南町にあったとあるが、その規模などは不明である。